第6回 親子で学校に馴染めない場合、どうしたらよいか

こんにちは、アメリカ、ニューヨークで教育コンサルタントをしている辻沙織です。

このコラムでは、家庭教育や現地校に関する悩みなどを実際の在米日本人の保護者の方々から寄せていただいたものをわかりやすく回答したり、教育や子育てに関するトピックを随時挙げていきたいと思っています。

NYは、すっかり秋の季節となりました。
新年度も始まって、既に2ヶ月が経ちました。この9月から初めて現地校に通い出したお子様はもちろんですが、去年まで仲の良かったお友達と別のクラスになってしまったお子様なども、新学期はなかなか馴染めるまで不安が続きますよね。

今回は、「親子で学校に馴染めない場合、どうしたらよいか」を数回に渡ってお話ししていけたらと思います。

少し前ですが、このような相談を受けたことがあります。
「4年生の息子が、どちらかというと内向的で、ランチのときや休み時間のときも一人ぼっちのときが多いようです。日本にいたときはそうでもなかったのですが、こちらに来てまだ1年なので、英語も思うように身に付かず、勉強もあまり身に入っていないような気がします。
私自身も、他の保護者との交流は挨拶する程度で交流がありません。最近は、学校にいきたくない素振りを見せることもあります。どうしたらよいか困っています。」

ここで起こっている問題は、彼が抱えている精神的・社会的な苦痛とそして、英語という言語の習得が為されていないことで起こる学習理解や思考力への発達への影響です。
まず、精神的・社会的苦痛について考えてみましょう。
この男の子は、日本では他の子と普通に遊べていたということであれば、やはり、新しい環境になかなか慣れず、それに英語が話せないことがさらに、友達の輪の中に入れないでいることは理解できる気がします。毎日、実際クラスやランチで一人でいるというのは、想像以上に辛く、言葉も100パーセントわからない中今まで頑張って通っている息子さんは大変頑張り屋で勇気のある子だと思います。
ただ、この状態が長く続くとストレスに拍車がかかってしまい、後々予想ができないような影響が出てくる可能性もあります。

ここでは、3つの提案について書いていきたいと思います。

  1. コーピング・スキルについて
  2. プレイデートの計画について
  3. 担任の先生へのお知らせについて

今回は、コーピング・スキルについて書きたいと思います。

コーピング・スキル、皆さん何だか聞いたことはありますか?
コーピングの語源は「問題に対応する、切り抜ける」という意味で、ストレスに対しての対処法を知り、ストレス反応を和らげることをいいます。現地校のクラスやスクールカウンセラーによってよく教えられるスキルでもあります。

私たち人間は、毎日たくさん起こるストレスの中、生きています。
それはもちろん子どもも同じであり、今話した彼も大きなストレスを抱えています。
そう言ったストレスを避けることはなかなか難しいけれど、自分で自分のストレスが溜まって辛いと思う時に、どういうふうに対処したらいいかわかっていたら少しは楽になれるのではないでしょうか。
まずは彼の気持ちを認識してあげることが大切です。
このような辛い状況を、どうやって自分で自分自身を慰めてあげたり、元気付けてあげるかを一緒に考えてあげるのも大事なスキルの一つだと思います。

子供たちがコーピングスキルを獲得するためには以下の要素が重要です:

  • 感情の認識: 子供たちは、自分の感情を理解し、認識することが重要です。
    怒り、悲しみ、喜びなどの感情を識別し、それらがどのように彼らの行動や反応に影響するかを理解します。
  • 感情の表現: 子供たちには、感情を健康的に表現する方法を学ぶ機会が必要です。
    感情を言葉で表現したり、絵を描いたりすることで、感情を解放しやすくなります。
  • 問題解決能力: 子供たちは、困難な状況を理解し、それに対処する方法を見つける能力を開発する必要があります。具体的な問題に対して具体的な解決策を考えることが重要です。
  • リラックス技法: ストレスの緩和に役立つリラックス技法を学ぶことが重要です。深呼吸、瞑想、リラックスした音楽の聴取などが含まれます。
  • ポジティブな思考: 自己評価や自己肯定感を高めるために、ポジティブな思考パターンを養うことが重要です。失敗や困難に対しても、前向きなアプローチを持つことが大切です。
  • 社会的な支援: 友達や家族とのコミュニケーションや関係は、子供たちがストレスや困難な状況に対処する際に重要です。信頼できる大人や友人とのつながりは、子供たちが安心感を持ち、助けを求める自信を持つのに役立ちます。

これらのコーピングスキルは、子供たちが健康に成長し、人生のさまざまな局面で成功するために重要です。大人たちは、子供たちがこれらのスキルを練習し、発展させる手助けをする役割を果たすことができます。

次回は、2つ目の提案のプレイデートの計画について書いていきたいと思います。

辻 沙織
Brooklyn de Kosodate 代表
米国にて教育学修士課程
ニューヨーク州・カリフォルニア州・ノースカロライナ州に教員資格を保持
米国公立小学校にて10年教鞭をとる
その後、ブルックリンあおぞら学園で教育ダイレクターに就任
全米教育理事会より認定を取得
日本語で教育・発達に関するコンサルティングを行っている
自身も一児の母
Brooklyn de Kosodate website: https://www.brooklyn-de-kosodate.com

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第5回 新学期への準備と心構え

こんにちは、アメリカ、ニューヨークで教育コンサルタントをしている辻沙織です。

このコラムでは、家庭教育や現地校に関する悩みなどを実際の在米日本人の保護者の方々から寄せていただいたものをわかりやすく回答したり、教育や子育てに関するトピックを随時挙げていきたいと思っています。

暑い夏が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか。
子どもたちはどんな夏休みを過ごされましたか?
サマーキャンプに参加された方、ご家庭で夏休みを過ごされた方、日本に一時帰国をされた方など夏休みの過ごし方はご家庭様々だったかと思いますが、夏休みが終了するともうすぐ新学期が始まります。
そこで今回の教育コラムは「新学期への準備と心構え」についてです。

アメリカの公立学校は、地域にもよりますが一般的に、8月末にオフィスが開きます。
サプライリスト(新学期に必要なものリスト)や担任の先生が誰かなどは、夏休み中や夏休み前に知らせてくれる親切な学校もありますが新学期が始まる直前に郵送やEメールでお知らせが来たり、自分から学校のウェブサイトに行ってチェックしなければならないということはよくあることです。
新学期が始まる前に必要なサプライは準備しておきましょう。

また、学年の途中から転入する予定の方は前もって電話でアポを取るか、直接訪問してみてください。

訪問時に持参しなければならないのは、

  1. 子どものパスポート(出生証明書の代わり)
  2. 家の契約証明書(校区内に住んでいると証明しなければならないため)
  3. 日本での成績証明書※(英訳したもの)
    ※学校によって求められる場合と求められない場合があります。

これらを提示すると、学校側から必要な書類:子どもの性格や生い立ちを記入するもの、医療のメディカルフォームなどをもらいます。このメディカルフォームは現地の医師から健康診断と予防接種を受けた上で、直接記入してもらいます。この時英訳した母子手帳(出生記録、大きな疾病記録、今までの予防接種記録を含む)が必要となります。学校訪問後、すぐに小児科に “school check-up and immunizations”の目的で予約を入れましょう。予防接種はアメリカの法律で決められたものを、混合や複数で打たれることがありますので驚かないでください。これら全ての書類を学校に提出すると転入許可が降ります。

さて、新学期に向けてどのような点に心がけていけばいいのでしょうか。
お子さんによっては、学校が変わってしまうお子さんもいらっしゃるでしょう。
また、大きな学校で去年のお友達とはほとんど離れ離れになってしまうお子さんや、遠い日本から来たばかりのお子さんもいらっしゃるかもしれません。
新しい環境、先生・お友達・教室などの環境によって子どもは大きな影響を受けます。
子どもは、柔軟性があり、すぐに新しい環境になじみ新しい友達にも溶け込む、よくそう聞きますよね。
確かに、そういう事が得意な子どももいます。
生まれ持った個性で、誰に習ったわけでもなく、そういうことが自然とできる子。
周りから少しずつ学び、自ら適応力を、成長の過程で身につけていく子ももちろんいます。でも、反対に、それがなかなか難しい子どももいます。

まず重要なのは、お子さん本人が学校システムや規則の違いを理解するだけでなく、実践的に対処できるようにトレーニングしておくことです。例えば日本から来たばかりのお子さんがいたとすれば、日本では授業と授業の間に休み時間がありますが、アメリカの学校ではまとまったお休みがお昼まで休み時間がほとんどありません。ですのでトイレに行きたい時は、授業中であっても全く構いません。これを知らずに初日からトイレの失敗をしてしまった日本人の生徒たちのケースもあるので注意しましょう。
まず先生に”May I go to the bathroom?”(トイレに行ってもいいですか。)と聞いたり、トイレパスを首にかけて行くこと、などを仮想して訓練することも必要かもしれません。

私の娘のケースであれば、気持ちの切り替えはできるものの、新しい環境に置かれた時に、適応するというプロセスがあまり得意ではありません。
彼女にとって「変化」は、受け止められるものと受け止められないものがあり、場合によって受け止められない場合、それはストレスとなって彼女の行動に現れ、泣いたり抵抗したりして表現することがよくあります。
近年では、娘は心身ともに成長しており、どのような環境でも、さほど抵抗なく適応できるようになってきました。

しかし、前述したように、念には念を!なるべく子どもにかかるストレスは少ないほうが良いので、私はいつも事前対策をとるようにしています。今日は過去にとった対策の一部をご紹介致します。

ポイントは、大きな変化がやってくる前に、「変化」を「あらかじめ、ある程度知らせておく」ということです。ここが大事です。
上記のトイレのケースも、アメリカの学校のシステムを知っておいて登校するのと知らないで登校するのではお子さんのとっては雲泥の差です。
なぜなら、子供が実際に変化に直面したときに、(こういうことが起こるんだな、なるほどふむふむ予想できてるぞ)となるからなのです。
ちょっと面倒にも思えるステップですが、事前に準備をしておくと「変化」の苦手なお子さんでも、スムーズに適応できる可能性が、かなり高くなります。

対策1)徒歩通学から自転車通学へ
今まで通っていた学校へは徒歩で通学していましたが、これからは自転車通学になります。まずは娘に、毎日自転車の二人乗りで学校へ通うようになることを説明し、私と娘で、二人乗りの練習をしました。

対策2)新しい学校までの通学路
そして、新しい学校までの通学路を娘と一緒に自転車に乗って、見に行きました。「ここが新しい学校だよ〜。」と校舎の周りを一周。中には入れなくてもなるべく見せられるところを見せる。一度スクールツアーで訪れたことがあったので、娘は「来たことある!」と思い出していました。それだけでも、来た価値あり!→安心感を少しもってくれたからです。雨の日のバス経路のお話しもしました。

対策3)制服を着てみる
新しい学校は、制服着用がルールです。制服を並べて、おうちで制服ファッションショーをしました。また、なぜ制服を着なくてはいけないのかについて一緒に考えてみました。

​​対策4)新しいクラスの先生、新しいお友達にあったら
そして、ちょっぴりシュミレーションごっこもしてみました。
挨拶できたら、嬉しいね、でもできなくても大丈夫。
名前を言えたら嬉しいね、でも言えなくても大丈夫。
1番大事なこともお話ししました。『ママとパパはいつでもあなたの味方でいるので、頑張ってチャレンジしておいで!』です。

対策5)もし、緊張したら?
でもそれでも、もし、新しいクラスで緊張したら?私たち家族の中で、常に取り入れている一つのセルフケアとして「深呼吸」があります。自分を落ち着かせるとき、自分が失敗した時、落ち込んでる時、ちょっと深呼吸をしてみる。私も娘に言われるときもあります。「そういうときは、深呼吸だね、ママ。」その通り、深呼吸をして、自分に大丈夫だよって言い聞かせてみようね。とお話ししました。

新年度(新学期)のスタートは、どんなお子さんにも少なからず「変化」があります。特別に注意してお子さんの話を聞いてあげると、お子さんはとても嬉しいでしょう。そして何よりも家族が自分の話を聞いてくれることで気持ちが安定し、次の日も安心して学校で頑張れるのではないかと思います。

今日は私が新学年・新学期を前にして、子供と一緒にした事前準備・心構えについてお話ししました。少しでも参考にしていただけたらとても嬉しいです。
またご家庭内での子育てのInterventionに興味のある方は、是非一度Brooklyn de Kosodateのウェブサイトよりお気軽にお問い合わせください。私からお子さんに直接働きかけることも可能です。

辻 沙織
Brooklyn de Kosodate 代表
米国にて教育学修士課程
ニューヨーク州・カリフォルニア州・ノースカロライナ州に教員資格を保持
米国公立小学校にて10年教鞭をとる
その後、ブルックリンあおぞら学園で教育ダイレクターに就任
全米教育理事会より認定を取得
日本語で教育・発達に関するコンサルティングを行っている
自身も一児の母
Brooklyn de Kosodate website: https://www.brooklyn-de-kosodate.com

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第4回 考える力を伸ばそう!

こんにちは、アメリカ、ニューヨークで教育コンサルタントをしている辻沙織です。

このコラムでは、家庭教育や現地校に関する悩みなどを実際の在米日本人の保護者の方々から寄せていただいたものをわかりやすく回答したり、教育や子育てに関するトピックを随時挙げていきたいと思っています。

4回目の今回は、「考える力」についてお話ししようと思います。

子どもたちが待ちに待った夏休みが始まりました。 アメリカの学校は、地域にもよりますが一般的に、6月から8月下旬まで3カ月近い夏休みがあります。日本で夏休みといえば、子どもたちが思いっきり外で遊ぶ時。

しかし、アメリカの学校に通うバイリンガルの子どもにとっての夏休みは、弱点を克服したり、普段できない活動に取り組む時でもあります。 毎年、夏休みになると多くの日本人が里帰りします。 もちろん、日本に住む祖父母や親戚と過ごすことは、子どもの日本語発達やアイデンティティ形成に重要な影響を与えます。 しかし、特にすることもなく、だらだら毎日を過ごしてしまうと、アメリカで新学年が始まった時にツケが回ってくるので注意しましょう。 気持ちがゆるんだり、生活が不規則になったり、英語力が錆びついたり、現地校へスムーズに適応できなくなってしまうこともあります。

英語力を低下させない配慮をする

アメリカでは夏休みに宿題や課題が出ることはありません。 従って、休み中に子どもがどう学習活動に取り組むかは、100%家庭に任されています。 夏休みまでの9カ月間、コツコツがんばって向上させてきた英語力と学力が、夏休みに入って落ち込んでしまうことのないように、毎日少しでいいですから、英語の読書、ワークブック、ジャーナルなどに取り組む時間を心がけると良いと思います。

日本に帰省する場合は、現地校が始まる前になるべく余裕を持ってアメリカに戻り、生活リズムを整えておくことも大切です。 気持ちを英語モードに切り替え、学習面の準備をすることによって、スムーズに新しい学年を迎えることができます。 そうすることが、子ども自身の自信にも繋がりやすくなります。

下記、役に立ちそうなウェブサイトをご紹介します。 https://www.khanacademy.org/:カーンアカデミーは、5,000以上の異なるトピックについて講義となる短い教育ビデオを作成する教育機関です。生徒の現在の理解度に合わせたレッスンを通して自分のペースで学習する機会を提供し、レッスン内のトピックを習得した場合にのみ前進することができます。 (K-8)

https://www.getepic.com/:ライブラリーを充実させたいなら、Epicの4万冊を超える書籍、オーディオブック、ビデオのコレクションがお勧めです。古典的なものから新しいもの、さらにはオリジナルストーリーまで、膨大なコレクションが揃っています。 Epicには、読み聞かせ本、モチベーションアップのためのバッジ、保護者のための進捗管理など、多くのボーナスがあります。(12歳以下)

https://www.starfall.com/h/ (PreK-3rd Grade) : アプリのアクティビティは長年の研究に基づいており、コモンコアスタンダードに沿った内容になっています。 スターフォールは、遊びをベースにしたインタラクティブなゲームやアニメーションの歌で、楽しく学習できるのが最大の特徴です。

「考える力」批判的思考とは・・・

さて、今回の本題である「考える力」について書いていきたいと思います。
夏休みは逆に、この期間をうまく使えば、何かをじっくり集中して学んだり、得意な分野を強化したり、何かプロジェクトを組んでみたり、計画してみることも可能です。
成長過程にある子どもたちにとっては、両言語、両文化のバランスをうまく工夫すれば、大変意義のある夏休みになると思います。 アメリカの学校に通い始めると「クリティカルシンキング」という言葉をよく耳にすると思います。

「クリティカルシンキング」を直訳すると、「批判的思考」となりますが、物事を批判的に見るということではなく、「客観的かつ多面的に吟味し、本質を見極めていく思考態度」です。クリティカルシンキングの目的は「論理的思考の育成」ですが、同時に、コミュニケーション力、ライティング力、理解力など、学習能力全般の向上に寄与することが分かっています。よって、多くの学校が、教科学習の理解を深める手段として「クリティカルシンキング」を授業に取り入れているわけですね。

では、それはどうやって子どもたちは実際学んでいるのでしょうか?

アメリカはディスカッション、ディベート、プレゼンテーションなど、生徒参加型の授業スタイルが主流で、これがクリティカルシンキング指導の例です。 生徒は意見交換を通して他者の考えを多角的にに検討すること、そして、自らの思考を再評価し、深めていく思考方法を学びます。 この思考プロセスを多く経験することで「考える」とはどういうことかを理解していきます。また、クリティカルシンキングのトレーニングを受けて育った人材は実は、自分自身をより深く理解できるようにもなれます。「自分が何をしたいのか」「自分がどんな人生を歩みたいのか」「自分は何を信じるのか」自ら問い、考え、判断し、行動するようになっていきます。

家庭で「考える力」を伸ばすには?

では、家庭では、どのように「考える力」を育てていくことができるのでしょうか?
自ら考えていることに対して、「それがあっている」「間違っている」は置いておいて、ご両親の意見も置いておいて、まず、聞くということがとても大切です。 学校でもそうですが、参加型ディスカッション、ディベート、プレゼンテーションの場合、参加する全員が、意見を言っても良いという安全な環境作りを第一に考えます。

「どんな意見でも、多様性も尊重する」

「ただし、相手を傷つけることは言わないし、この場で話したことで秘密にしてほしいこと等は守る」

などの条件はつけても良いとする。 こういったことを家族の中にでも日常に取り込むことは、問題解決や、考える力が自然と身につきますし、コミュニケーション能力向上にも繋がります。また、このような経験の中で、自分が、コントロールできるもの(自分の決断、他の人への受け答え、挑戦するか否か等)コントロールできないもの(他人がどう自分を扱うか、他人がお願いしてくる、自分の見た目等)を少しずつ知っていきその中でどうしていくかということもとても貴重な経験となっていくのです。

また、例えば何か小旅行を計画する際には、お子さんに初めから計画の時点で、頭数に入れてどうするかということをいろいろと一緒に計画を練って、プランをたててもらうのも良いと思います。
人の一生は「選択」の連続です。多角的に吟味して結論をだす、その多角的に考えるために、調査をする、自分なりの仮説をたて何が一番良い選択なのかを導き出す。その繰り返しをして生きているわけですが、そう言った思考の「癖」を子どもの頃から身につけることこそが、自分をも理解することにも繋がるということになるのです。

この3ヶ月あまりもある夏休み、少し思い切って、「考える力」の癖を家族で意識してみるのはどうでしょうか。ご家族で楽しく意義のある夏休みになることを祈っております。

辻 沙織
Brooklyn de Kosodate 代表
米国にて教育学修士課程
ニューヨーク州・カリフォルニア州・ノースカロライナ州に教員資格を保持
米国公立小学校にて10年教鞭をとる
その後、ブルックリンあおぞら学園で教育ダイレクターに就任
全米教育理事会より認定を取得
日本語で教育・発達に関するコンサルティングを行っている
自身も一児の母
Brooklyn de Kosodate website: https://www.brooklyn-de-kosodate.com

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第3回 アメリカのサマーキャンプ

こんにちは、アメリカ、ニューヨークで教育コンサルタントをしている辻沙織です。

このコラムでは、家庭教育や現地校に関する悩みなどを実際の在米日本人の保護者の方々から寄せていただいたものをわかりやすく回答したり、教育や子育てに関するトピックを随時挙げていきたいと思っています。

3回目の今回は、アメリカのサマーキャンプについてお話ししようと思います。
アメリカの現地校の学年度も残り2ヶ月ほど、いよいよ終盤へと差し掛かりました。
アメリカは州や自治体によって夏休みに突入する時期が本当にまちまちですが、2ヶ月半の長いお休みがほとんどです。働いている親御さんも働いていない親御さんも、そんなに長い期間、子供だけをみていることは難しいので、多くの子ども達が、6月末・7月、8月とサマーキャンプに参加します。

もう既にキャンプの予約は既に始まっており、人気のキャンプは4月の時点で満員になってしまっていることも多くあります。今回は、サマーキャンプを選ぶ時のポイントを少しご紹介しようと思います。

サマーキャンプの種類

デイ・キャンプ
日帰りのキャンプで、主に私立学校、教会、民間、非営利団体などが各年齢に応じた独自のプログラムを提供しています。ニューヨーク市の場合は、そのような民間が運営するキャンプと共に、ニューヨーク教育委員会が無料の6週間サマーキャンプを提供しています。民間のサマーキャンプは、様々な内容のカリキュラムがあり魅力的でもありますが、家庭のお財布と相談せねばならず、無料の公的のキャンプは魅力的でもあります。公的のキャンプは主に、各公立学校の校舎でキャンプが行われること、カリキュラムの内容はあまり具体的に説明されていない点と、参加できる年齢が基本的にはキンダーよりも上(5歳以上)でなければならないという留意点はございます。(https://www.schools.nyc.gov/enrollment/summer/grades-k-8)
また、民間のキャンプの内容は一般的にスポーツ、水泳、ダンス、アート、自然観察(サイエンス)、遠足などでバランス良く構成されているものが多く、また少し学習的要素が含まれたものもあります。もちろん 演劇やミュージカルなど、テーマ別のデイ・キャンプもあります。一般的に幼児から小学校3年生くらいまでは、親と離れて泊まれるスキルがまだ完全にできていない子も多いので、デイ・キャンプが最適といえるでしょう。

スリープアウェイ・キャンプ
その名のとおり、お泊まりキャンプです。通常、多くの生徒が寝泊まりできるコテージ等を備えた施設で、都会から離れた自然の中で実施されます。このタイプのキャンプは、目的や内容も様々です。
総合的なものもあれば、 スポーツ中心のもの、演劇キャンプ、語学キャンプ、サイエンス・キャンプなど、種類もさまざまです。集団生活でのルールを守り、自分のことは自分で責任を持ってできるようになる小学校高学年(4〜5年生)以上が最適だと思われます。

それぞれの目的にあった探し方

私の経験談から申し上げると、特にお子さんの気質と特質・興味を見て環境・プログラムを選ぶのかの基準にすることがとても大切になってくると思います。
私自身も娘が幼少期の頃はサマーキャンプを選ぶのにとても悩んだことがありました。
他の親御さん同士が、「私の子はこのキャンプに行くから」と情報交換をして「私もよ〜、同じキャンプで何日から何日よ〜」とパッパとやりとりをしていくスピード感の中、確かにお友達同士のキャンプも楽しいのだろうけど、必ずしもうちの子はそうとは限らないかもしれないと思いとどまったこともあります。

  • 夏だから、外のキャンプがいい→ふむふむ
  • 色々なキャンプがあるんだから、いろいろな経験を沢山させたほうがいい(NYのサマーキャンプは、週ごとにサインアップを受け付けるところが多く、希望すれば週ごとに違うキャンプサイトに行くことも可能だから)→たしかに!
  • 年上の子供と一緒の方が学びが多い→そうかもしれないけれど・・・
  • 体が鈍っているので、体を動かすスポーツキャンプが良い→なるほど など

どれもこれも理にかなっている他の親御さんの意見。そして、私が迷っている間に親御さんの友達の多くがメールで連絡しあいながら、スケジュールを合わせて次々に週替わりのキャンプにサインアップしていきました。娘も、他の子と合わせた方が、お友達と同じキャンプに通えていいのだろうか?それとも….
なんだか私は置いていかれてしまっている気分でした。
それにキャンプを予約しないと、定員がいっぱいになってしまうかもなんて焦る気持ちもありました。
でも私は、ここでいちど心を落ち着けて、娘の気質と娘の現在の特徴・娘の興味を整理して改めて書き出してみることにしました。

日本語が第一言語、英語はまだまだ苦手であること
娘はその頃やっと、英語でコミュニケーションがとれるようになり始めたところでした。4歳の9月、学年が始まった頃には全く英語が話せず、そのことがストレスと感じていたようでした。その頃は、日本語はできるけど英語では言いたいことが表現できなかったからです。
そんな彼女には、その年の夏に限って、年が同じか年下の子と過ごすぐらいの方が彼女には自信になるのではないだろうか?学びになるのではないだろうか?そう思いました。

娘は大きな変化が苦手であること
娘は同じ場所で過ごすことに安心感を覚えるタイプのようでした。もちろん様々な体験を色々な場所ですることは貴重だと思うのですが、それが毎週変わるとなると、彼女のように変化が苦手な子供にとっては相当なストレスになるかもしれないなと思いました。新しい環境、新しい先生、新しいお友達、新しい場所、新しいルール。それが毎週変わり、毎週改めて慣れなければならない、となると彼女にとって大きな負担となると思いました。

娘はスポーツに興味がないこと
その当時、スポーツキャンプ、特に球技には全く興味を示さなかったうちの娘。今では水泳が大好きな彼女ですが、その当時はあまり球技やチームワークのスポーツには興味がありませんでした。ありがたいことにうちの娘は、やりたいことにはしっかり興味を示しますが、逆にやりたくないことには全く持って見向きもしません。なので、一般的に良いと言われているからと言って、親の勝手な判断でキャンプを選んでも、娘の性格を考えると、興味のないものには頑として取り組まないのは目に見えています。 という理由から我が家は以下の結論に達しました。 それまで通っていた幼稚園のサマーキャンプに夏休み期間のうち1ヶ月半通うことと、残り2週間だけは違うキャンプに入れること。

  • できるだけ環境を変えない(同じ先生、同じ教室、クラスメイトだけ違う)
  • 同い歳・1つ年下の子供達と関わる
  • 娘が大好きな、サイエンス中心のカリキュラム
  • 程よいお外での休み時間あり
  • 夏休み終盤・2週間のキャンプは、娘が前から興味を持っているもの
  • 何度も覗いたことがある、ロッククイミング教室とジムナスティックス・キャンプを選びました。

結果:
(娘が通った学校 / サマーキャンの先生からの報告)
夏のキャンプクラスが始まってから、普段のクラスよりも、、英語を使うようになった。また、自分よりも年下の子どもの中で、リーダーシップを発揮するようになり、自信を持てるようになった様子がより伺えるようになった。
苦手だと感じていた英語で、誰かを励ますことができたり、クラスを引っ張る体験ができるなり、本人にとってすごく自信になったと思いました。 これは私にとっても、『我が子に、何が適しているかを考える大切さ』を改めて確認するとても良い経験になりました。誰にでも時々、周りの意見に巻き込まれて、自分の子供の適性を後回しにしてしまうことがあると思います。でも、そういう時には「ちょっと待って!」と一度踏みとどまり、我が子の気質、特徴、興味を再度思い出して、周りの流れに乗ってしまって良いのかどうか、考えてみてください。

最後になりましたが、夏のキャンプは、通常の学校とは違う慣れない環境で子ども達も精一杯頑張ります。うまくいくこともあれば、逆にうまくいかないこともあるでしょう。そういったときには「チャレンジしただけでも勇気がある」と是非褒めてあげてください。親子で楽しい夏を過ごせますように心から願っています。

辻 沙織
Brooklyn de Kosodate 代表
米国にて教育学修士課程
ニューヨーク州・カリフォルニア州・ノースカロライナ州に教員資格を保持
米国公立小学校にて10年教鞭をとる
その後、ブルックリンあおぞら学園で教育ダイレクターに就任
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第2回 現地校における成績表の解釈/評価に納得できない場合

今月は、現地校における成績表の解釈の仕方や評価に納得できない場合の対処の仕方についてお話ししていきたいと思います。

「少し前に小学校のプログレスレポート(中間成績)が届いたんだけど、息子の成績に2がよく見られた。2はよくないのか?」という質問が私のところに寄せられました。「英語の読みのところは、3であるのに対し、英語の書きは2であり、特に詳細を書くというところが評価が低く見られる」とのことでした。

現地校の成績表とは?

まず一般的に現地校の成績表はどういったものかを考えてみましょう。「成績表」は英語で “report card”と呼ばれ、州や市、公立か私立、またそれぞれの学校によってもフォーマットが異なります。学校によっては、”Progress Report”(中間成績)といってレポートカードの合間に、中間成績表を送って来る学校もあります。
評価対象とされる項目には、各教科だけでなく、生活面つまり周りとの協調性、学校やクラスルールを守れるか、タスクや物事に取り組む姿勢や解決力•持続力•応用力などの評価もあります。
評価の値ですが、数字(1〜4または1〜5)のものや文字(A~F)、また表現の頭文字(E-Excellent、G-Good、S-Satisfactory、N-Needs improvement、U-Unsatisfactory) などがあり、学校によって違っています。
私への相談者は4段階評価でしたので、評価の解釈は次のとおりです:

  • 4=学年レベルの基準以上に非常に高い能力を発揮している。
  • 3=学年レベルの基準を満たし、必要事項をよくこなしている。
    (スキルを一貫してマスターしている)
  • 2=基礎事項の理解はできているが、もう少し頑張れば学年レベルに到達できる。
    (スキルができたりできなかったりする)
  • 1=基礎事項の理解に乏しく、学習上の遅れが見られ、ヘルプが必要。
    (スキルをマスターしていない)

もし文字評価(A~F)の場合は、先述の数字評価を参考に換算すると、A=4、B=3、C=2、D=1、F=失格 NE=評価無しとなります。
通常、この評価とは別に、生徒の良い点や努力の必要な点などを先生が文章でコメントしてくれます。このコメント欄では、一般的にポジティブな事柄を重視して書いてくれる傾向が強い印象ですが、やはり評価自体は先生の判断によって左右される傾向にはあります。

Common Core:全米共通学力基準)

現在、アメリカの41州が、“Common Core”と呼ばれる学習基準を導入し、それらの基準にのっとって評価をしています。ただ、先生が、この基準に生徒の状況をどのように照らし合わせ、どのように判断するかによっても評価は変わってくる為、生徒の特性や環境をじっくりと見定る必要があるのです。例えば、今回の相談者の息子さんには当てはまりませんが、アメリカにきてまもないお子さんで英語がまだままならない生徒さんがいたとして、英語がわからないのは、本人の責任や能力の問題ではありません。それに対して、全ての成績が1もしくはFがつくとなるとそれはフェアではないということになりえます。環境の理解がなされていないという判断になりえるからです。

評価に納得がいかない場合の対処とは

さて、今回の息子さんの場合、教師側の判断基準を問いたいと思うのであれば面談をお願いすることもできます。今回はあくまでもプログレスレポート(中間成績)でしたので、レポートカード(本来の正式な成績表)の後の面談を待つという形もできます。どちらにせよ、面談では、抗議という形ではなく、あくまでも評価の判断基準を問うという形で、親御さんとしては「息子の場合こう思うのだが」という話し合いを心掛けてください。その時に話す要点をあらかじめまとめておくと良いでしょう。

  • 今の年次での英語で書く詳細とはどれぐらいの詳細を期待されているのかを知りたい
  • 具体的に評価「3」になるには、どのような詳細を求められているのか、何が足りないのかを知りたい
    *評価3のWritingサンプルを見せてもらってもよいかもしれない
  • 毎日の書く宿題では親は手伝うなと教師側から言われていたので一切手伝っていなかったのだが、いまのままでは、詳細が増えているとは思えない。その宿題に関して何か工夫をしたい。何かいい方法はないか。
  • 書く文章に詳細をもっと増やすために具体的にどのようなことを家庭でしたらいいのか教えてほしい

最後になりますが、ここで重要なのは、評価に納得できていない場合、その評価に対しきちんと評価基準を理解することが大事になってきます。またお子さん自身の特性や環境をその先生が理解して評価してくれているかどうかを確認することも大切な要素となってきます。そのために、話し合いをもつことはとても重要なことです。

辻 沙織
Brooklyn de Kosodate 代表
米国にて教育学修士課程
ニューヨーク州・カリフォルニア州・ノースカロライナ州に教員資格を保持
米国公立小学校にて10年教鞭をとる
その後、ブルックリンあおぞら学園で教育ダイレクターに就任
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日本語で教育・発達に関するコンサルティングを行っている
自身も一児の母
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第1回 ニューヨーク市の教育事情について

今月は、ニューヨークの3K、PreK、Kinderの申し込みの期限が近づいてきているので、主にニューヨーク市の学校の教育事情をお伝えします。ニューヨーク市の教育の特徴や、学校の種類など、基本的な事項に触れていきたいと思います。

まず、日本の皆さんにもわかりやすいようにお話しますと、アメリカの義務教育のシステムは、州によって異なりますが、K(キンダーガーテン)〜5(小学校)、6〜8(中学校)、9〜12(高校)が一般的です。
州や市によっては、Kー4をエレメンタリとし、5年生から8年生をミドルスクールとしているところもあります。

Kinderの前の年をPre-Kと呼び、義務教育ではありませんがその年の通学を州が予算を出して推奨してしているところもあります。
ニューヨークもその一つで、Pre-K For All programというものが存在しており、無料で4歳児が通えるプログラムがあります。
またNYでは、その一つ下の3歳児向けの3Kプログラムも存在するので、興味がある人はDepartment of Education(DOE)のウェブサイトをチェックしてみると良いと思います。

そのKinder(0年生)、Pre-K、3Kの無料の申し込みがNYでは1月、3月に始まるので毎年この時期は、学校のツアーで大忙しの親御さんが多くなる時期でもあります。
ニューヨーク市は市の教育局(Department of Education=DOE)のもと32のスクールディストリクト(学校区)に区別されています。例えば、マンハッタンですとアッパーイーストサイド(Upper East Side)はDistrict2、アッパーウェストサイド(Upper West Side)はDistrict3となっています。そのスクールディストリクトが更に、スクールゾーン(通学区)に分けられています。基本的には、スクールゾーンの中に住む子供が通う学校は、ゾーンドスクール(Zoned School=ゾーン校)と呼ばれます。ゾーン内に居住する子供は、無条件にゾーン校に入学許可されることがほとんどですが、定員を超えた場合はウエイトリストに載せられ、別の学校への入学を指示されることもあります。基本的に小学校は、通学区内、中学校は学校区内に通いますが校区外や通学区外に越境して通える種類の学校や例外のケースもあります。

各学校には、優先順位枠を設けており、兄弟枠、フリーランチ枠(低所得者家庭枠)、特別支援枠、通学区枠、などです。そういった入学枠に優先順位を設けることによって、人種の融合や多様性を高める改革を行っています。しかし、実際には、学校の現場でどう授業や指導で生徒の個々のニーズに合わせ、個別最適化を測ろうということにはまだまだ課題があり、教育界と保護者の間でも大きな論争を呼んでいるのです。

上記で説明した普通の公立学校の他にも、民間の団体が公的資金を得て設立・運営するチャータースクール(公立学校と同じく無料)、音楽学校、ハンタースクールなど無料で通える小学校の選択肢がニューヨークには色々あります。

以前、私が教諭として働いていたのは他州ですが、普通の公立校に含まれる、マグネットスクールという種類の学校でした。
マグネットスクールというのは、その名の通り「磁石のように人を吸い付けるような特徴のある学校」という意味です。
州や連邦からの予算を受け、音楽やアート、テクノロジーや算数、外国語など、何らかの秀でた特徴のあるプログラムを設け、そうしたプログラムの魅力で、通学外からも子供たちを呼び寄せるという、通学区に制限されない特別公立校でした。

ところで、公立校と私立校の間には、授業料の有無は当然のこと、教育内容、生徒の人数に対する教師人数などにも大きな差があります。
しかしNY市の私立といえば、平均年間40,000ドルの学費は当たり前の世界なので、無料である公立学校に比べると天と地のほど差があるのも事実です。頭がクラクラしてきますね。

カリキュラムに関していえば、一般的に、公立小学校は、それぞれの州によって違うのが今までの米国の特徴でしたが、2022年の現時点では、米政府の教育機関が開発した”Common Core State Standards”という一貫したカリキュラムを取り入れている州が増え、現在では41州で取り入れられており、NY州、NY市もこれに沿った指導がなされています。これに基づき、基礎を積み上げて学力を重視するところが増えてきた印象があり、学年ごとでのおおまかなカリキュラムは共通しています。ただ、実際のところは、やはり学校によって、校長によってどういったことにフォーカスを置いてどのようなプロジェクトを行っているのかなどでカリキュラムに多様性が出るのも事実です。

他にも、Special Educationにおいても幅広くいろいろなプログラムが存在します。一例としては、比較的最近始まったICTプログラムが挙げられます。ICTクラスというのは、Special Educationの児童と一般児童が4:6の比率で同じクラスに在籍するものです。Special Educationのライセンスを持った先生をクラスに追加することと、生徒に対する先生の割合を増やすことでspecial education の児童とgeneral educatoinの児童同士が効果的に活動ができる取り組みとして注目されています。

辻 沙織
Brooklyn de Kosodate 代表
米国にて教育学修士課程
ニューヨーク州・カリフォルニア州・ノースカロライナ州に教員資格を保持
米国公立小学校にて10年教鞭をとる
その後、ブルックリンあおぞら学園で教育ダイレクターに就任
全米教育理事会より認定を取得
日本語で教育・発達に関するコンサルティングを行っている
自身も一児の母
Brooklyn de Kosodate website: https://www.brooklyn-de-kosodate.com

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