第15回「米国でも出来る、体質改善10箇条」Part4

第15回「米国でも出来る、体質改善10箇条」Part4

隔月連載の第15回目。今回は体質改善Part4について取り上げます。

更新日: 2018年11月28日

これまで3回に渡り、体質改善10箇条を9つ目まで解説してきました(過去記事:1~3条、4~6条、7~9条)。

1.大切なのは食材バランス。カロリー・体重を気にしない
2.毎日、最低一杯のお味噌汁
3.毎回、両手分のお野菜と片手分のタンパク質
4.穀物・イモ類・根菜は、グーの量を添え物程度に
5.オリーブオイルやナッツオイルを積極利用
6.食べる順は汁物、野菜、タンパク質。 穀物・イモ類・根菜は食事の後半
7.よく噛んで腹7-8分目
8.間食も食事の1つ
9.水分摂取を欠かさない

今回がとうとう最終回。10箇条の10個目をご紹介します。
何を食べるかという話は1~5および8、9でお話ししました。食べるものが整えば、栄養の偏りが解消され代謝負担も減るため、原因不明の症状がいつの間にか消えたり、発症しなくなります。
ただし、これだけでは道半ば。どんなにいいものを食べても、食べ方を間違うと全て無駄になってしまいます。食べ方を説いたのが6と7。身体への負担を考慮した食べる順番や、食べた物を物理的・化学的に粉々にする食べ方を取り入れると、食べたものがきちんと私たちの身体やエネルギーになってくれます。
この食べ方にもうひとつ追加したいのが、今日お伝えする10箇条目です。そして実は番外編としての11箇条目が隠されており、非常に重要なこの内容も今回お伝えします。
体質改善10箇条の概要や実践時の留意事項は第12回の「体質改善10箇条とは?」をご参照ください。

をご参照ください。

10. 食事を楽しむ。一度の乱れは気にしない。次が大事、次から戻す。

何を食べるべきかという話をしていると、「そんな食事は楽しくない。楽しくない食事をするくらいなら病気になったほうがいい。」という方がいらっしゃいます。もちろん私も同感です。楽しくない食事はしたくありません。
こんな方もいます。「好きなものしか食べていないあの人があんなに元気なのに、いろいろ気を付けている自分がどうして病気がちなんでしょう?」と悩む方。実際にそういう例はときおり見掛けます。例えば世界最高峰の資産家であり、88歳になる現在も投資業界のトップに君臨するウォーレン・バフェットさん。この方はチェリー・コークを愛飲し、マクドナルドを朝食の定番メニューにしています。ファストフード中心の偏食傾向が健康を阻害することは、科学的にも、人間の食物史的にも実証されています。しかしそれでも、なぜこういった例外ケースが生じるのでしょうか。
その答えの鍵が食事を楽しむということ。身体の仕組みを考えても、食事を楽しむことはとても大切なんです。食事を楽しむと自律神経のバランスが整い、健康体を維持しやすくなるのです。

神経システムと食事の深い関係

自律神経とは心拍や呼吸、ホルモン分泌等の調節を行っている神経システムで、交感神経と副交感神経に分けられます。この二つのバランスが保たれていると、身体の内部環境が整い、病気になりにくくなります。

交感神経系はストレス状態で優位になる神経系で、「闘争か逃走の神経」とも呼ばれます。狩猟時代の人類は常に、野生動物から襲われるリスクと隣り合わせで生きていました。そしていざ危機に瀕したら、闘争か逃走を判断し、全力をそのために注ぎました。全身に大量の酸素や栄養素を送りこむために血管を収縮させ、エネルギー源である血糖を増やしたのです。一方、悠長にご飯を食べている場合ではないので、消化や排泄系の機能は抑制されます。
安全圏に身を置き、リラックスしているときに優位になるのが副交感神経系。血管の緊張を緩め、エネルギーをセーブするために血糖値は低めに保たれます。身体を新鮮な状態に保つためのデトックス機能も高まります。そして、この間に栄養や糖を蓄えておくために消化系機能が活発にさせるのです。
つまり、副交感神経が優位な状態でないと消化吸収が進まないということ。言い換えれば、楽しい食事でないと食べた物の消化が進まず、消化不良の食べ物が胃腸に滞留し、場合によっては腐敗してしまいます。これが逆流性食道炎(いわゆる胸やけ)に代表される胃腸の不調につながるのです。

副交感神経優位な食生活を送るには?

ではどうやったらリラックスして、消化力高く食事できるのでしょうか。コツは3つあります。

1つ目は80点主義。10箇条を完璧に1日3食×365日継続できる人はいません。完璧主義を目指すことはできますが、それがストレスになって消化吸収が進まないのでは全く意味がありません。それよりは、20%くらいは好きなものを存分に楽しみながら、羽目を外しすぎないように80%を維持するのが賢明な判断です。週に21食。そのうち4-5食は好きなように食べれると考えれば、10箇条実践はさほど難しいものではありません。

2つ目のコツは「どっちがいいかな?」。10箇条を完全に実践したいと思っても、自分にコントロールできない状況はあります。例えば、見ず知らずへの出張で夕飯が遅くなり、近くで開いているのはDinerが1件というケース。そんなときは、そのDinerのメニューを見て、その中で食べたいと思うもの(楽しく食事できるもの)をいくつか選び、その中で10箇条に最も合致しているものを選んでください。つまり与えられた環境下で最善を尽くすということ。避けたいのは無理に夕飯を抜いたり、となり街にまで出かけて行って寝不足になることです。

3つ目のコツは終わったことは悔やまないこと。罪悪感を引きづったり、言い訳するのは止めましょう。どんな結果であれ、食べると決めたら食べて、次をことを考えましょう。仮にそれで体調を崩したら、また一つ賢くなったとお考えください(実際そうなので!)。

完璧主義は自律神経的にも、継続性という点でも逆効果です。ぜひ80点主義を自分のものにしてください。

なお、症状次第では一定期間(数ヶ月から数年)、完璧主義を徹底しなければならないケースはあることはあります。その場合は一時的に80点主義を中断し、(そして回復後に80点主義に返り咲くことを夢見ながら)症状回復に100%注力してください。

番外編:食材品質

世の中にあふれる栄養関連情報の9割近くは、個々の栄養素や食材の種類の話に終始しています。「知られざる葉酸パワー」「低糖質ダイエットで痩せるワケ」「脂肪は身体にいいのか、悪いのか」「次に来るスーパーフードはコレ!」など。
しかし食生活を考える上で忘れてならないのは、食材の質。良質な食材さえ揃えていれば、食材の種類はさほど問題ないとすら考えています。事実、食生活をどうしても変えたくないという頑固な方に最後に提案するのが食材の質だけ向上してもらうこと。実際、それだけでも一定の効果が得られます。
下記が品質面で懸念のある食品です。これらは取り過ぎないことを心がけてください。

過度に加工された食品
現代生活者のニーズに応えるため、大量の加工食品がスーパーマーケットに並んでいます。これら食品無しに現代生活が成り立たなくなっているのは事実。そして、これら加工食品を利用することは私もあります。
しかしながら、加工処理の過程で食材が本来持っている栄養素や酵素が失われるのも事実です。人工的に作られた栄養分が補填されることもありますが、残念ながら天然の栄養素と同様には代謝されず、場合によっては身体に余計な負荷をかけることにもなりかねません。
安全性も気になります。相次ぐ食品汚染のニュースを見ていると、加工食品の安全は消費者の判断に委ねられていると言っても過言ではありません。しかし加工食品であるがゆえ、何が中に入っているのかを商品から推測することは非常に難しく、原材料ラベルからも一定範囲の情報しか得られません。

見慣れない原材料の多い食品
原材料ラベルをご覧になったことはありますか。そこに記載されたものがご自宅のキッチンに置いてあるようなものばかりであれば、その商品は概ね安心です。逆に、ご自宅のキッチンで一度も見かけたことがないようなもの、もしくは、そもそもそれが何か分からないようなものが多く記載されていたら、要注意です。非常に高い確率でそれは食品添加物でしょう。
食品添加物は一長一短あります。現代生活を可能にしている一人の立役者であることは確かです。特に都市生活者が無理なく3食食べられるのは、食品添加物のおかげです。
しかしながら、食品添加物の安全性はいまだ完全には確認されていません。食品添加物の認可は動物実験の結果だけでも足りてしまいますし、その実験も一定の条件下における結果でしかありません。また複数添加物が混合した場合の影響はほとんど検証すらされていません。ハーバード大学やロックフェラー大学における研究生活を経て、現在は青山学院大学教授である世界的な生物学者、福岡伸一さんも「食品添加物は微量であっても体内の動的平衡に負荷をかけることになり、長期的に摂取し続けることは壮大な人体実験をしているようなもの」と警告しています。

食品購入も投票と同じ
上記のような食品をゼロにする必要はありません。ただし別に選択肢があるなら、上記に該当しない良質なものを選んでください。時として倍以上の価格差があるかもしれませんが、値段にすれば数十ドル程度。外食を一度控えれば、まかなえる金額です。
購買活動は投票と同じ。良質なものを購入すれば、その商品の流通量が増え、結果的に良質のものが安価に入手できるようになります。出来る範囲から少しずつ始め、ご自分の手で理想の食品流通を手に入れてください。

あとは実践あるのみ!
以上が体質改善10箇条+番外編です。すぐにも出来そうなものから、すぐには難しそうなもの、内容に納得のいかないものまであったと思います。あくまで私の信じる10箇条ですので、すべての方に10箇条全てに賛同していただけるとは思っていません。
ただ一つでも賛同し、やってみようかなと思えるものがあれば、ぜひ今日から始めてみてください。そして日々の体調や精神状態にどんな変化が生じているかを感じてみてください。その繰り返しが自分だけの最適食を見つける一番の近道です。

※体質改善10箇条は一般的な体質改善を目的としています。疾病の治療等は目的にしておりませんので、予めご了承ください。

試して欲しい食材:ハーブチンキ(Tincture)

今回は最近私がハマっている飲み物をご紹介します。ハーブチンキで作るフレーバー・ティーです。ハーブチンキとは、ハーブをウォッカなどのアルコールに漬け込んで成分抽出したものです。英語だとTinctureと言います。
飲み方はいたって簡単。ゆるま湯にハーブチンキを1~2滴たらすだけ。ハーブの効果が凝縮しており、持ち歩きも簡単。ティーバッグ等と違い、ゴミも出ません。
AmazonやWholeFoodsでも簡単に購入できます。種類が多いので迷ってしまいますが、私のお気に入りは以下の3つです。

•シナモン:抗酸化作用や抗炎症作用があります。甘いものが欲しくなったときに飲むと、食欲を抑制することができます。
•ジンジャー:免疫強化の作用があります。風邪の引き始めに飲むと症状が和らぎます(消すわけではないのがポイントです!)。
•レモンバーム:香りがよくリラックスできます。
ぜひお試しください。

※本コーナーの掲載情報は情報提供を第一の目的としております。掲載情報は自己責任の下でご利用ください。

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著者プロフィール:

中村洋一郎
OPEN Laboratory, Inc.代表
Website: www.open-laboratory.com
Instagram: https://www.instagram.com/yoichiro.yokun.nakamura/
Twitter:https://twitter.com/yoichiro32
・米国栄養療法協会認定 栄養療法コンサルタント(NTC)
・バブソン大学 経営学修士(MBA)
・企業向けに、能力開発やヘルスケアコスト削減を目的とした、栄養療法関連サービスを提供中。個人向けには、副腎疲労等の生活習慣病改善を目的とした栄養療法カウンセリングを提供
・ニューヨーク市主催サマープログラム(SYEP)での栄養関連セミナー講師や、米国航空宇宙局(NASA)主催エンジニア向けイベント(ボストン地区)での栄養関連セミナー講師等を担当
お問合せはこちら yoichiro@open-laboratory.com

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