第2回「越境リモートワークの税金処理」

第2回「越境リモートワークの税金処理」

アメリカの税金に関わる質問について分かりやすくお伝えします!

更新日: 2023年08月04日

Q. 日本の企業の仕事をリモートで請け負っています。税金処理をどうしたら良いでしょうか?

いただいたご質問にて「請け負っている」とありますので、日本の企業から「業務委託」を受けてアメリカでお仕事をされている前提で回答させていただきます。

ご自身がアメリカに滞在し日本からの業務委託を受けている場合、アメリカで個人事業主として確定申告書の提出が必要となります。配偶者が駐在員の場合、原則として駐在員の給与所得と個人事業主の事業所得を併せて確定申告をすることになります。

今回のご相談では、配偶者が駐在員という前提で以下お話をさせていただきます。

日本からの駐在員の場合、アメリカでの所得税については原則会社が負担することになっている日系企業がほとんどになります。

今回のご相談者様の配偶者が日系企業にお勤めの駐在員の場合、事業所得にかかる税金をどのように扱うかについて勤務先と確認する必要があります。企業によっては「駐在員規定」と呼ばれる規定が用意されており、そちらに赴任先国での税金についてどのように扱うか書かれていることがあります。どのように書かれているかは企業によって異なりますが、多く見受けられるのは「赴任先国で発生する所得税については会社が負担する」となっています。

ただし、会社によっては赴任先国で配偶者が仕事をすることを想定しておらず、自社に勤める駐在員の給与所得のみを想定していることが多い状況です。従って、今回のご相談者様の事業所得については、どのように扱われるかを人事ご担当者様などに事前に確認することをお勧めいたします。お仕事をされる前に税金の取り扱いを確認することによって、勤務先とのトラブルを回避することができますので早めに相談されたほうが良いでしょう。

夫婦個別申告を選択し、配偶者それぞれ申告書を作成し提出することも可能ではあります。ただし、夫婦個別申告を選択した場合、夫婦合算申告と比較して税額が高くなることが多くあります。

配偶者の勤務先が、駐在員個別の事情による税額の増加を受け入れられるかという問題がありますので、こちらの選択をする場合も勤務先とよく確認する必要があるかと思います。

企業にとっては、駐在員の税金はコストになりますので慎重な検討が必要です。

大森朋章(おおもりともあき)・米国公認会計士(ワシントン州)
プロフィールはこちら

記事一覧

 

リダックでは、在米企業の求人と、リダックくらぶ会員(駐在帯同者)の求職のご希望をつなげる新しいプラットフォーム「リダじょぶ」をはじめました!

その他のおすすめ投稿