第8回 3つ目の提案:担任の先生へのお知らせ

第8回 3つ目の提案:担任の先生へのお知らせ

アメリカにおける家庭教育や現地校に関する悩みなどに分かりやすく回答します

更新日: 2024年03月05日

こんにちは、アメリカ、ニューヨークで教育コンサルタントをしている辻 沙織です。
このコラムでは、在米日本人の保護者から寄せられた家庭教育や現地校に関する悩みに回答し、教育や子育てに関するトピックを提供しています。
今回は、全3回の「親子で学校に馴染めない場合、どうしたらよいか」シリーズの最終回です。

過去の回では、コーピングスキルやプレイデートの計画について詳しく書かせていただきました。
1)コーピング・スキルについて
2)プレイデートの計画について
3)担任の先生へのお知らせについて
今回は、3つ目の提案:担任の先生へのお知らせについて書きたいと思います。

最近、こんな相談を受けました。「現地校1年生の子どもが最近クラスメートとうまくいっていないようで、会うたびに嫌なこと言われたり、押されたり手を出されたりするようで、やめてと言ってもやめてもらえないようです。 教室内でも何度か泣いているようで、家に帰ってきても最近よくその子のことを話しています。」よく聞くと、そのクラスメートはクラスの中でも問題があるようで、相談者さんのお子さんだけでなく他の子にも同じことをしているようでした。
このような精神的・身体的に影響を及ぼす「いじめ」や性や人種に関するいじめなども深刻な問題です。自分のお子さんが出す小さなサインを見逃さず、こういったケースはすぐに担任やカウンセラーに相談しましょう

担任の先生に連絡するべき?いじめかそうでないのかの判断?
お子さんが友達にいじめられているということですが、一見仲良く見える友達どうしの実は片方が暴力的で、パンチやキックをしてくる、というのはよくあるパターンです。
これは周りから見ると遊んでふざけているように見えるので気がつきにくいのですが、実は力での上下関係が存在し、これが続くと立派な「いじめ」として成立します。
やられる側の子供は、もちろん恐怖を覚えて相手の言う通りに行動したりし始めます。
また、相手が繰り返し嫌なことを言ってきたり、仲間に繰り返し入れてくれなかったりすることも立派な「いじめ」として認められるでしょう。
このような事態が継続して起きていると判明したときは、すぐに担任の先生にメールで相談しましょう。

担任にメールで相談するメリット

  • 担任との問題共有のコミュニケーションのやりとりの履歴が後々まで残すことができる(日時、時間、内容など)
  • 担任に問題を共有することで、学校は個別に対応する方法を模索し、適切な支援を提供できる可能性があります。ただし、担任は基本日中は忙しいためお迎えの時に時間をとって話をする、すぐに折り返し電話をするなどが難しいため対応してくれないときもあることを念頭に入れておきましょう。
  • 生徒の親とのコミュニケーションは、どの学校の教師にも義務付けられている故、本来であるならば、問題を担任に伝えることで、親、子供、そして学校とのコミュニケーションが強化されます。もし上記の事態で担任に連絡しても返信が何日も得られない場合、エスカレーションを考えましょう。

担任にメールをする内容

  1. まずはいつもサポートへの感謝を短く表明
  2. ここ最近の子どもの様子と問題について具体的に説明
    EX My son has been coming home crying a lot recently due to difficulties with his classmates. We discovered that he has been bullied by his classmates ____ and ____ for quite some time. He reports experiencing physical violence such as kicking, punching or rough play. This appears to be an ongoing issue and my son no longer feels safe at school.
  3. 問題の早急な調査、介入、解決を要請
    EX Could you please investigate this matter at your earliest convenience and work towards a resolution? Lately, he has shown very reluctant to go to school in the mornings. We would like to address this issue promptly before it escalates further and find solutions as soon as possible.
  4. 子どものサポートのために協力する用意がある旨を伝える

担任としての義務

担任としては、問題が提起された段階でまずは問題を調査する義務が発生します。
調査の進め方としては以下のステップがあります。

  1. 個人本人に事情を聞く(通常、別々の場所で聞くことが多い)
  2. クラス内外で目撃者を見つけ、事情を聞く
  3. 事実を確認する

これらのプロセスは、担任自身が実施する場合もありますが、事態の深刻さに応じてカウンセラーやアドミンが介入することもあります。

その後、問題解決のステージでは、担任が当事者同士の話し合いを仲介する場合もあれば、カウンセラー、アドミンを交えて進める場合もあります。
問題が複雑で継続的なサポートが必要な場合やクラスミーティングや1 on 1、スモールグループセッションが行われる場合もあります。
各親には、どのような対処が行われた旨の連絡があります。

担任への連絡はこういった流れに従いますが、残念ながら、担任との連絡が効果がない場合には、エスカレーションが必要です。具体的には、校長や学校のSuperintendentに訴えることが考えられます。
エスカレーションが必要な場合、これまでのメールのやりとりが証拠として役立つことがあります。アメリカの学校ではエスカレーションは一般的な手段であり、ためらう必要はありません。
アメリカの学校には、担任以外にもスクールカウンセラー、スクールサイコロジスト、ガイダンスカウンセラー、スクールナース、校長、教頭、セラピスト、教科ファシリテーター、特別支援教師などさまざまなスタッフがいます。

必要に応じてリソースにアクセスし、サポートを求めましょう。
大切なことは、問題に関して真剣に捉えていて、事の重要さを理解して欲しいという姿勢を貫く事です。

今回は、「いじめ」というテーマでしたが、クラスになかなか馴染めないという場合でも、担任に是非相談してクラスの中でサポートする効果的な方法や情報をお互い共有したりしながら家庭と学校での3者間でお子さんを支える方法を模索することが重要です。

アメリカの学校のスタッフのそれぞれの役割については、また別の機会に述べたいと思います。

辻 沙織
Brooklyn de Kosodate 代表
米国にて教育学修士課程
ニューヨーク州・カリフォルニア州・ノースカロライナ州に教員資格を保持
米国公立小学校にて10年教鞭をとる
その後、ブルックリンあおぞら学園で教育ダイレクターに就任
全米教育理事会より認定を取得
日本語で教育・発達に関するコンサルティングを行っている
自身も一児の母
Brooklyn de Kosodate website: https://www.brooklyn-de-kosodate.com

記事一覧

その他のおすすめ投稿