第7回 親子で学校に馴染めない場合、どうしたらよいか②

第7回 親子で学校に馴染めない場合、どうしたらよいか②

アメリカにおける家庭教育や現地校に関する悩みなどに分かりやすく回答します

更新日: 2024年01月08日

こんにちは、アメリカ、ニューヨークで教育コンサルタントをしている辻沙織です。

このコラムでは、家庭教育や現地校に関する悩みなどを実際の在米日本人の保護者の方々から寄せていただいたものをわかりやすく回答したり、教育や子育てに関するトピックを随時挙げていきたいと思っています。

今回は、前回のテーマに引き続き「親子で学校に馴染めない場合、どうしたらよいか」についてお話ししていけたらと思います。

前回のコラムでは、そのような問題について下の3つの提案をさせていただき、1つ目はコーピングスキルについて詳しく書かせていただきました。
1)コーピング・スキルについて
2)プレイデートの計画について
3)担任の先生へのお知らせについて
今回は、2つ目の提案:プレイデートの計画について書きたいと思います。

プレイデートの利点とは?

プレイデートとは、文字通り「遊びの約束」のことを言い、学校以外の時間に子どもたちが、会えるように親同士が段取りを取り計らってあげることです。この活動を取り込む事により下記のような利点があると考えられます。

  • 学校の教室の大人数ではなく、スモールグループないしは、1オン1でのお友達とのコミュニケーションが可能となるので、より相手の話を聞く・話すという対話の練習が家族以外の年齢の近いお友達とできる
    (コミュニケーション能力の向上)
  • クラスで、仲良くなりたいと思っている子、もしくは逆にご自身のお子さんと問題になっている子と一緒に1オン1でクラス外でプレイデートをすることで、心理的距離を縮めたり、分かり合えるきっかけを作ってあげることができる
    (社会的なスキルの発達)
  • 子どもたちにお互いの感情の理解や表現の方法を学ぶ機会を提供する。他の子どもたちとの関わりを通じて、感情の共有や扱い方を学べる
    感情の発達)
  • 遊びながら問題解決力や創造性を発揮し、新しいアイデアを得ることができる。
    (創造力・問題解決能力)
  • 定期的なプレイデートは、子供たちに安定感を提供し、ルーティンを構築するのに役立ちます。特に社会的なスキルが苦手なお子さんは、同じお友達と繰り返し定期的にプレイデートを行うのも効果的である
    (ルーティンの構築)

さて、いろいろとたくさん良さそうなことがありそうなプレイデート活動ですが、クラスで馴染めない場合でも、少人数や1オン1でプレイデートを重ねてみることで、実際にお子さんの社会的スキルもアップしたり、少しずつクラスのお友達との距離も縮めることも可能です。学校外で距離を縮めることにより、学校内でも自然と関わりをもてるようになっていくケースも徐々に増えていきます。

どうやってプレイデートに誘うのが良いのか?

ところで、プレイデートを実行に移すには、特にお子さんの年齢が小さいうちは親同士が計画しないと実現に至りません。多くの保護者は、送り迎え時や学校のボランティアや行事で一緒になった時に、他の保護者と挨拶しあったり、いろいろ世間話をしたりしていますが、その時にお子さんがプレイデートをしたいと言っている、とそのまま相手の親に伝えてみるのが一良い方法だと思います。

  • シンプルに「____ちゃん・くんとプレイデートしたい」とうちの子がよく最近言っているのと伝える

    ここで大切なのは、プレイデートをしたいを伝えるだけで終わらないことです。
    具体的に、いつが都合がいいのか、相手のスケジュールを聞いて何日の何曜日にと設定するところまで必ず行う様に心がけるようにしましょう。英語でどういうのかがハードルが高い場合は予め調べておくのも良いと思います。天気が良く暖かい季節なら公園やアイスクリームを食べにいったり、寒い日などならミュージアムやどちらかの家で遊んでも良いと思います。
  • 必ず、具体的なプレイデートの日程を決めること、もしくは少なくとも相手のスケジュールを聞いてみることで具体性がでてくる

    子どもが小さかったり、まだお互いをよく知らないうちは、両方の親やベビーシッターが同伴することもよくあることですが、慣れてくれば、片方の親が両方の子らを学校でピックアップしてプレイデートを世話するなどのアレンジも可能になってきます。
    英語が苦手という方も、最初は1対1のプレイデートからスタートし、相手の親御さんが来られるのあれば、仲を深めるチャンスです。確かに慣れない言語で、あまりよく知らない相手と二人きりになるのは勇気がいることなので、最初は公園や何かのイベントに一緒に行くという形のほうが気楽かもしれません。
  • 言語に不安を感じる方は、まずは小さい数でのプレイデートを相手の親御さんと一緒に計画してみしょう

    もし相手のお子さんや親御さんが家に来られるのであれば、相手の親御さんととはできるだけ気軽に接するようにしましょう。今回初めてしっかりと会話をするのであれば、自分の紹介も兼ねて、こちらからいろいろな質問を用意しておくと良いでしょう。例えば、相手のご出身を聞く、お子さんにご兄弟はいるのか?通っている学校のお子さんの様子はどうか?担任の先生についてどう思うか?習い事は何をしているのか?などです。子どもの悩みなどでどうしたらいいか相談したり、学校行事やイベントでわからないことも聞いてみるといいですね。
  • 言語に自信がない場合は、事前に聞きたい質問を用意しておくとよいでしょう。

    家に呼んでプレイデートをする場合、事前に自分のお子さんに触ってほしくないおもちゃなどは、お子さんと一緒にお話しして片付けるか目に触れないところにおく様にしましょう。そうすることによって、他のお子さんが遊びにきたときに、触って壊された、遊んでほしくなかったなどのトラブルも避けることができます。また、奇数の人数のプレイデートは要注意です。特に3人という人数は、難しく2対1という構図を作りやすくします。できれば避ける様にしましょう。
  • 家でのプレイデートでは、触ってほしくないおもちゃなどは片付けておく
    3人の(奇数)プレイデートは避ける

    おやつを買って与える、もしくは家で出す場合は相手のお子さんに食べ物のアレルギーや制約がないのかあらかじめ親御さんに確認しておきましょう。また、ペットを飼っている場合は、ペットにアレルギーがないかも確認しましょう。食べ物やおもちゃなどで揉めた場合は、様子を見ながら自己解決できそうなら子どもに任せる、仲裁に入った方がよさそうなら入ってあげましょう。
  • 食べ物をあげる場合やペットを飼っている場合は、アレルギーや制約を事前に確認すること

    楽しく遊べる日もあれば、そうでない日もあると思います。
    そういったいろいろな経験を積み重ねていく上で、いろいろな感情が発達していき、また他のお友達とどうやって接していったらよいのかやコミュニケーションをとったらいいのか、問題解決をしたらいいのかを徐々に学んでいきます。ゆっくりと見守ってあげましょう。   
  • 焦らず見守ること、お子さんは、必ずプレイデートで学んでいます

どれぐらいの頻度でプレイデートをしたらいいのか?

これは各家庭の事情にもよると思います。
お子さんによっては、習い事をしているお子さんもいらっしゃるでしょう。
また、土曜日に補習校に通っている子もいらっしゃるかもしれません。
各家庭のスケジュールに無理のない範囲でプレイデートを組み込むのが良いと思います。
週に1回ルーティンとして入れるご家庭もあれば、月に1度というご家庭もあるでしょうしそれぞれだと思います。また、プレイデートの相手ですが、毎回アメリカ人である必要もありません。お子さんがESLのクラスをとっているのであれば、ESLのクラスのお子さんとプレイデートをしてもよいですし、平日は現地校の英語のクラスで疲労していて、週末補習校のお友達と日本語でプレイデートをして精神的なストレスから解放されたいとしても良いでしょう。そうすることで、平日に頑張るエネルギーにできたりします。
お子さんのその時その時の成長の過程で、ご本人とも話あい、お子さんのニーズに寄り添いながら、プレイデートを計画していけるのが一番だと思います。
是非、各々の快適な形、ペースで試してみてください。

次回は、3つ目の担任の先生へのお知らせについて書いていきたいと思います。

辻 沙織
Brooklyn de Kosodate 代表
米国にて教育学修士課程
ニューヨーク州・カリフォルニア州・ノースカロライナ州に教員資格を保持
米国公立小学校にて10年教鞭をとる
その後、ブルックリンあおぞら学園で教育ダイレクターに就任
全米教育理事会より認定を取得
日本語で教育・発達に関するコンサルティングを行っている
自身も一児の母
Brooklyn de Kosodate website: https://www.brooklyn-de-kosodate.com

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