第4回「カジノでの賞金がある場合の税金処理」
第4回「カジノでの賞金がある場合の税金処理」
アメリカの税金に関わる質問について分かりやすくお伝えします!
更新日: 2023年12月13日
Q. カジノで賞金を得たのですが、課税対象になるのでしょうか?
今回は駐在期間中の、給与以外の個人的な収入についてお話をさせていただきたいと思います。よくご質問をいただくケースですので、今回はギャンブルでの賞金について書いてみたいと思います。
アメリカでの駐在期間中にせっかくの機会ですので、アメリカ国内旅行に行かれることもあるかと思います。人気の観光地と言えば、自然豊かな国立公園だけでなくカジノやエンターテインメントの豊富なラスベガスなどになるでしょうか。
カジノで楽しく遊んでいるだけだったら何も税金のことなど考える必要はないのですが、賞金があった場合アメリカでは課税の対象となっています。
(ちなみに日本でも公営ギャンブル(競馬、競輪等)やその他各種ギャンブルでの払戻金も一時所得として課税の対象です。)
スロット等で当てた場合、カジノからForm W2Gという書類が発行されます。こちらの書類には、いくら賞金がカジノから支払われたか記載されています。そしてこの賞金などの情報はIRS(日本の国税庁に相当)に共有されています。つまり、確定申告にこの賞金が報告されていないと、当局から「賞金も含めて報告してください」という通知が発行されることになります。
駐在員の方でForm W2Gを受け取った場合は、必ず申告書作成をする会計士に書類を共有するようにしてください。
ちなみに、カジノが賞金の記載された書類を発行する際に、Form 1042-Sという書類を発行することがあります。こちらはアメリカの「非居住者」用に発行される書類になります。(カジノ側は日本からの観光客と勘違いして発行するようです。)
アメリカでお仕事をされている方は、通常アメリカの「居住者」に該当しますので「Form W2Gを発行してください。」と依頼してください。外国人と勘違いされたままForm 1042-Sが発行されると、賞金から不要な源泉徴収が行われる可能性があります。こちらは申告で還付を請求することができますが、場合によっては還付が認められないこともあります。
また、書類発行後にForm W2Gの再発行を依頼しても、カジノ側が対応してくれないケースがあります。この記事を読んでカジノに行かれる方は、くれぐれも書類の種類に注意してください。
カジノの賞金は前述の通り課税の対象となります。駐在員の税金は会社が負担することになっていることがほとんどですので、何もしないと会社がカジノの賞金にかかる税金まで負担することになります。勤務先がすべての税金を負担するとしている場合は何も問題がありませんが、私的な所得にかかる税金については本人負担となっている場合別途精算が必要になります。
この精算方法等については、お勤め先の駐在員規定に記載されていることがほとんどですので、カジノで勝った場合は一度駐在員規定を確認することをお勧めいたします。
大森朋章(おおもりともあき)・米国公認会計士(ワシントン州)
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記事一覧
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- 第4回「カジノでの賞金がある場合の税金処理」
- 第3回「米国における配偶者収入の取り扱い」
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