第12回 アメリカの学校で働く主なスタッフの種類とその役割

こんにちは、アメリカ、ニューヨークで教育コンサルタントをしている辻 沙織です。

このコラムでは、在米日本人の保護者からの家庭教育や現地校に関する悩みに答え、教育や子育てに関するトピックを提供しています。

NYでは秋も深まり、2024年も終わりに近づいてきました。 学校生活のリズムに慣れ、緊張も少しずつ解けてきた頃でしょう。 そして、これからサンクスギビングやクリスマスといったホリデーシーズンを迎え、子どもたちも親御さんたちも心が弾む時期となりますね。

学校にもよりますが、長い夏休みを経た後、最初のアセスメント(評価)がこの時期に終わっていることが多いです。(もちろん、「アセスメント」の方法は学校ごとに異なります。担任の先生はこの段階で、生徒一人ひとりの学力や課題を把握し、結果に基づいて**Differentiation(個別最適化)**を行い、教室内外のリソースを活用して支援を進めていきます。
以前、全3回シリーズ「親子で学校に馴染めない場合、どうしたらよいか」で少し触れましたが、アメリカの学校には、日本の学校にはいない専門スタッフが配置されていることが多く、子どもに必要な支援をスムーズに受けるために、どのスタッフに相談すればよいかを理解することが重要です。今回は、「アメリカの学校で働く主なスタッフの種類とその役割」についてご紹介します(全ての学校が同じとは限りませんので、参考程度にご覧くださいね)。

(アドミンチーム Administration Team)

校長、副校長、事務スタッフなど、多様な役職から構成され、学校全体の運営とサポートに不可欠な存在です。生徒の学習環境を整え、教職員や保護者と連携しながら、学校の目標達成に向けて運営を支えています。

  • Principal(校長)
    学校全体の管理者であり、教育方針の策定と実施を指導します。予算管理、教職員の評価、保護者や地域との連携など、多岐にわたる役割を持ちます。
  • Assistant Principal(副校長)
    校長を補佐し、生徒の行動指導、安全管理、学校行事の企画などの運営支援を行います。

(教職員 Teachers)

教職員は、生徒の学びを直接サポートする職員です。専門分野ごとに異なる役割があります。

  • Classroom Teacher(担任教師)
    各学年または教科の指導を行い、生徒の学力向上をサポートします。授業計画の立案、テストの実施、成績の評価を担当します。
  • Special Education Teacher(特別支援教育教師)
    学習障害や発達障害のある生徒を対象に、**個別支援計画(IEP)**に基づいた指導を行い、他の教師や保護者と連携し、生徒が必要な支援を受けられるように調整します。
  • Subject Specialist(専門教科教師)
    美術、音楽、体育、テクノロジーなど、特定の分野を専門とし、生徒の創造力や身体能力の発展を目指した授業を行います。
  • ELL/ESL Teacher(ELL/ESL教師)
    英語が母語でない生徒に対して、英語の読み書き、会話、リスニングスキルを指導します。ELL生徒の言語能力を向上させることで、他教科の学習に必要な言語力をサポートします。学校によっては巡回型でサポートする場合もあります。

(カウンセラーとサポートスタッフCounselors and Support Staff)

生徒の学業面、感情面、進路のサポートを行い、心の健康を支える重要な職員です。
*駐在型、巡回型など学校や地域によって様々です。

  • School Counselor(スクールカウンセラー)
    生徒の学習、メンタルヘルス、進路の相談に応じます。生徒が学校生活で困難を感じた際の窓口となり、問題解決をサポートします。教室全体、個人、グループへの介入を行い、幅広い形で生徒の成長を支えます。
  • School Psychologist(学校心理士)
    生徒の行動や学習面の問題を心理的な側面からサポートします。特別支援教育の評価を行い、生徒への適切な支援方法を検討します。
  • Social Worker(スクールソーシャルワーカー)
    家庭や地域との連携を通じて、生徒の生活面の問題に対応します。生活困窮や家庭問題が学業に影響しないよう、地域の支援機関や福祉団体と連携します。
  • Guidance Counselor(進路指導カウンセラー)中学校以上の事が多い
    生徒の進路指導と進学相談に特化し、履修科目の選択やキャリアプランの立案を支援します。大学入試の手続きや奨学金情報の提供、就職・インターンシップの紹介も担当します。

(セラピストとサポートスタッフTherapists and Support Staff)

特定の課題に対して治療的な介入を行います。学校内で関わるセラピストにはさまざまな種類があり、特に心理的ケア、言語支援、運動発達支援が必要な生徒に対応します。
*駐在型、巡回型など学校や地域によって様々です。場合によっては学校外のセラピストと協力するケースもあります。

  • Speech-Language Therapist(言語療法士 / スピーチセラピスト)
    発音の矯正や言葉の遅れに対する指導を行い、生徒の**言語理解力(読解力や語彙の習得)**を向上させます。
    発話や言語理解のサポートに加え、ライティングや感情表現なども指導します。
    読書後に自分の考えや感情を表現するなど、自己表現スキルの強化を目的とした個別指導やスモールグループでの支援を提供します。
  • Occupational Therapist(作業療法士 / OT)
    運動機能や日常生活スキルに困難がある生徒をサポートします。
    手先の不器用さや書字の苦手さに対する指導。日常生活スキル(着替え、食事など)の習得支援。感覚処理に困難がある生徒に対して、感覚統合療法を提供し、感覚のバランスを整えます。生徒の自己管理能力を高め、感情や行動を適切に表現するスキルを育成します。
  • Physical Therapist(理学療法士 / PT)
    身体的な運動機能に問題がある生徒をサポートします。
    歩行や姿勢の矯正。筋力や柔軟性を高めるためのエクササイズプログラムを提供。教室や学校施設での移動サポートが必要な生徒のための対応。身体障害のある生徒が安全に学校生活を送れるよう支援します

(健康管理職員 Health Staff)

児童の健康を守り、学校生活を支える職員です。

  • School Nurse(学校看護師)
    怪我や病気への対応、健康診断、感染症予防など、健康管理全般を担当します。アレルギーや持病を持つ生徒の管理計画を立て、教職員と連携して対応します。

今回は、「アメリカの学校にいるスタッフとその役割」についてご紹介しました。
私自身、教職員スタッフとして長年公立小学校で働いてきましたが、その間、本当に多くの専門スタッフに助けられたり、助けたり、支え合いながら仕事をしてきました。
保護者としては、担任教師を最初の相談相手とし、必要に応じてカウンセラーやセラピストなどの専門家につないでもらうことが重要です。それぞれのスタッフが協力することで、子どもたちが安心して学校生活を送れる環境が整います。 次回の記事では、今回紹介したスタッフの支援を踏まえた具体的なケーススタディをお届けします。 「どの職員に相談するのが適切か?」をテーマに、実際のシナリオに基づいて解説していきます。どうぞお楽しみに!

 

辻 沙織
Brooklyn de Kosodate 代表
米国にて教育学修士課程
ニューヨーク州・カリフォルニア州・ノースカロライナ州に教員資格を保持
米国公立小学校にて10年教鞭をとる
その後、ブルックリンあおぞら学園で教育ダイレクターに就任
全米教育理事会より認定を取得
日本語で教育・発達に関するコンサルティングを行っている
自身も一児の母
Brooklyn de Kosodate website: https://www.brooklyn-de-kosodate.com

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第11回 子どもの新学期における学校への適応について

こんにちは、アメリカ、ニューヨークで教育コンサルタントをしている辻 沙織です。

このコラムでは、在米日本人の保護者からの家庭教育や現地校に関する悩みに答え、教育や子育てに関するトピックを提供しています。

アメリカでは毎年9月に新学期が始まり、新しい学年がスタートします。
新学期の始まりは、お子さんにとっても親御さんにとっても新たな節目となる重要な時期です。学年の変わり目や、幼稚園から小学校、小学校から中学校への移行など、新たな段階へ進むタイミングでもあります。新学期が始まる最初の数週間は、生徒だけでなく親にとっても、新しいルーチンや環境、期待に適応するための重要な期間です。
この大きな変化には、ワクワク感や不安、そして時には困難が伴うことが多く、それは子どもだけでなく親にとっても同様です。
この適応期間は、その後の学年の過ごし方に大きな影響を与えることになります。
では、親はこの時期をどのように乗り越え、子どもの幸福や自身の心の平穏に最小限の影響を与えることができるのでしょうか?
今回の記事では、「子どもの新学期における学校への適応」について、いくつかの答えを見つけていきたいと思います。

学校への適応とは?

まず、「子供の学校への適応」について考えていきたいと思います。
本質的には、「適応」とは、新しい学校環境に慣れ、規則的な学習ルーチンに慣れ、学校特有の条件に順応する過程を指します。
心理学者によると、この適応期間は6〜8週間から6ヶ月、場合によってはそれ以上かかることもあります。このプロセスの長さは、家庭環境、子供の性格、知識やスキルのレベル、教育機関の種類、カリキュラムの難易度など、さまざまな要因によって異なります。

3つの適応段階

適応プロセスは通常、3つの主要な段階に分けられ、それぞれに独自の特徴があります。

  1. オリエンテーション段階
    この段階では、子供は新しい環境に直面し、状況、境界、規範などを学びます。これは多くの子供にとって非常に難しいものであり、そのため、子供はしばしば身体的にも心理的にも緊張しています。
    期間: 通常、2〜3週間
  2. 適応段階
    名前の通り、子供は徐々に適応し始めます。最適な行動を見つけ始め、行動パターンが子供の頭の中に形成されます。これにより、身体は第1段階よりも少ないエネルギーを消費するようになります。反応はすでに感情的に少し落ち着いています。
    期間: 約2〜3週間
  3. 統合段階
    この段階で、子供たちは新しい環境に対して自信を持ち始めます。概念が最終的に確立され、その意味が深まります。
    期間: 5〜6週間から1年

以上からも分かるように、「順応する過程には時間がかかる」ということを理解していただけると思います。 小学校では、担任の先生が1クラスで30人近くの生徒を担当する場合があります。
学年の初めに、生徒の特性を聞いてくださる先生も多いですが、そうでない先生もいらっしゃいます。
その場合、親御さんからお子さんの特性を詳しく書いて提出するのは、お子さんの特性を理解してもらうために役立ちます。
特に低学年の場合、お子さんの写真付きで作成して提出すると良いでしょう。これにより、教師との調和や理解が深まり、お子さんの適応プロセスに大いに役立ちます。また、必要に応じて、スクールサイコロジストやカウンセラー、スクールナースなどの専門家に助けを求めることを躊躇しないでください。

この期間中、子供たちは不安の増加、内的なストレス、そして低い自尊心を経験するかもしれません。それぞれの子供が自分に合ったペースで学べるようにすることが大切です。調和のとれた適応プロセスには、大人の説明やサポート、安心感を与える言葉が大切です。親御さんは、この適応プロセスが一時的なものであることを認識し、支援的なアプローチを取ることで、神経衰弱を防ぐことができます。

もし、お子さんが新しい環境に慣れるのに特に心配がある場合や、他の子よりも時間がかかる特性がある場合、身体的なサポートが学校に通う間に必要である場合(504プランなど)、または特別支援のサポート(IEP)を受けている場合、新しい担任の先生や学校の専門家と前もって、もしくは新学期が始まってすぐに話し合いを設けることを強くお勧めします。事前にオンラインや直接話す機会を設けてくれる可能性が高いです。

SELの感情のチャート

この時期、家庭で安心感を与える言葉や支援的なアプローチを取ることが大切です。しかし、「どうやって?」という疑問が浮かぶかもしれません。皆さん、「Inside Out」という映画をご存知でしょうか?この映画では、ライリーという女の子の中に住む五つの感情、「喜び」「悲しみ」「怒り」「嫌悪」「恐れ」が交互に現れ、時には入り混じったり、葛藤を表したりします。この感情の波は、まさに多くの人が共感できるものです。

新学期という慣れない環境、新しい先生、ルーチン、同級生など、日々の中で様々な感情が生まれることで、子どもたちは普段以上に疲れてしまうことがあります。
その結果、家に帰ってきてから一人で遊ぶ時間が欲しくなったり、癇癪を起こしたり、時には親に当たるような行動を取ることもあるかもしれません。気持ちを聞いても、どう表現すれば良いか分からない、または言いたくない時もあるでしょう。
言葉で表現できないときや、したくないときは、他の方法を普段から選べるようにしておくのも一つの手です。

特にNYの学校では、SEL(Social Emotional Learning)の一環として感情表現のチャートやカードなどを学校で学んだり、配布されたりしていることが多いです。インターネットでも検索できるので、ぜひ、家庭でも活用して親子のコミュニケーションに役立ててみてくださいね。

辻 沙織
Brooklyn de Kosodate 代表
米国にて教育学修士課程
ニューヨーク州・カリフォルニア州・ノースカロライナ州に教員資格を保持
米国公立小学校にて10年教鞭をとる
その後、ブルックリンあおぞら学園で教育ダイレクターに就任
全米教育理事会より認定を取得
日本語で教育・発達に関するコンサルティングを行っている
自身も一児の母
Brooklyn de Kosodate website: https://www.brooklyn-de-kosodate.com

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第10回 夏休み中に学んだことを忘れちゃう!?サマースライドへの対策

こんにちは、アメリカ、ニューヨークで教育コンサルタントをしている辻 沙織です。

このコラムでは、在米日本人の保護者からの家庭教育や現地校に関する悩みに答え、教育や子育てに関するトピックを提供しています。

アメリカでは学年末を迎え夏休みに突入していることでしょう。サマーキャンプに参加される方、ご家庭で夏休みを過ごされる方、日本に一時帰国される方など様々かと思います。お子さんたちも、毎日の学校から解放されて、ゆっくり羽を伸ばしたくてワクワクしているかと思います。

そこで今回の教育コラムでは、「夏休み中に起こるサマー・スライドとそれについての対策」をテーマに情報をお届けします。

サマー・スライドとは?

「サマー・スライド」という言葉を耳にしたことはありますか?
アメリカでは、6月にスタートし、7月は丸1ヶ月、そして8月の中旬、学区によっては8月いっぱいが夏休みです。2ヶ月から、長ければ3ヶ月もの長期の休暇が子どもたちを待っています。ある研究結果では、お子さまが学校から離れる期間が長い夏の間に、学校で習ったことを忘れてしまうことが証明されています。国語や算数などの授業で学んだことを夏休みの間に忘れてしまう傾向は、お子様の年齢が上がるにつれてより悪化する傾向にあり、その数字は年々上昇しています。この現象を「サマー・スライド」と呼びます。

この学力差は、毎年の夏休みが終わるたびに累積していき、小学校の6年間で、決定的になってくると言われています。それもそのはず、アメリカの夏休みは1年のうち、20数パーセントの期間を占めているので、夏休みのうちに差が着くとなかなか取り返すことが難しくなってしまうということなのです。

サマー・スライドの要因

サマー・スライドの主な要因として考えられるのは、夏休み中の読書不足です。
研究者によると、夏休みに読書不足が続くと中学校に到達する頃には、夏休みの読書損失が2年分の読解力の遅れとして蓄積されていると推定されています。

一見すると、親は夏の読書の重要性を認識しているようです。
実際、94%の親が夏の読書が学校の成績に役立つと同意しています。
しかし、学校に通う子どもを持つ親のほぼ半数(47%)は「サマー・スライド」を知らないのです。(出典:Scholastic) 他の読書習慣の傾向と同様に、頻繁に読書をする子ども(週に5〜7日間楽しんで本を読む子供)の親は、まれにしか読書をしない子ども(週に1日未満しか楽しんで本を読まない子ども)の親よりもサマー・スライドについての認識が高いです。

幸いにも、夏休みを楽しみながら、夏のサマー・スライドの影響を和らげる方法はたくさんあります。さらには、新しいことを学びながらその時期を乗り越えることも可能です。

対策と多様なプログラムの紹介

サマー・スライドの影響を最小限に抑えるためには、夏休み中も学習の機会を提供することが重要です。次のような方法があります:

  • 読書プログラムの参加: 地域の図書館や学校が提供する夏の読書プログラムに参加することで、子供たちが読書を続ける動機づけとなります。
  • 楽しい学習活動の計画: 子供たちが楽しみながら学べるような活動(例えば、科学実験や博物館の見学)を計画すること。
  • 家庭での学習環境の整備: 家庭での学習時間を確保し、親子で一緒に学ぶ時間を設けること。

では、様々な方法とプログラムをご紹介していきます。

年齢の低いお子さんに関して
本を選ぶ際にお子様に適切なレベルかどうか迷うことがあるかと思います。そういうときは、「5本指テスト」が有効です。

5本指テスト
お子様が読書をする際、その本がお子さんのレベルに合っているかを確かめるのに役立ちます。お子さんの適切なレベルよりも難しすぎる本を選ぶと、読書に魅力を感じなくなってしまう可能性もあるので、お子さんの今のレベルに合った本を選ぶことが大切です。

  1. その本の真ん中辺りのページをランダムに開き、読み始める
  2. お子さんに、わからない語彙があるたびに指を一本ずつ折らせる
  3. そのページを読み終わった時点で、何本の指を折ったか数える

指の数の目安:

  • 0:簡単な本
  • 1~5:適切な本
  • 5本以上:少し難易度が高い本

読書チャレンジ

夏休みの間本を読み続けるモチベーションや、チャレンジごとが好きなお子さんには「読書チャレンジ」と題して、様々なコミュニティーや企業が支援している夏の読書プログラムに参加してみてはいかがでしょうか。

各企業とのコラボレーションプログラムの紹介

  1. Barnes & Noble:毎年夏に、Barnes & Nobleはあらゆる年齢のお子さんたちが楽しめる、夏の読書に最適な優れた本のリストを選定します。お子さんたちは8冊の本を読み、それをWeb上でダウンロード可能な読書ジャーナルに記録し、お店に持っていくと無料の本をもらうことができます。このプログラムは1年生から6年生の生徒を対象とし、読書ジャーナルを完成させた各お子さんには1冊の本が提供されます。
    Barns & Noble 読書チャレンジ
  2. Camp BOOK IT! With Pizza Hut:食べることが好きなお子さんには、読書の習慣を育むだけでなく美味しい報酬が待っている読書チャレンジに挑戦してみるのも良いでしょう。お子さんの月の読書目標を設定し、デジタルダッシュボードで追跡します。月間の読書目標を達成すると、お子さんたちはPizza Hutの無料パーソナルパンピザを受け取ることができます。
    Camp BOOK it with Pizza Hut 読書チャレンジ
  3. Showcase Cinemas:本を読んで、BOOKWORM WEDNESDAYSで無料の夏の映画を楽しむチケットを手に入れましょう。参加しているShowcase Cinemasのチケット売り場で、読書感想文を提出すると、選ばれたお子さん向け映画への無料入場券をもらうことができます。
    Shocasesシネマで読書チャレンジ
  4. Scholastic:Scholasticには、夏の読書のためのデジタルホームベースがあります。お子さんたちはここでアバターを作成し、完全に管理されたオンラインスペースで新しい友達を作り、バーチャルリワードを獲得することができます。必要なのは、サインアップして夏の間Scholastic Home Baseで読書を続けることだけです。
    Scholastic Summer Reading ホームベース
  5. プロのスポーツチームとの読書チャレンジ:スポーツ好きのお子さんには、多くのプロスポーツチームが夏の読書プログラムをスポンサーしており、その中にはタンパベイ・レイズやシカゴ・ファイアFCも含まれます。地元のチームが読書プログラムを提供しているかどうかを確認してみてください。
    タンパベイ・レイズ読書チャレンジ
    シカゴ・ファイアFC読書チャレンジ

もちろん、読書だけが全てではありませんが、今回のコラムでは読書に焦点を当てて書いてみました。夏休みの学習の一環として、ぜひこれらのプログラムを活用してみてください。

ご家族で楽しく意義のある夏休みになることを祈っております。

辻 沙織
Brooklyn de Kosodate 代表
米国にて教育学修士課程
ニューヨーク州・カリフォルニア州・ノースカロライナ州に教員資格を保持
米国公立小学校にて10年教鞭をとる
その後、ブルックリンあおぞら学園で教育ダイレクターに就任
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自身も一児の母
Brooklyn de Kosodate website: https://www.brooklyn-de-kosodate.com

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第9回 アメリカにおける不登校

こんにちは、アメリカ、ニューヨークで教育コンサルタントをしている辻 沙織です。

このコラムでは、在米日本人の保護者からの家庭教育や現地校に関する悩みに答え、教育や子育てに関するトピックを提供しています。

今回のテーマは、「アメリカにおける不登校」について触れたいと思います。

アメリカでは、不登校への認識や寛容度、また対処法などが日本と大きく異なります。
不登校を放置すると「ネグレクト」と取り扱われ、警察や司法が介入することもあります。
今回のコラムでは、異なる年齢や状況の2つの相談例をご紹介します。

ケース1:言語の壁に直面する小学生

相談例:
在米1年半の小3の娘が英語が分からない中、最初の1年は楽しく学校に通っていました。
しかし、3年生になり学業が難しくなると共に、クラスの雰囲気も楽しめなくなったと言います。

対応策:不登校の原因は様々ですが、仲の良い友人がいないことや、クラスで孤立しているということも十分可能性があります。
もちろん家でお子さんに何が起こっているのか直接聞くことも大事ですが、子どもは親に心配をかけないために、学校での嫌な事を言わない場合もよくあります。
学校での様子を担任やスクールカウンセラーにすぐにでも相談してみてください。
まずいじめなどの問題がないことを確認した上で、対策を探ることが重要です。
また、以前の記事でも紹介したようなプレイデートなど友達関係を構築する活動を心がけるのも大切な要素の一つです。

ケース2: 異文化の中での孤立感

相談例:
◆なぜ不登校に・・・

仕事の都合でNYに転勤し、子どもも一緒にこちらの学校へ転入しました。
上の子が7年生、下の子は小学校低学年でこちらの学校に転入したが、下の子はスムーズに言語を覚え、現地の子どもと仲良くなるが、上の子は現地のクラスでは日本人の生徒は一人もおらず、すでにグループもできていたりして、友達を作るのが難しかった。
一人ぼっちが続いて交友関係で悩みました。
「学校は楽しくない、日本に帰りたい」といい、夜に日本にいる友人とネットなどで繋がって自分自身を癒していた様ですが、時差もあるせいで翌朝起きるのが辛かったりするようになり、そのうち、現地のクラスの子にからかわれるような出来事があり、ますます学校への足が遠のいて「行きたくない」と言い出す様になりました。

解決策:日本での友人との別れや学校の違いから子どもが、孤立感を抱くことは理解できます。
学校はある程度柔軟な対応を示すかもしれませんが、不登校が続く場合は専門家の助けを求めることが重要です。アメリカでは、不登校が法的問題となることもあります。学校と協力して解決策を見つける必要があります。

学校側の対応は?
学校側は、当初は理解を示してくれ、Zoomでのクラス参加を受け入れてくれたり、クラスメートにも働きかけてくれて手紙をくれたり、などと柔軟に対応してくれました。
しかし、毎週、登校できる日が1~2日あったり、その後行けなくなる日が続いたり、そういった日々が続き、さすがに学校側も「心理カウンセラーに通うように、もしくは精神科の医師に相談して診断を求めるように」などとアドバイスしてきました。

解決策: アメリカでは「不登校」に対して、驚くほど厳しい対策が取られます。
まず、義務教育中の不登校は違法で、親の「ネグレクト」とみなされます。
学校が通報して、警察や司法が介入する問題に発展することがあります。
これはもちろん最悪のケースですが、こうなることを防ぐためには学校に頻繁に相談し、助けを求め、学校側を味方につけて一緒に協力してもらうことが重要です。
学校側としては、面談での協議の結果、前述したの様に不登校の子らに精神科医の診断を勧めることが多いようです。
学校の指導通りに専門家の助けを受けることは、お子さんのの本質的な問題に親も一緒に向き合っているということに繫がります。
つまり、親も学校も協力しながら「不登校」に対してアクションをしているということを示すことがとても大切になってきます。
専門家の介入によって、学校はお子さんに適した学校や学習形態を勧めてくるかもしれません。

◆ホームスクール?
学校側は、とにかく学校に来れないのであれば「ホームスクール」にするのではどうかと提案してきました。
このままでは出席日数が足りなくなるというのです。
また、カウンセラーや精神科に通っている風でもない場合、これ以上はネグレクトとみなされ警察に通報せざる得ないという状況ということの通告でした。
子どもとこのまま不登校が続くと親が警察が通報されてしまう状況を打ち明け、カウンセリングに通えるかどうかを再度じっくりと話し合ったところ、英語でのカウンセラー・精神科との医者での面談は自分の状況をきちんと話せるか・理解してもらえるかが不安なため嫌だとの事だったので日本人の方を紹介してもらい通い始めたことを学校に報告しました。
ホームスクールという選択肢は考えられずもう少し日本人がいる学校に転入したい、学校という組織自体は嫌いではないという気持ちだということがわかりました。


解決策:アメリカのホームスクールは、法的にも認められており、親や家庭教師という選択肢のみではなく、学校や学校以外の公的機関、支援団体も積極的に関わるなどホームスクーリングを行うための環境が整っています。
また、ホームスクーリングを行う家庭の絶対数が多いため、ホームスクーリング同士の交流や支援団体を通した交流など子ども同士がコミュニケーションを取る機会も十分にあります。特にニューヨークは大きなホームスクールアソシエーションもあって、定期的に地域ごとにスクーリングなども行っています。

同じ状況ままではご両親もお子さん本人も本当につらいでしょうし、「どんな形でもいいので、お子さんが毎日を楽しめたらいいなと」という親御さんのお気持ちは、極限まで追いつめられていらっしゃるものだと理解できます。
今回学校から通告を得ることで少し強制的な形となりましたが、お子さんの本質的な問題を理解し、それに対処した治療やセッションを日本語で受けるという決断をしたお子さん、これから気持ちを楽にすることができ、また結果に応じて、お子さんに本当に合う学習形態を見つけられるかが今後の課題だと思われます。

辻 沙織
Brooklyn de Kosodate 代表
米国にて教育学修士課程
ニューヨーク州・カリフォルニア州・ノースカロライナ州に教員資格を保持
米国公立小学校にて10年教鞭をとる
その後、ブルックリンあおぞら学園で教育ダイレクターに就任
全米教育理事会より認定を取得
日本語で教育・発達に関するコンサルティングを行っている
自身も一児の母
Brooklyn de Kosodate website: https://www.brooklyn-de-kosodate.com

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第8回 3つ目の提案:担任の先生へのお知らせ

こんにちは、アメリカ、ニューヨークで教育コンサルタントをしている辻 沙織です。
このコラムでは、在米日本人の保護者から寄せられた家庭教育や現地校に関する悩みに回答し、教育や子育てに関するトピックを提供しています。
今回は、全3回の「親子で学校に馴染めない場合、どうしたらよいか」シリーズの最終回です。

過去の回では、コーピングスキルやプレイデートの計画について詳しく書かせていただきました。
1)コーピング・スキルについて
2)プレイデートの計画について
3)担任の先生へのお知らせについて
今回は、3つ目の提案:担任の先生へのお知らせについて書きたいと思います。

最近、こんな相談を受けました。「現地校1年生の子どもが最近クラスメートとうまくいっていないようで、会うたびに嫌なこと言われたり、押されたり手を出されたりするようで、やめてと言ってもやめてもらえないようです。 教室内でも何度か泣いているようで、家に帰ってきても最近よくその子のことを話しています。」よく聞くと、そのクラスメートはクラスの中でも問題があるようで、相談者さんのお子さんだけでなく他の子にも同じことをしているようでした。
このような精神的・身体的に影響を及ぼす「いじめ」や性や人種に関するいじめなども深刻な問題です。自分のお子さんが出す小さなサインを見逃さず、こういったケースはすぐに担任やカウンセラーに相談しましょう

担任の先生に連絡するべき?いじめかそうでないのかの判断?
お子さんが友達にいじめられているということですが、一見仲良く見える友達どうしの実は片方が暴力的で、パンチやキックをしてくる、というのはよくあるパターンです。
これは周りから見ると遊んでふざけているように見えるので気がつきにくいのですが、実は力での上下関係が存在し、これが続くと立派な「いじめ」として成立します。
やられる側の子供は、もちろん恐怖を覚えて相手の言う通りに行動したりし始めます。
また、相手が繰り返し嫌なことを言ってきたり、仲間に繰り返し入れてくれなかったりすることも立派な「いじめ」として認められるでしょう。
このような事態が継続して起きていると判明したときは、すぐに担任の先生にメールで相談しましょう。

担任にメールで相談するメリット

  • 担任との問題共有のコミュニケーションのやりとりの履歴が後々まで残すことができる(日時、時間、内容など)
  • 担任に問題を共有することで、学校は個別に対応する方法を模索し、適切な支援を提供できる可能性があります。ただし、担任は基本日中は忙しいためお迎えの時に時間をとって話をする、すぐに折り返し電話をするなどが難しいため対応してくれないときもあることを念頭に入れておきましょう。
  • 生徒の親とのコミュニケーションは、どの学校の教師にも義務付けられている故、本来であるならば、問題を担任に伝えることで、親、子供、そして学校とのコミュニケーションが強化されます。もし上記の事態で担任に連絡しても返信が何日も得られない場合、エスカレーションを考えましょう。

担任にメールをする内容

  1. まずはいつもサポートへの感謝を短く表明
  2. ここ最近の子どもの様子と問題について具体的に説明
    EX My son has been coming home crying a lot recently due to difficulties with his classmates. We discovered that he has been bullied by his classmates ____ and ____ for quite some time. He reports experiencing physical violence such as kicking, punching or rough play. This appears to be an ongoing issue and my son no longer feels safe at school.
  3. 問題の早急な調査、介入、解決を要請
    EX Could you please investigate this matter at your earliest convenience and work towards a resolution? Lately, he has shown very reluctant to go to school in the mornings. We would like to address this issue promptly before it escalates further and find solutions as soon as possible.
  4. 子どものサポートのために協力する用意がある旨を伝える

担任としての義務

担任としては、問題が提起された段階でまずは問題を調査する義務が発生します。
調査の進め方としては以下のステップがあります。

  1. 個人本人に事情を聞く(通常、別々の場所で聞くことが多い)
  2. クラス内外で目撃者を見つけ、事情を聞く
  3. 事実を確認する

これらのプロセスは、担任自身が実施する場合もありますが、事態の深刻さに応じてカウンセラーやアドミンが介入することもあります。

その後、問題解決のステージでは、担任が当事者同士の話し合いを仲介する場合もあれば、カウンセラー、アドミンを交えて進める場合もあります。
問題が複雑で継続的なサポートが必要な場合やクラスミーティングや1 on 1、スモールグループセッションが行われる場合もあります。
各親には、どのような対処が行われた旨の連絡があります。

担任への連絡はこういった流れに従いますが、残念ながら、担任との連絡が効果がない場合には、エスカレーションが必要です。具体的には、校長や学校のSuperintendentに訴えることが考えられます。
エスカレーションが必要な場合、これまでのメールのやりとりが証拠として役立つことがあります。アメリカの学校ではエスカレーションは一般的な手段であり、ためらう必要はありません。
アメリカの学校には、担任以外にもスクールカウンセラー、スクールサイコロジスト、ガイダンスカウンセラー、スクールナース、校長、教頭、セラピスト、教科ファシリテーター、特別支援教師などさまざまなスタッフがいます。

必要に応じてリソースにアクセスし、サポートを求めましょう。
大切なことは、問題に関して真剣に捉えていて、事の重要さを理解して欲しいという姿勢を貫く事です。

今回は、「いじめ」というテーマでしたが、クラスになかなか馴染めないという場合でも、担任に是非相談してクラスの中でサポートする効果的な方法や情報をお互い共有したりしながら家庭と学校での3者間でお子さんを支える方法を模索することが重要です。

アメリカの学校のスタッフのそれぞれの役割については、また別の機会に述べたいと思います。

辻 沙織
Brooklyn de Kosodate 代表
米国にて教育学修士課程
ニューヨーク州・カリフォルニア州・ノースカロライナ州に教員資格を保持
米国公立小学校にて10年教鞭をとる
その後、ブルックリンあおぞら学園で教育ダイレクターに就任
全米教育理事会より認定を取得
日本語で教育・発達に関するコンサルティングを行っている
自身も一児の母
Brooklyn de Kosodate website: https://www.brooklyn-de-kosodate.com

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第7回 親子で学校に馴染めない場合、どうしたらよいか②

こんにちは、アメリカ、ニューヨークで教育コンサルタントをしている辻沙織です。

このコラムでは、家庭教育や現地校に関する悩みなどを実際の在米日本人の保護者の方々から寄せていただいたものをわかりやすく回答したり、教育や子育てに関するトピックを随時挙げていきたいと思っています。

今回は、前回のテーマに引き続き「親子で学校に馴染めない場合、どうしたらよいか」についてお話ししていけたらと思います。

前回のコラムでは、そのような問題について下の3つの提案をさせていただき、1つ目はコーピングスキルについて詳しく書かせていただきました。
1)コーピング・スキルについて
2)プレイデートの計画について
3)担任の先生へのお知らせについて
今回は、2つ目の提案:プレイデートの計画について書きたいと思います。

プレイデートの利点とは?

プレイデートとは、文字通り「遊びの約束」のことを言い、学校以外の時間に子どもたちが、会えるように親同士が段取りを取り計らってあげることです。この活動を取り込む事により下記のような利点があると考えられます。

  • 学校の教室の大人数ではなく、スモールグループないしは、1オン1でのお友達とのコミュニケーションが可能となるので、より相手の話を聞く・話すという対話の練習が家族以外の年齢の近いお友達とできる
    (コミュニケーション能力の向上)
  • クラスで、仲良くなりたいと思っている子、もしくは逆にご自身のお子さんと問題になっている子と一緒に1オン1でクラス外でプレイデートをすることで、心理的距離を縮めたり、分かり合えるきっかけを作ってあげることができる
    (社会的なスキルの発達)
  • 子どもたちにお互いの感情の理解や表現の方法を学ぶ機会を提供する。他の子どもたちとの関わりを通じて、感情の共有や扱い方を学べる
    感情の発達)
  • 遊びながら問題解決力や創造性を発揮し、新しいアイデアを得ることができる。
    (創造力・問題解決能力)
  • 定期的なプレイデートは、子供たちに安定感を提供し、ルーティンを構築するのに役立ちます。特に社会的なスキルが苦手なお子さんは、同じお友達と繰り返し定期的にプレイデートを行うのも効果的である
    (ルーティンの構築)

さて、いろいろとたくさん良さそうなことがありそうなプレイデート活動ですが、クラスで馴染めない場合でも、少人数や1オン1でプレイデートを重ねてみることで、実際にお子さんの社会的スキルもアップしたり、少しずつクラスのお友達との距離も縮めることも可能です。学校外で距離を縮めることにより、学校内でも自然と関わりをもてるようになっていくケースも徐々に増えていきます。

どうやってプレイデートに誘うのが良いのか?

ところで、プレイデートを実行に移すには、特にお子さんの年齢が小さいうちは親同士が計画しないと実現に至りません。多くの保護者は、送り迎え時や学校のボランティアや行事で一緒になった時に、他の保護者と挨拶しあったり、いろいろ世間話をしたりしていますが、その時にお子さんがプレイデートをしたいと言っている、とそのまま相手の親に伝えてみるのが一良い方法だと思います。

  • シンプルに「____ちゃん・くんとプレイデートしたい」とうちの子がよく最近言っているのと伝える

    ここで大切なのは、プレイデートをしたいを伝えるだけで終わらないことです。
    具体的に、いつが都合がいいのか、相手のスケジュールを聞いて何日の何曜日にと設定するところまで必ず行う様に心がけるようにしましょう。英語でどういうのかがハードルが高い場合は予め調べておくのも良いと思います。天気が良く暖かい季節なら公園やアイスクリームを食べにいったり、寒い日などならミュージアムやどちらかの家で遊んでも良いと思います。
  • 必ず、具体的なプレイデートの日程を決めること、もしくは少なくとも相手のスケジュールを聞いてみることで具体性がでてくる

    子どもが小さかったり、まだお互いをよく知らないうちは、両方の親やベビーシッターが同伴することもよくあることですが、慣れてくれば、片方の親が両方の子らを学校でピックアップしてプレイデートを世話するなどのアレンジも可能になってきます。
    英語が苦手という方も、最初は1対1のプレイデートからスタートし、相手の親御さんが来られるのあれば、仲を深めるチャンスです。確かに慣れない言語で、あまりよく知らない相手と二人きりになるのは勇気がいることなので、最初は公園や何かのイベントに一緒に行くという形のほうが気楽かもしれません。
  • 言語に不安を感じる方は、まずは小さい数でのプレイデートを相手の親御さんと一緒に計画してみしょう

    もし相手のお子さんや親御さんが家に来られるのであれば、相手の親御さんととはできるだけ気軽に接するようにしましょう。今回初めてしっかりと会話をするのであれば、自分の紹介も兼ねて、こちらからいろいろな質問を用意しておくと良いでしょう。例えば、相手のご出身を聞く、お子さんにご兄弟はいるのか?通っている学校のお子さんの様子はどうか?担任の先生についてどう思うか?習い事は何をしているのか?などです。子どもの悩みなどでどうしたらいいか相談したり、学校行事やイベントでわからないことも聞いてみるといいですね。
  • 言語に自信がない場合は、事前に聞きたい質問を用意しておくとよいでしょう。

    家に呼んでプレイデートをする場合、事前に自分のお子さんに触ってほしくないおもちゃなどは、お子さんと一緒にお話しして片付けるか目に触れないところにおく様にしましょう。そうすることによって、他のお子さんが遊びにきたときに、触って壊された、遊んでほしくなかったなどのトラブルも避けることができます。また、奇数の人数のプレイデートは要注意です。特に3人という人数は、難しく2対1という構図を作りやすくします。できれば避ける様にしましょう。
  • 家でのプレイデートでは、触ってほしくないおもちゃなどは片付けておく
    3人の(奇数)プレイデートは避ける

    おやつを買って与える、もしくは家で出す場合は相手のお子さんに食べ物のアレルギーや制約がないのかあらかじめ親御さんに確認しておきましょう。また、ペットを飼っている場合は、ペットにアレルギーがないかも確認しましょう。食べ物やおもちゃなどで揉めた場合は、様子を見ながら自己解決できそうなら子どもに任せる、仲裁に入った方がよさそうなら入ってあげましょう。
  • 食べ物をあげる場合やペットを飼っている場合は、アレルギーや制約を事前に確認すること

    楽しく遊べる日もあれば、そうでない日もあると思います。
    そういったいろいろな経験を積み重ねていく上で、いろいろな感情が発達していき、また他のお友達とどうやって接していったらよいのかやコミュニケーションをとったらいいのか、問題解決をしたらいいのかを徐々に学んでいきます。ゆっくりと見守ってあげましょう。   
  • 焦らず見守ること、お子さんは、必ずプレイデートで学んでいます

どれぐらいの頻度でプレイデートをしたらいいのか?

これは各家庭の事情にもよると思います。
お子さんによっては、習い事をしているお子さんもいらっしゃるでしょう。
また、土曜日に補習校に通っている子もいらっしゃるかもしれません。
各家庭のスケジュールに無理のない範囲でプレイデートを組み込むのが良いと思います。
週に1回ルーティンとして入れるご家庭もあれば、月に1度というご家庭もあるでしょうしそれぞれだと思います。また、プレイデートの相手ですが、毎回アメリカ人である必要もありません。お子さんがESLのクラスをとっているのであれば、ESLのクラスのお子さんとプレイデートをしてもよいですし、平日は現地校の英語のクラスで疲労していて、週末補習校のお友達と日本語でプレイデートをして精神的なストレスから解放されたいとしても良いでしょう。そうすることで、平日に頑張るエネルギーにできたりします。
お子さんのその時その時の成長の過程で、ご本人とも話あい、お子さんのニーズに寄り添いながら、プレイデートを計画していけるのが一番だと思います。
是非、各々の快適な形、ペースで試してみてください。

次回は、3つ目の担任の先生へのお知らせについて書いていきたいと思います。

辻 沙織
Brooklyn de Kosodate 代表
米国にて教育学修士課程
ニューヨーク州・カリフォルニア州・ノースカロライナ州に教員資格を保持
米国公立小学校にて10年教鞭をとる
その後、ブルックリンあおぞら学園で教育ダイレクターに就任
全米教育理事会より認定を取得
日本語で教育・発達に関するコンサルティングを行っている
自身も一児の母
Brooklyn de Kosodate website: https://www.brooklyn-de-kosodate.com

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第6回 親子で学校に馴染めない場合、どうしたらよいか

こんにちは、アメリカ、ニューヨークで教育コンサルタントをしている辻沙織です。

このコラムでは、家庭教育や現地校に関する悩みなどを実際の在米日本人の保護者の方々から寄せていただいたものをわかりやすく回答したり、教育や子育てに関するトピックを随時挙げていきたいと思っています。

NYは、すっかり秋の季節となりました。
新年度も始まって、既に2ヶ月が経ちました。この9月から初めて現地校に通い出したお子様はもちろんですが、去年まで仲の良かったお友達と別のクラスになってしまったお子様なども、新学期はなかなか馴染めるまで不安が続きますよね。

今回は、「親子で学校に馴染めない場合、どうしたらよいか」を数回に渡ってお話ししていけたらと思います。

少し前ですが、このような相談を受けたことがあります。
「4年生の息子が、どちらかというと内向的で、ランチのときや休み時間のときも一人ぼっちのときが多いようです。日本にいたときはそうでもなかったのですが、こちらに来てまだ1年なので、英語も思うように身に付かず、勉強もあまり身に入っていないような気がします。
私自身も、他の保護者との交流は挨拶する程度で交流がありません。最近は、学校にいきたくない素振りを見せることもあります。どうしたらよいか困っています。」

ここで起こっている問題は、彼が抱えている精神的・社会的な苦痛とそして、英語という言語の習得が為されていないことで起こる学習理解や思考力への発達への影響です。
まず、精神的・社会的苦痛について考えてみましょう。
この男の子は、日本では他の子と普通に遊べていたということであれば、やはり、新しい環境になかなか慣れず、それに英語が話せないことがさらに、友達の輪の中に入れないでいることは理解できる気がします。毎日、実際クラスやランチで一人でいるというのは、想像以上に辛く、言葉も100パーセントわからない中今まで頑張って通っている息子さんは大変頑張り屋で勇気のある子だと思います。
ただ、この状態が長く続くとストレスに拍車がかかってしまい、後々予想ができないような影響が出てくる可能性もあります。

ここでは、3つの提案について書いていきたいと思います。

  1. コーピング・スキルについて
  2. プレイデートの計画について
  3. 担任の先生へのお知らせについて

今回は、コーピング・スキルについて書きたいと思います。

コーピング・スキル、皆さん何だか聞いたことはありますか?
コーピングの語源は「問題に対応する、切り抜ける」という意味で、ストレスに対しての対処法を知り、ストレス反応を和らげることをいいます。現地校のクラスやスクールカウンセラーによってよく教えられるスキルでもあります。

私たち人間は、毎日たくさん起こるストレスの中、生きています。
それはもちろん子どもも同じであり、今話した彼も大きなストレスを抱えています。
そう言ったストレスを避けることはなかなか難しいけれど、自分で自分のストレスが溜まって辛いと思う時に、どういうふうに対処したらいいかわかっていたら少しは楽になれるのではないでしょうか。
まずは彼の気持ちを認識してあげることが大切です。
このような辛い状況を、どうやって自分で自分自身を慰めてあげたり、元気付けてあげるかを一緒に考えてあげるのも大事なスキルの一つだと思います。

子供たちがコーピングスキルを獲得するためには以下の要素が重要です:

  • 感情の認識: 子供たちは、自分の感情を理解し、認識することが重要です。
    怒り、悲しみ、喜びなどの感情を識別し、それらがどのように彼らの行動や反応に影響するかを理解します。
  • 感情の表現: 子供たちには、感情を健康的に表現する方法を学ぶ機会が必要です。
    感情を言葉で表現したり、絵を描いたりすることで、感情を解放しやすくなります。
  • 問題解決能力: 子供たちは、困難な状況を理解し、それに対処する方法を見つける能力を開発する必要があります。具体的な問題に対して具体的な解決策を考えることが重要です。
  • リラックス技法: ストレスの緩和に役立つリラックス技法を学ぶことが重要です。深呼吸、瞑想、リラックスした音楽の聴取などが含まれます。
  • ポジティブな思考: 自己評価や自己肯定感を高めるために、ポジティブな思考パターンを養うことが重要です。失敗や困難に対しても、前向きなアプローチを持つことが大切です。
  • 社会的な支援: 友達や家族とのコミュニケーションや関係は、子供たちがストレスや困難な状況に対処する際に重要です。信頼できる大人や友人とのつながりは、子供たちが安心感を持ち、助けを求める自信を持つのに役立ちます。

これらのコーピングスキルは、子供たちが健康に成長し、人生のさまざまな局面で成功するために重要です。大人たちは、子供たちがこれらのスキルを練習し、発展させる手助けをする役割を果たすことができます。

次回は、2つ目の提案のプレイデートの計画について書いていきたいと思います。

辻 沙織
Brooklyn de Kosodate 代表
米国にて教育学修士課程
ニューヨーク州・カリフォルニア州・ノースカロライナ州に教員資格を保持
米国公立小学校にて10年教鞭をとる
その後、ブルックリンあおぞら学園で教育ダイレクターに就任
全米教育理事会より認定を取得
日本語で教育・発達に関するコンサルティングを行っている
自身も一児の母
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第5回 新学期への準備と心構え

こんにちは、アメリカ、ニューヨークで教育コンサルタントをしている辻沙織です。

このコラムでは、家庭教育や現地校に関する悩みなどを実際の在米日本人の保護者の方々から寄せていただいたものをわかりやすく回答したり、教育や子育てに関するトピックを随時挙げていきたいと思っています。

暑い夏が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか。
子どもたちはどんな夏休みを過ごされましたか?
サマーキャンプに参加された方、ご家庭で夏休みを過ごされた方、日本に一時帰国をされた方など夏休みの過ごし方はご家庭様々だったかと思いますが、夏休みが終了するともうすぐ新学期が始まります。
そこで今回の教育コラムは「新学期への準備と心構え」についてです。

アメリカの公立学校は、地域にもよりますが一般的に、8月末にオフィスが開きます。
サプライリスト(新学期に必要なものリスト)や担任の先生が誰かなどは、夏休み中や夏休み前に知らせてくれる親切な学校もありますが新学期が始まる直前に郵送やEメールでお知らせが来たり、自分から学校のウェブサイトに行ってチェックしなければならないということはよくあることです。
新学期が始まる前に必要なサプライは準備しておきましょう。

また、学年の途中から転入する予定の方は前もって電話でアポを取るか、直接訪問してみてください。

訪問時に持参しなければならないのは、

  1. 子どものパスポート(出生証明書の代わり)
  2. 家の契約証明書(校区内に住んでいると証明しなければならないため)
  3. 日本での成績証明書※(英訳したもの)
    ※学校によって求められる場合と求められない場合があります。

これらを提示すると、学校側から必要な書類:子どもの性格や生い立ちを記入するもの、医療のメディカルフォームなどをもらいます。このメディカルフォームは現地の医師から健康診断と予防接種を受けた上で、直接記入してもらいます。この時英訳した母子手帳(出生記録、大きな疾病記録、今までの予防接種記録を含む)が必要となります。学校訪問後、すぐに小児科に “school check-up and immunizations”の目的で予約を入れましょう。予防接種はアメリカの法律で決められたものを、混合や複数で打たれることがありますので驚かないでください。これら全ての書類を学校に提出すると転入許可が降ります。

さて、新学期に向けてどのような点に心がけていけばいいのでしょうか。
お子さんによっては、学校が変わってしまうお子さんもいらっしゃるでしょう。
また、大きな学校で去年のお友達とはほとんど離れ離れになってしまうお子さんや、遠い日本から来たばかりのお子さんもいらっしゃるかもしれません。
新しい環境、先生・お友達・教室などの環境によって子どもは大きな影響を受けます。
子どもは、柔軟性があり、すぐに新しい環境になじみ新しい友達にも溶け込む、よくそう聞きますよね。
確かに、そういう事が得意な子どももいます。
生まれ持った個性で、誰に習ったわけでもなく、そういうことが自然とできる子。
周りから少しずつ学び、自ら適応力を、成長の過程で身につけていく子ももちろんいます。でも、反対に、それがなかなか難しい子どももいます。

まず重要なのは、お子さん本人が学校システムや規則の違いを理解するだけでなく、実践的に対処できるようにトレーニングしておくことです。例えば日本から来たばかりのお子さんがいたとすれば、日本では授業と授業の間に休み時間がありますが、アメリカの学校ではまとまったお休みがお昼まで休み時間がほとんどありません。ですのでトイレに行きたい時は、授業中であっても全く構いません。これを知らずに初日からトイレの失敗をしてしまった日本人の生徒たちのケースもあるので注意しましょう。
まず先生に”May I go to the bathroom?”(トイレに行ってもいいですか。)と聞いたり、トイレパスを首にかけて行くこと、などを仮想して訓練することも必要かもしれません。

私の娘のケースであれば、気持ちの切り替えはできるものの、新しい環境に置かれた時に、適応するというプロセスがあまり得意ではありません。
彼女にとって「変化」は、受け止められるものと受け止められないものがあり、場合によって受け止められない場合、それはストレスとなって彼女の行動に現れ、泣いたり抵抗したりして表現することがよくあります。
近年では、娘は心身ともに成長しており、どのような環境でも、さほど抵抗なく適応できるようになってきました。

しかし、前述したように、念には念を!なるべく子どもにかかるストレスは少ないほうが良いので、私はいつも事前対策をとるようにしています。今日は過去にとった対策の一部をご紹介致します。

ポイントは、大きな変化がやってくる前に、「変化」を「あらかじめ、ある程度知らせておく」ということです。ここが大事です。
上記のトイレのケースも、アメリカの学校のシステムを知っておいて登校するのと知らないで登校するのではお子さんのとっては雲泥の差です。
なぜなら、子供が実際に変化に直面したときに、(こういうことが起こるんだな、なるほどふむふむ予想できてるぞ)となるからなのです。
ちょっと面倒にも思えるステップですが、事前に準備をしておくと「変化」の苦手なお子さんでも、スムーズに適応できる可能性が、かなり高くなります。

対策1)徒歩通学から自転車通学へ
今まで通っていた学校へは徒歩で通学していましたが、これからは自転車通学になります。まずは娘に、毎日自転車の二人乗りで学校へ通うようになることを説明し、私と娘で、二人乗りの練習をしました。

対策2)新しい学校までの通学路
そして、新しい学校までの通学路を娘と一緒に自転車に乗って、見に行きました。「ここが新しい学校だよ〜。」と校舎の周りを一周。中には入れなくてもなるべく見せられるところを見せる。一度スクールツアーで訪れたことがあったので、娘は「来たことある!」と思い出していました。それだけでも、来た価値あり!→安心感を少しもってくれたからです。雨の日のバス経路のお話しもしました。

対策3)制服を着てみる
新しい学校は、制服着用がルールです。制服を並べて、おうちで制服ファッションショーをしました。また、なぜ制服を着なくてはいけないのかについて一緒に考えてみました。

​​対策4)新しいクラスの先生、新しいお友達にあったら
そして、ちょっぴりシュミレーションごっこもしてみました。
挨拶できたら、嬉しいね、でもできなくても大丈夫。
名前を言えたら嬉しいね、でも言えなくても大丈夫。
1番大事なこともお話ししました。『ママとパパはいつでもあなたの味方でいるので、頑張ってチャレンジしておいで!』です。

対策5)もし、緊張したら?
でもそれでも、もし、新しいクラスで緊張したら?私たち家族の中で、常に取り入れている一つのセルフケアとして「深呼吸」があります。自分を落ち着かせるとき、自分が失敗した時、落ち込んでる時、ちょっと深呼吸をしてみる。私も娘に言われるときもあります。「そういうときは、深呼吸だね、ママ。」その通り、深呼吸をして、自分に大丈夫だよって言い聞かせてみようね。とお話ししました。

新年度(新学期)のスタートは、どんなお子さんにも少なからず「変化」があります。特別に注意してお子さんの話を聞いてあげると、お子さんはとても嬉しいでしょう。そして何よりも家族が自分の話を聞いてくれることで気持ちが安定し、次の日も安心して学校で頑張れるのではないかと思います。

今日は私が新学年・新学期を前にして、子供と一緒にした事前準備・心構えについてお話ししました。少しでも参考にしていただけたらとても嬉しいです。
またご家庭内での子育てのInterventionに興味のある方は、是非一度Brooklyn de Kosodateのウェブサイトよりお気軽にお問い合わせください。私からお子さんに直接働きかけることも可能です。

辻 沙織
Brooklyn de Kosodate 代表
米国にて教育学修士課程
ニューヨーク州・カリフォルニア州・ノースカロライナ州に教員資格を保持
米国公立小学校にて10年教鞭をとる
その後、ブルックリンあおぞら学園で教育ダイレクターに就任
全米教育理事会より認定を取得
日本語で教育・発達に関するコンサルティングを行っている
自身も一児の母
Brooklyn de Kosodate website: https://www.brooklyn-de-kosodate.com

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第4回 考える力を伸ばそう!

こんにちは、アメリカ、ニューヨークで教育コンサルタントをしている辻沙織です。

このコラムでは、家庭教育や現地校に関する悩みなどを実際の在米日本人の保護者の方々から寄せていただいたものをわかりやすく回答したり、教育や子育てに関するトピックを随時挙げていきたいと思っています。

4回目の今回は、「考える力」についてお話ししようと思います。

子どもたちが待ちに待った夏休みが始まりました。 アメリカの学校は、地域にもよりますが一般的に、6月から8月下旬まで3カ月近い夏休みがあります。日本で夏休みといえば、子どもたちが思いっきり外で遊ぶ時。

しかし、アメリカの学校に通うバイリンガルの子どもにとっての夏休みは、弱点を克服したり、普段できない活動に取り組む時でもあります。 毎年、夏休みになると多くの日本人が里帰りします。 もちろん、日本に住む祖父母や親戚と過ごすことは、子どもの日本語発達やアイデンティティ形成に重要な影響を与えます。 しかし、特にすることもなく、だらだら毎日を過ごしてしまうと、アメリカで新学年が始まった時にツケが回ってくるので注意しましょう。 気持ちがゆるんだり、生活が不規則になったり、英語力が錆びついたり、現地校へスムーズに適応できなくなってしまうこともあります。

英語力を低下させない配慮をする

アメリカでは夏休みに宿題や課題が出ることはありません。 従って、休み中に子どもがどう学習活動に取り組むかは、100%家庭に任されています。 夏休みまでの9カ月間、コツコツがんばって向上させてきた英語力と学力が、夏休みに入って落ち込んでしまうことのないように、毎日少しでいいですから、英語の読書、ワークブック、ジャーナルなどに取り組む時間を心がけると良いと思います。

日本に帰省する場合は、現地校が始まる前になるべく余裕を持ってアメリカに戻り、生活リズムを整えておくことも大切です。 気持ちを英語モードに切り替え、学習面の準備をすることによって、スムーズに新しい学年を迎えることができます。 そうすることが、子ども自身の自信にも繋がりやすくなります。

下記、役に立ちそうなウェブサイトをご紹介します。 https://www.khanacademy.org/:カーンアカデミーは、5,000以上の異なるトピックについて講義となる短い教育ビデオを作成する教育機関です。生徒の現在の理解度に合わせたレッスンを通して自分のペースで学習する機会を提供し、レッスン内のトピックを習得した場合にのみ前進することができます。 (K-8)

https://www.getepic.com/:ライブラリーを充実させたいなら、Epicの4万冊を超える書籍、オーディオブック、ビデオのコレクションがお勧めです。古典的なものから新しいもの、さらにはオリジナルストーリーまで、膨大なコレクションが揃っています。 Epicには、読み聞かせ本、モチベーションアップのためのバッジ、保護者のための進捗管理など、多くのボーナスがあります。(12歳以下)

https://www.starfall.com/h/ (PreK-3rd Grade) : アプリのアクティビティは長年の研究に基づいており、コモンコアスタンダードに沿った内容になっています。 スターフォールは、遊びをベースにしたインタラクティブなゲームやアニメーションの歌で、楽しく学習できるのが最大の特徴です。

「考える力」批判的思考とは・・・

さて、今回の本題である「考える力」について書いていきたいと思います。
夏休みは逆に、この期間をうまく使えば、何かをじっくり集中して学んだり、得意な分野を強化したり、何かプロジェクトを組んでみたり、計画してみることも可能です。
成長過程にある子どもたちにとっては、両言語、両文化のバランスをうまく工夫すれば、大変意義のある夏休みになると思います。 アメリカの学校に通い始めると「クリティカルシンキング」という言葉をよく耳にすると思います。

「クリティカルシンキング」を直訳すると、「批判的思考」となりますが、物事を批判的に見るということではなく、「客観的かつ多面的に吟味し、本質を見極めていく思考態度」です。クリティカルシンキングの目的は「論理的思考の育成」ですが、同時に、コミュニケーション力、ライティング力、理解力など、学習能力全般の向上に寄与することが分かっています。よって、多くの学校が、教科学習の理解を深める手段として「クリティカルシンキング」を授業に取り入れているわけですね。

では、それはどうやって子どもたちは実際学んでいるのでしょうか?

アメリカはディスカッション、ディベート、プレゼンテーションなど、生徒参加型の授業スタイルが主流で、これがクリティカルシンキング指導の例です。 生徒は意見交換を通して他者の考えを多角的にに検討すること、そして、自らの思考を再評価し、深めていく思考方法を学びます。 この思考プロセスを多く経験することで「考える」とはどういうことかを理解していきます。また、クリティカルシンキングのトレーニングを受けて育った人材は実は、自分自身をより深く理解できるようにもなれます。「自分が何をしたいのか」「自分がどんな人生を歩みたいのか」「自分は何を信じるのか」自ら問い、考え、判断し、行動するようになっていきます。

家庭で「考える力」を伸ばすには?

では、家庭では、どのように「考える力」を育てていくことができるのでしょうか?
自ら考えていることに対して、「それがあっている」「間違っている」は置いておいて、ご両親の意見も置いておいて、まず、聞くということがとても大切です。 学校でもそうですが、参加型ディスカッション、ディベート、プレゼンテーションの場合、参加する全員が、意見を言っても良いという安全な環境作りを第一に考えます。

「どんな意見でも、多様性も尊重する」

「ただし、相手を傷つけることは言わないし、この場で話したことで秘密にしてほしいこと等は守る」

などの条件はつけても良いとする。 こういったことを家族の中にでも日常に取り込むことは、問題解決や、考える力が自然と身につきますし、コミュニケーション能力向上にも繋がります。また、このような経験の中で、自分が、コントロールできるもの(自分の決断、他の人への受け答え、挑戦するか否か等)コントロールできないもの(他人がどう自分を扱うか、他人がお願いしてくる、自分の見た目等)を少しずつ知っていきその中でどうしていくかということもとても貴重な経験となっていくのです。

また、例えば何か小旅行を計画する際には、お子さんに初めから計画の時点で、頭数に入れてどうするかということをいろいろと一緒に計画を練って、プランをたててもらうのも良いと思います。
人の一生は「選択」の連続です。多角的に吟味して結論をだす、その多角的に考えるために、調査をする、自分なりの仮説をたて何が一番良い選択なのかを導き出す。その繰り返しをして生きているわけですが、そう言った思考の「癖」を子どもの頃から身につけることこそが、自分をも理解することにも繋がるということになるのです。

この3ヶ月あまりもある夏休み、少し思い切って、「考える力」の癖を家族で意識してみるのはどうでしょうか。ご家族で楽しく意義のある夏休みになることを祈っております。

辻 沙織
Brooklyn de Kosodate 代表
米国にて教育学修士課程
ニューヨーク州・カリフォルニア州・ノースカロライナ州に教員資格を保持
米国公立小学校にて10年教鞭をとる
その後、ブルックリンあおぞら学園で教育ダイレクターに就任
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自身も一児の母
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第3回 アメリカのサマーキャンプ

こんにちは、アメリカ、ニューヨークで教育コンサルタントをしている辻沙織です。

このコラムでは、家庭教育や現地校に関する悩みなどを実際の在米日本人の保護者の方々から寄せていただいたものをわかりやすく回答したり、教育や子育てに関するトピックを随時挙げていきたいと思っています。

3回目の今回は、アメリカのサマーキャンプについてお話ししようと思います。
アメリカの現地校の学年度も残り2ヶ月ほど、いよいよ終盤へと差し掛かりました。
アメリカは州や自治体によって夏休みに突入する時期が本当にまちまちですが、2ヶ月半の長いお休みがほとんどです。働いている親御さんも働いていない親御さんも、そんなに長い期間、子供だけをみていることは難しいので、多くの子ども達が、6月末・7月、8月とサマーキャンプに参加します。

もう既にキャンプの予約は既に始まっており、人気のキャンプは4月の時点で満員になってしまっていることも多くあります。今回は、サマーキャンプを選ぶ時のポイントを少しご紹介しようと思います。

サマーキャンプの種類

デイ・キャンプ
日帰りのキャンプで、主に私立学校、教会、民間、非営利団体などが各年齢に応じた独自のプログラムを提供しています。ニューヨーク市の場合は、そのような民間が運営するキャンプと共に、ニューヨーク教育委員会が無料の6週間サマーキャンプを提供しています。民間のサマーキャンプは、様々な内容のカリキュラムがあり魅力的でもありますが、家庭のお財布と相談せねばならず、無料の公的のキャンプは魅力的でもあります。公的のキャンプは主に、各公立学校の校舎でキャンプが行われること、カリキュラムの内容はあまり具体的に説明されていない点と、参加できる年齢が基本的にはキンダーよりも上(5歳以上)でなければならないという留意点はございます。(https://www.schools.nyc.gov/enrollment/summer/grades-k-8)
また、民間のキャンプの内容は一般的にスポーツ、水泳、ダンス、アート、自然観察(サイエンス)、遠足などでバランス良く構成されているものが多く、また少し学習的要素が含まれたものもあります。もちろん 演劇やミュージカルなど、テーマ別のデイ・キャンプもあります。一般的に幼児から小学校3年生くらいまでは、親と離れて泊まれるスキルがまだ完全にできていない子も多いので、デイ・キャンプが最適といえるでしょう。

スリープアウェイ・キャンプ
その名のとおり、お泊まりキャンプです。通常、多くの生徒が寝泊まりできるコテージ等を備えた施設で、都会から離れた自然の中で実施されます。このタイプのキャンプは、目的や内容も様々です。
総合的なものもあれば、 スポーツ中心のもの、演劇キャンプ、語学キャンプ、サイエンス・キャンプなど、種類もさまざまです。集団生活でのルールを守り、自分のことは自分で責任を持ってできるようになる小学校高学年(4〜5年生)以上が最適だと思われます。

それぞれの目的にあった探し方

私の経験談から申し上げると、特にお子さんの気質と特質・興味を見て環境・プログラムを選ぶのかの基準にすることがとても大切になってくると思います。
私自身も娘が幼少期の頃はサマーキャンプを選ぶのにとても悩んだことがありました。
他の親御さん同士が、「私の子はこのキャンプに行くから」と情報交換をして「私もよ〜、同じキャンプで何日から何日よ〜」とパッパとやりとりをしていくスピード感の中、確かにお友達同士のキャンプも楽しいのだろうけど、必ずしもうちの子はそうとは限らないかもしれないと思いとどまったこともあります。

  • 夏だから、外のキャンプがいい→ふむふむ
  • 色々なキャンプがあるんだから、いろいろな経験を沢山させたほうがいい(NYのサマーキャンプは、週ごとにサインアップを受け付けるところが多く、希望すれば週ごとに違うキャンプサイトに行くことも可能だから)→たしかに!
  • 年上の子供と一緒の方が学びが多い→そうかもしれないけれど・・・
  • 体が鈍っているので、体を動かすスポーツキャンプが良い→なるほど など

どれもこれも理にかなっている他の親御さんの意見。そして、私が迷っている間に親御さんの友達の多くがメールで連絡しあいながら、スケジュールを合わせて次々に週替わりのキャンプにサインアップしていきました。娘も、他の子と合わせた方が、お友達と同じキャンプに通えていいのだろうか?それとも….
なんだか私は置いていかれてしまっている気分でした。
それにキャンプを予約しないと、定員がいっぱいになってしまうかもなんて焦る気持ちもありました。
でも私は、ここでいちど心を落ち着けて、娘の気質と娘の現在の特徴・娘の興味を整理して改めて書き出してみることにしました。

日本語が第一言語、英語はまだまだ苦手であること
娘はその頃やっと、英語でコミュニケーションがとれるようになり始めたところでした。4歳の9月、学年が始まった頃には全く英語が話せず、そのことがストレスと感じていたようでした。その頃は、日本語はできるけど英語では言いたいことが表現できなかったからです。
そんな彼女には、その年の夏に限って、年が同じか年下の子と過ごすぐらいの方が彼女には自信になるのではないだろうか?学びになるのではないだろうか?そう思いました。

娘は大きな変化が苦手であること
娘は同じ場所で過ごすことに安心感を覚えるタイプのようでした。もちろん様々な体験を色々な場所ですることは貴重だと思うのですが、それが毎週変わるとなると、彼女のように変化が苦手な子供にとっては相当なストレスになるかもしれないなと思いました。新しい環境、新しい先生、新しいお友達、新しい場所、新しいルール。それが毎週変わり、毎週改めて慣れなければならない、となると彼女にとって大きな負担となると思いました。

娘はスポーツに興味がないこと
その当時、スポーツキャンプ、特に球技には全く興味を示さなかったうちの娘。今では水泳が大好きな彼女ですが、その当時はあまり球技やチームワークのスポーツには興味がありませんでした。ありがたいことにうちの娘は、やりたいことにはしっかり興味を示しますが、逆にやりたくないことには全く持って見向きもしません。なので、一般的に良いと言われているからと言って、親の勝手な判断でキャンプを選んでも、娘の性格を考えると、興味のないものには頑として取り組まないのは目に見えています。 という理由から我が家は以下の結論に達しました。 それまで通っていた幼稚園のサマーキャンプに夏休み期間のうち1ヶ月半通うことと、残り2週間だけは違うキャンプに入れること。

  • できるだけ環境を変えない(同じ先生、同じ教室、クラスメイトだけ違う)
  • 同い歳・1つ年下の子供達と関わる
  • 娘が大好きな、サイエンス中心のカリキュラム
  • 程よいお外での休み時間あり
  • 夏休み終盤・2週間のキャンプは、娘が前から興味を持っているもの
  • 何度も覗いたことがある、ロッククイミング教室とジムナスティックス・キャンプを選びました。

結果:
(娘が通った学校 / サマーキャンの先生からの報告)
夏のキャンプクラスが始まってから、普段のクラスよりも、、英語を使うようになった。また、自分よりも年下の子どもの中で、リーダーシップを発揮するようになり、自信を持てるようになった様子がより伺えるようになった。
苦手だと感じていた英語で、誰かを励ますことができたり、クラスを引っ張る体験ができるなり、本人にとってすごく自信になったと思いました。 これは私にとっても、『我が子に、何が適しているかを考える大切さ』を改めて確認するとても良い経験になりました。誰にでも時々、周りの意見に巻き込まれて、自分の子供の適性を後回しにしてしまうことがあると思います。でも、そういう時には「ちょっと待って!」と一度踏みとどまり、我が子の気質、特徴、興味を再度思い出して、周りの流れに乗ってしまって良いのかどうか、考えてみてください。

最後になりましたが、夏のキャンプは、通常の学校とは違う慣れない環境で子ども達も精一杯頑張ります。うまくいくこともあれば、逆にうまくいかないこともあるでしょう。そういったときには「チャレンジしただけでも勇気がある」と是非褒めてあげてください。親子で楽しい夏を過ごせますように心から願っています。

辻 沙織
Brooklyn de Kosodate 代表
米国にて教育学修士課程
ニューヨーク州・カリフォルニア州・ノースカロライナ州に教員資格を保持
米国公立小学校にて10年教鞭をとる
その後、ブルックリンあおぞら学園で教育ダイレクターに就任
全米教育理事会より認定を取得
日本語で教育・発達に関するコンサルティングを行っている
自身も一児の母
Brooklyn de Kosodate website: https://www.brooklyn-de-kosodate.com

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第2回 現地校における成績表の解釈/評価に納得できない場合

今月は、現地校における成績表の解釈の仕方や評価に納得できない場合の対処の仕方についてお話ししていきたいと思います。

「少し前に小学校のプログレスレポート(中間成績)が届いたんだけど、息子の成績に2がよく見られた。2はよくないのか?」という質問が私のところに寄せられました。「英語の読みのところは、3であるのに対し、英語の書きは2であり、特に詳細を書くというところが評価が低く見られる」とのことでした。

現地校の成績表とは?

まず一般的に現地校の成績表はどういったものかを考えてみましょう。「成績表」は英語で “report card”と呼ばれ、州や市、公立か私立、またそれぞれの学校によってもフォーマットが異なります。学校によっては、”Progress Report”(中間成績)といってレポートカードの合間に、中間成績表を送って来る学校もあります。
評価対象とされる項目には、各教科だけでなく、生活面つまり周りとの協調性、学校やクラスルールを守れるか、タスクや物事に取り組む姿勢や解決力•持続力•応用力などの評価もあります。
評価の値ですが、数字(1〜4または1〜5)のものや文字(A~F)、また表現の頭文字(E-Excellent、G-Good、S-Satisfactory、N-Needs improvement、U-Unsatisfactory) などがあり、学校によって違っています。
私への相談者は4段階評価でしたので、評価の解釈は次のとおりです:

  • 4=学年レベルの基準以上に非常に高い能力を発揮している。
  • 3=学年レベルの基準を満たし、必要事項をよくこなしている。
    (スキルを一貫してマスターしている)
  • 2=基礎事項の理解はできているが、もう少し頑張れば学年レベルに到達できる。
    (スキルができたりできなかったりする)
  • 1=基礎事項の理解に乏しく、学習上の遅れが見られ、ヘルプが必要。
    (スキルをマスターしていない)

もし文字評価(A~F)の場合は、先述の数字評価を参考に換算すると、A=4、B=3、C=2、D=1、F=失格 NE=評価無しとなります。
通常、この評価とは別に、生徒の良い点や努力の必要な点などを先生が文章でコメントしてくれます。このコメント欄では、一般的にポジティブな事柄を重視して書いてくれる傾向が強い印象ですが、やはり評価自体は先生の判断によって左右される傾向にはあります。

Common Core:全米共通学力基準)

現在、アメリカの41州が、“Common Core”と呼ばれる学習基準を導入し、それらの基準にのっとって評価をしています。ただ、先生が、この基準に生徒の状況をどのように照らし合わせ、どのように判断するかによっても評価は変わってくる為、生徒の特性や環境をじっくりと見定る必要があるのです。例えば、今回の相談者の息子さんには当てはまりませんが、アメリカにきてまもないお子さんで英語がまだままならない生徒さんがいたとして、英語がわからないのは、本人の責任や能力の問題ではありません。それに対して、全ての成績が1もしくはFがつくとなるとそれはフェアではないということになりえます。環境の理解がなされていないという判断になりえるからです。

評価に納得がいかない場合の対処とは

さて、今回の息子さんの場合、教師側の判断基準を問いたいと思うのであれば面談をお願いすることもできます。今回はあくまでもプログレスレポート(中間成績)でしたので、レポートカード(本来の正式な成績表)の後の面談を待つという形もできます。どちらにせよ、面談では、抗議という形ではなく、あくまでも評価の判断基準を問うという形で、親御さんとしては「息子の場合こう思うのだが」という話し合いを心掛けてください。その時に話す要点をあらかじめまとめておくと良いでしょう。

  • 今の年次での英語で書く詳細とはどれぐらいの詳細を期待されているのかを知りたい
  • 具体的に評価「3」になるには、どのような詳細を求められているのか、何が足りないのかを知りたい
    *評価3のWritingサンプルを見せてもらってもよいかもしれない
  • 毎日の書く宿題では親は手伝うなと教師側から言われていたので一切手伝っていなかったのだが、いまのままでは、詳細が増えているとは思えない。その宿題に関して何か工夫をしたい。何かいい方法はないか。
  • 書く文章に詳細をもっと増やすために具体的にどのようなことを家庭でしたらいいのか教えてほしい

最後になりますが、ここで重要なのは、評価に納得できていない場合、その評価に対しきちんと評価基準を理解することが大事になってきます。またお子さん自身の特性や環境をその先生が理解して評価してくれているかどうかを確認することも大切な要素となってきます。そのために、話し合いをもつことはとても重要なことです。

辻 沙織
Brooklyn de Kosodate 代表
米国にて教育学修士課程
ニューヨーク州・カリフォルニア州・ノースカロライナ州に教員資格を保持
米国公立小学校にて10年教鞭をとる
その後、ブルックリンあおぞら学園で教育ダイレクターに就任
全米教育理事会より認定を取得
日本語で教育・発達に関するコンサルティングを行っている
自身も一児の母
Brooklyn de Kosodate website: https://www.brooklyn-de-kosodate.com

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第1回 ニューヨーク市の教育事情について

今月は、ニューヨークの3K、PreK、Kinderの申し込みの期限が近づいてきているので、主にニューヨーク市の学校の教育事情をお伝えします。ニューヨーク市の教育の特徴や、学校の種類など、基本的な事項に触れていきたいと思います。

まず、日本の皆さんにもわかりやすいようにお話しますと、アメリカの義務教育のシステムは、州によって異なりますが、K(キンダーガーテン)〜5(小学校)、6〜8(中学校)、9〜12(高校)が一般的です。
州や市によっては、Kー4をエレメンタリとし、5年生から8年生をミドルスクールとしているところもあります。

Kinderの前の年をPre-Kと呼び、義務教育ではありませんがその年の通学を州が予算を出して推奨してしているところもあります。
ニューヨークもその一つで、Pre-K For All programというものが存在しており、無料で4歳児が通えるプログラムがあります。
またNYでは、その一つ下の3歳児向けの3Kプログラムも存在するので、興味がある人はDepartment of Education(DOE)のウェブサイトをチェックしてみると良いと思います。

そのKinder(0年生)、Pre-K、3Kの無料の申し込みがNYでは1月、3月に始まるので毎年この時期は、学校のツアーで大忙しの親御さんが多くなる時期でもあります。
ニューヨーク市は市の教育局(Department of Education=DOE)のもと32のスクールディストリクト(学校区)に区別されています。例えば、マンハッタンですとアッパーイーストサイド(Upper East Side)はDistrict2、アッパーウェストサイド(Upper West Side)はDistrict3となっています。そのスクールディストリクトが更に、スクールゾーン(通学区)に分けられています。基本的には、スクールゾーンの中に住む子供が通う学校は、ゾーンドスクール(Zoned School=ゾーン校)と呼ばれます。ゾーン内に居住する子供は、無条件にゾーン校に入学許可されることがほとんどですが、定員を超えた場合はウエイトリストに載せられ、別の学校への入学を指示されることもあります。基本的に小学校は、通学区内、中学校は学校区内に通いますが校区外や通学区外に越境して通える種類の学校や例外のケースもあります。

各学校には、優先順位枠を設けており、兄弟枠、フリーランチ枠(低所得者家庭枠)、特別支援枠、通学区枠、などです。そういった入学枠に優先順位を設けることによって、人種の融合や多様性を高める改革を行っています。しかし、実際には、学校の現場でどう授業や指導で生徒の個々のニーズに合わせ、個別最適化を測ろうということにはまだまだ課題があり、教育界と保護者の間でも大きな論争を呼んでいるのです。

上記で説明した普通の公立学校の他にも、民間の団体が公的資金を得て設立・運営するチャータースクール(公立学校と同じく無料)、音楽学校、ハンタースクールなど無料で通える小学校の選択肢がニューヨークには色々あります。

以前、私が教諭として働いていたのは他州ですが、普通の公立校に含まれる、マグネットスクールという種類の学校でした。
マグネットスクールというのは、その名の通り「磁石のように人を吸い付けるような特徴のある学校」という意味です。
州や連邦からの予算を受け、音楽やアート、テクノロジーや算数、外国語など、何らかの秀でた特徴のあるプログラムを設け、そうしたプログラムの魅力で、通学外からも子供たちを呼び寄せるという、通学区に制限されない特別公立校でした。

ところで、公立校と私立校の間には、授業料の有無は当然のこと、教育内容、生徒の人数に対する教師人数などにも大きな差があります。
しかしNY市の私立といえば、平均年間40,000ドルの学費は当たり前の世界なので、無料である公立学校に比べると天と地のほど差があるのも事実です。頭がクラクラしてきますね。

カリキュラムに関していえば、一般的に、公立小学校は、それぞれの州によって違うのが今までの米国の特徴でしたが、2022年の現時点では、米政府の教育機関が開発した”Common Core State Standards”という一貫したカリキュラムを取り入れている州が増え、現在では41州で取り入れられており、NY州、NY市もこれに沿った指導がなされています。これに基づき、基礎を積み上げて学力を重視するところが増えてきた印象があり、学年ごとでのおおまかなカリキュラムは共通しています。ただ、実際のところは、やはり学校によって、校長によってどういったことにフォーカスを置いてどのようなプロジェクトを行っているのかなどでカリキュラムに多様性が出るのも事実です。

他にも、Special Educationにおいても幅広くいろいろなプログラムが存在します。一例としては、比較的最近始まったICTプログラムが挙げられます。ICTクラスというのは、Special Educationの児童と一般児童が4:6の比率で同じクラスに在籍するものです。Special Educationのライセンスを持った先生をクラスに追加することと、生徒に対する先生の割合を増やすことでspecial education の児童とgeneral educatoinの児童同士が効果的に活動ができる取り組みとして注目されています。

辻 沙織
Brooklyn de Kosodate 代表
米国にて教育学修士課程
ニューヨーク州・カリフォルニア州・ノースカロライナ州に教員資格を保持
米国公立小学校にて10年教鞭をとる
その後、ブルックリンあおぞら学園で教育ダイレクターに就任
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日本語で教育・発達に関するコンサルティングを行っている
自身も一児の母
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