第2回 現地校における成績表の解釈/評価に納得できない場合

第2回 現地校における成績表の解釈/評価に納得できない場合

アメリカにおける家庭教育や現地校に関する悩みなどに分かりやすく回答します

更新日: 2023年03月08日

今月は、現地校における成績表の解釈の仕方や評価に納得できない場合の対処の仕方についてお話ししていきたいと思います。

「少し前に小学校のプログレスレポート(中間成績)が届いたんだけど、息子の成績に2がよく見られた。2はよくないのか?」という質問が私のところに寄せられました。「英語の読みのところは、3であるのに対し、英語の書きは2であり、特に詳細を書くというところが評価が低く見られる」とのことでした。

現地校の成績表とは?

まず一般的に現地校の成績表はどういったものかを考えてみましょう。「成績表」は英語で “report card”と呼ばれ、州や市、公立か私立、またそれぞれの学校によってもフォーマットが異なります。学校によっては、”Progress Report”(中間成績)といってレポートカードの合間に、中間成績表を送って来る学校もあります。
評価対象とされる項目には、各教科だけでなく、生活面つまり周りとの協調性、学校やクラスルールを守れるか、タスクや物事に取り組む姿勢や解決力•持続力•応用力などの評価もあります。
評価の値ですが、数字(1〜4または1〜5)のものや文字(A~F)、また表現の頭文字(E-Excellent、G-Good、S-Satisfactory、N-Needs improvement、U-Unsatisfactory) などがあり、学校によって違っています。
私への相談者は4段階評価でしたので、評価の解釈は次のとおりです:

  • 4=学年レベルの基準以上に非常に高い能力を発揮している。
  • 3=学年レベルの基準を満たし、必要事項をよくこなしている。
    (スキルを一貫してマスターしている)
  • 2=基礎事項の理解はできているが、もう少し頑張れば学年レベルに到達できる。
    (スキルができたりできなかったりする)
  • 1=基礎事項の理解に乏しく、学習上の遅れが見られ、ヘルプが必要。
    (スキルをマスターしていない)

もし文字評価(A~F)の場合は、先述の数字評価を参考に換算すると、A=4、B=3、C=2、D=1、F=失格 NE=評価無しとなります。
通常、この評価とは別に、生徒の良い点や努力の必要な点などを先生が文章でコメントしてくれます。このコメント欄では、一般的にポジティブな事柄を重視して書いてくれる傾向が強い印象ですが、やはり評価自体は先生の判断によって左右される傾向にはあります。

Common Core:全米共通学力基準)

現在、アメリカの41州が、“Common Core”と呼ばれる学習基準を導入し、それらの基準にのっとって評価をしています。ただ、先生が、この基準に生徒の状況をどのように照らし合わせ、どのように判断するかによっても評価は変わってくる為、生徒の特性や環境をじっくりと見定る必要があるのです。例えば、今回の相談者の息子さんには当てはまりませんが、アメリカにきてまもないお子さんで英語がまだままならない生徒さんがいたとして、英語がわからないのは、本人の責任や能力の問題ではありません。それに対して、全ての成績が1もしくはFがつくとなるとそれはフェアではないということになりえます。環境の理解がなされていないという判断になりえるからです。

評価に納得がいかない場合の対処とは

さて、今回の息子さんの場合、教師側の判断基準を問いたいと思うのであれば面談をお願いすることもできます。今回はあくまでもプログレスレポート(中間成績)でしたので、レポートカード(本来の正式な成績表)の後の面談を待つという形もできます。どちらにせよ、面談では、抗議という形ではなく、あくまでも評価の判断基準を問うという形で、親御さんとしては「息子の場合こう思うのだが」という話し合いを心掛けてください。その時に話す要点をあらかじめまとめておくと良いでしょう。

  • 今の年次での英語で書く詳細とはどれぐらいの詳細を期待されているのかを知りたい
  • 具体的に評価「3」になるには、どのような詳細を求められているのか、何が足りないのかを知りたい
    *評価3のWritingサンプルを見せてもらってもよいかもしれない
  • 毎日の書く宿題では親は手伝うなと教師側から言われていたので一切手伝っていなかったのだが、いまのままでは、詳細が増えているとは思えない。その宿題に関して何か工夫をしたい。何かいい方法はないか。
  • 書く文章に詳細をもっと増やすために具体的にどのようなことを家庭でしたらいいのか教えてほしい

最後になりますが、ここで重要なのは、評価に納得できていない場合、その評価に対しきちんと評価基準を理解することが大事になってきます。またお子さん自身の特性や環境をその先生が理解して評価してくれているかどうかを確認することも大切な要素となってきます。そのために、話し合いをもつことはとても重要なことです。

辻 沙織
Brooklyn de Kosodate 代表
米国にて教育学修士課程
ニューヨーク州・カリフォルニア州・ノースカロライナ州に教員資格を保持
米国公立小学校にて10年教鞭をとる
その後、ブルックリンあおぞら学園で教育ダイレクターに就任
全米教育理事会より認定を取得
日本語で教育・発達に関するコンサルティングを行っている
自身も一児の母
Brooklyn de Kosodate website: https://www.brooklyn-de-kosodate.com

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