第6回 親子で学校に馴染めない場合、どうしたらよいか

第6回 親子で学校に馴染めない場合、どうしたらよいか

アメリカにおける家庭教育や現地校に関する悩みなどに分かりやすく回答します

更新日: 2023年11月07日

こんにちは、アメリカ、ニューヨークで教育コンサルタントをしている辻沙織です。

このコラムでは、家庭教育や現地校に関する悩みなどを実際の在米日本人の保護者の方々から寄せていただいたものをわかりやすく回答したり、教育や子育てに関するトピックを随時挙げていきたいと思っています。

NYは、すっかり秋の季節となりました。
新年度も始まって、既に2ヶ月が経ちました。この9月から初めて現地校に通い出したお子様はもちろんですが、去年まで仲の良かったお友達と別のクラスになってしまったお子様なども、新学期はなかなか馴染めるまで不安が続きますよね。

今回は、「親子で学校に馴染めない場合、どうしたらよいか」を数回に渡ってお話ししていけたらと思います。

少し前ですが、このような相談を受けたことがあります。
「4年生の息子が、どちらかというと内向的で、ランチのときや休み時間のときも一人ぼっちのときが多いようです。日本にいたときはそうでもなかったのですが、こちらに来てまだ1年なので、英語も思うように身に付かず、勉強もあまり身に入っていないような気がします。
私自身も、他の保護者との交流は挨拶する程度で交流がありません。最近は、学校にいきたくない素振りを見せることもあります。どうしたらよいか困っています。」

ここで起こっている問題は、彼が抱えている精神的・社会的な苦痛とそして、英語という言語の習得が為されていないことで起こる学習理解や思考力への発達への影響です。
まず、精神的・社会的苦痛について考えてみましょう。
この男の子は、日本では他の子と普通に遊べていたということであれば、やはり、新しい環境になかなか慣れず、それに英語が話せないことがさらに、友達の輪の中に入れないでいることは理解できる気がします。毎日、実際クラスやランチで一人でいるというのは、想像以上に辛く、言葉も100パーセントわからない中今まで頑張って通っている息子さんは大変頑張り屋で勇気のある子だと思います。
ただ、この状態が長く続くとストレスに拍車がかかってしまい、後々予想ができないような影響が出てくる可能性もあります。

ここでは、3つの提案について書いていきたいと思います。

  1. コーピング・スキルについて
  2. プレイデートの計画について
  3. 担任の先生へのお知らせについて

今回は、コーピング・スキルについて書きたいと思います。

コーピング・スキル、皆さん何だか聞いたことはありますか?
コーピングの語源は「問題に対応する、切り抜ける」という意味で、ストレスに対しての対処法を知り、ストレス反応を和らげることをいいます。現地校のクラスやスクールカウンセラーによってよく教えられるスキルでもあります。

私たち人間は、毎日たくさん起こるストレスの中、生きています。
それはもちろん子どもも同じであり、今話した彼も大きなストレスを抱えています。
そう言ったストレスを避けることはなかなか難しいけれど、自分で自分のストレスが溜まって辛いと思う時に、どういうふうに対処したらいいかわかっていたら少しは楽になれるのではないでしょうか。
まずは彼の気持ちを認識してあげることが大切です。
このような辛い状況を、どうやって自分で自分自身を慰めてあげたり、元気付けてあげるかを一緒に考えてあげるのも大事なスキルの一つだと思います。

子供たちがコーピングスキルを獲得するためには以下の要素が重要です:

  • 感情の認識: 子供たちは、自分の感情を理解し、認識することが重要です。
    怒り、悲しみ、喜びなどの感情を識別し、それらがどのように彼らの行動や反応に影響するかを理解します。
  • 感情の表現: 子供たちには、感情を健康的に表現する方法を学ぶ機会が必要です。
    感情を言葉で表現したり、絵を描いたりすることで、感情を解放しやすくなります。
  • 問題解決能力: 子供たちは、困難な状況を理解し、それに対処する方法を見つける能力を開発する必要があります。具体的な問題に対して具体的な解決策を考えることが重要です。
  • リラックス技法: ストレスの緩和に役立つリラックス技法を学ぶことが重要です。深呼吸、瞑想、リラックスした音楽の聴取などが含まれます。
  • ポジティブな思考: 自己評価や自己肯定感を高めるために、ポジティブな思考パターンを養うことが重要です。失敗や困難に対しても、前向きなアプローチを持つことが大切です。
  • 社会的な支援: 友達や家族とのコミュニケーションや関係は、子供たちがストレスや困難な状況に対処する際に重要です。信頼できる大人や友人とのつながりは、子供たちが安心感を持ち、助けを求める自信を持つのに役立ちます。

これらのコーピングスキルは、子供たちが健康に成長し、人生のさまざまな局面で成功するために重要です。大人たちは、子供たちがこれらのスキルを練習し、発展させる手助けをする役割を果たすことができます。

次回は、2つ目の提案のプレイデートの計画について書いていきたいと思います。

辻 沙織
Brooklyn de Kosodate 代表
米国にて教育学修士課程
ニューヨーク州・カリフォルニア州・ノースカロライナ州に教員資格を保持
米国公立小学校にて10年教鞭をとる
その後、ブルックリンあおぞら学園で教育ダイレクターに就任
全米教育理事会より認定を取得
日本語で教育・発達に関するコンサルティングを行っている
自身も一児の母
Brooklyn de Kosodate website: https://www.brooklyn-de-kosodate.com

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