第12回「米国でも出来る、体質改善10箇条」

第12回「米国でも出来る、体質改善10箇条」

隔月連載の第12回目。今回は体質改善について取り上げます。

更新日: 2018年05月22日

暦の上では夏真っ盛り。薄着の季節になり、体型の改善・維持を意識なさっている方も多いのではないでしょうか。しかし一般的によいとされている体型が本当によいのかは疑わしいところ。そもそも最適な体型は人それぞれ。健康という観点から考えれば、体型よりも体質の方が重要。よい体質を目指した結果の体型が、その人の最適な体型と考えるのが自然でしょう。

私の考えるよい体質とは、気力・体力に優れた体質です。ただし「いつも元気いっぱい」が必ずしもいいわけではありません。むしろ不自然だとすら感じます。疲れたり落ち込んだりしてもすぐに回復できる柔軟性・耐久性、異常があれば発熱や炎症により早めに対処できる免疫性などが優れた体質の特徴です。

これまでの記事では、米国における食材の選び方やトレンド・ワードの解説、よくある症状への対処法といったテーマ別の内容をお伝えしてきました。そこで本稿からは、これらテーマを横断する形で、体質改善のためのより実用的な食生活の基礎をお伝えしたいと思います。

名付けて体質改善10箇条。誰にでも実践できる10箇条です。米国でももちろん実践可能です。気に入ったものだけでも結構です。ぜひ日々の食生活に組み込んでみてください。そして真の健康体に向けた食生活の探求に活かしてください。

体質改善10箇条とは?

個々の解説の前に、体質改善10箇条の概要や留意点をご説明します。

体質改善10箇条とは、その名の通り、よりよい体質になるための食生活のキホンです。当然ながら一人一人は異なりますし、食事はあくまで健康維持の一要素ですので(休息や身体の使い方なども大いに関係します)、この10箇条を実践するだけで最高の健康体を手に入れられるわけではありません。

しかし誰にでも共通するキホンはあります。そして、この共通項を実践するだけで、これまで多くの方が過去に経験したことがないほどの身体の軽さを感じていらっしゃいます。そんな共通項を、栄養療法を専門にしている内科医の方とともに10箇条に落とし込んだものが、この体質改善10箇条です。

誰にでも共通すると言っておきながら恐縮ですが、一部の例外はあります。まず食品アレルギーがある場合はその食材はいかなる場合もお控えください。加えて、食べ慣れない食材がある場合は少しずつ食べる量を増やしてください。また量を増やしていく過程で不調を感じた場合は、その食材の摂取をしばらく控え、念のため、医療機関や栄養療法の専門家にもご相談ください。さらに、通院中や他の食事療法を実践中の場合はかかりつけの医師や食事療法師にこの10箇条の実践について事前にご相談ください。

ではここから体質改善10箇条を一つずつ解説していきます。

1. 大切なのは食材バランス。カロリー・体重を気にしない

食事において最も大切なのは食材のバランスです。多様な食材をバランスよく摂ることが偏りのない栄養摂取につながるからです。逆にカロリーや体重を気にして食事すると、食材に偏りが出て、栄養が偏ってしまいます。

もともと偏った食事をしている方が、別の偏りのある食事に切り替えると、体調がよくなると感じることがあります。なぜなら、それまで不足していた栄養素を取り込めるようになるからです。しかし、しばらくすると新たなバランス喪失状態に陥り、この効果は長続きしません。長く続けられるよう、食材バランスを何よりも大切にしてください。

では食材のバランスとは具体的に何を意味するのでしょうか。肉、魚、野菜、穀物といった食材の種類はもちろんです。しかしこれ以外の見方もあります。

例えば色。赤、緑、黄色、紫といった多様な色の食材を使うことで、多様な栄養素を取り込むことができます。味も同様。甘さや辛さ、渋さなどの多様な味を出すためには多様な食材が必要になります。旬の食材を使うのも食材バランスを維持するのに効果的です。旬のものを食べ続ければ、1年を通して適切な食材バランスを実現できます。さらにお肉などは、部位の種類を広げることで栄養の偏りを防げます。例えば鶏肉を食べるにしても、手羽なのか、モモなのか、胸肉なのかで摂取できる栄養が異なります。

米国生活では、日本では珍しい食材にも日常的に出会うことができます。新しい食材に出会ったら積極的に取り入れ、食材バランスの向上に努めてみてください。

2. 毎日、最低一杯のお味噌汁

味噌汁は日本が誇る健康食の代表格です。味噌が持つアミノ酸や出汁に含まれるミネラル類に加え、具材を工夫することで本当に多様な栄養素を取り込むことができます。加えて、お腹を温める免疫効果や消化促進の効果も見逃せません。

味噌汁の具は豆腐、わかめ、貝類に限りません。カリフラワーやアボカド、ズッキーニ、トマト等、日本古来の野菜でなくとも美味しい味噌汁はいくらでも作れます。

出汁も、昆布や鰹に限る必要はありません。健康食として近年注目を浴びているボーン・ブロス(動物の骨でとったスープ)を味噌汁の出汁に使うことも可能ですし、試してみた方のほとんどに気に入っていただけています。実際、Miso Bone Brothが定番メニューになっている人気レストランもニューヨークにあります。

味噌の種類も、色(赤、白など)、麹の種類(麦、豆、米など)、味(甘口、辛口など)など多様です。慣れ親しんだ味噌をつい選びがちですが、米国に来たらどれも母国の味。日本で食べるのとは一味違った味わいがあると思います。日本に居るころは試さなかった新しい味噌もぜひトライしてみてください。

味噌(Miso)は日系スーパーでなくとも比較的簡単に手に入ります。良質な味噌はむしろ米国ブランドであることも多く、Whole Foodsなどの高級食品スーパーで手軽に見つけることができます。自宅近所のファーマーズ・マーケットでは、日本ですら入手困難なくらいの昔ながらの製法で作られた米国産味噌が手に入ります。米国にいる間に、ぜひローカル味噌も試してみてください。

3. 毎回、両手分のお野菜と片手分のタンパク質

「1. 大切なのは食材バランス。カロリー・体重は気をしない」を実践する上で参考にしていただきたい野菜/タンパク質/炭水化物の分量目安をお伝えします。

まずお野菜は両手の平に山盛りになる量(生の状態での分量)を毎食摂るようにしてください。毎食が難しければ、一日で最も大きな食事でこの量を目指してください。少し量が多いなと感じるかもしれませんが、生でなければ量はそれほど多くありません。スープや炒め物に入れたり、漬物を上手に使えば、無理なくこの量を召し上がれます。

ただし気を付けていただきたいことが二つあります。一つは野菜の種類。ここに糖質の多いイモ類やカボチャ、トウモロコシなどは含まれません。含まれるのはそれ以外の野菜。例えば、キャベツやレタスなどの葉物野菜、カリフラワー、ブロッコリー、アスパラガス、ナス、キュウリ、ピーマン、トマト、ズッキーニなどです。これらを十分に摂ることで、血糖値の上昇を抑制でき、食べすぎも防ぐことができます。つまり意識せずとも緩めの糖質制限ができます。

気を付けていただきたい二つ目は調理法です。胃腸、特に腸内環境に不安のある方は調理していない状態、つまり生の野菜を大量に召し上がるのはお控えください。人間は野菜に含まれる食物繊維を消化できません。食物繊維を消化するのは腸内細菌です。しかし腸内環境が乱れていると、食物繊維が消化不良の状態で腸にとどまり、腸を傷めてしまいます。お腹を下し気味であったり、便秘気味の方はこの傾向が疑われます。食後に腹部の膨満感を感じる方も疑いありです。こういった方は生野菜は控えめにして、発酵食品から野菜を摂るようにしてください。日本であればぬか漬け、米国であればザワークラウトなどです。これらの食品は発酵過程で食物繊維の消化が進むため、食べたときの腸への負担が軽くて済みます。

タンパク質(肉、魚、卵など)は片手にのる量を目安にしてください。重量にして100g前後。日本の定食屋さんにある焼き魚定食や焼肉定食などのメイン料理の量のイメージです。糖質制限が広まったことでお肉を大量に召し上がる方も出てきました。減量目的であればお肉を大量摂取しても問題ありませんが、消化負担はありますので、日常的には片手の量を目安にしてください。

本稿では体質改善10箇条の最初の3つをお伝えしました。全てでなくても結構です。できそうなものから、皆さまの食生活に取り入れてみてください。

※体質改善10箇条は一般的な体質改善を目的としています。疾病の治療等は目的にしておりませんので、予めご了承ください。

試して欲しい食材:Rhubarb(ルバーブ)

赤いセロリのような野菜を見たことはありませんか?または、パイの具材として”Rhubarb(ルバーブ)”という言葉をご覧になった方もいらっしゃるかもしれません。
これはルバーブと呼ばれる野菜です。旬は春から夏にかけて。肉厚な葉を持つ野菜です。
主に食用されるのは茎の部分で、使われ方は野菜というより果物に近いです。例えば、ルバーブジャムやルバーブ入りのパイなどはアメリカでは定番です。

お菓子作りが得意な方はアメリカ風のお菓子としてぜひルバーブを使ってみてください。苦手な場合は瓶詰めされたルバーブ・ジャムを試してみてください。スッキリした甘みがパンやヨーグルトによく合います。

21 Days体質改善チャレンジプログラムのご紹介

ご紹介した体質改善10箇条の実践をオンラインサポートするプログラムを開催しています。日本で栄養療法を長年実践されてきた内科医の方との共同プログラムです。現在、期間限定のモニター価格で提供しており、リダックくらぶ会員様向けに更に20%の割引が適用になります。(詳細はこちらの特典ページを参照してください)。
完全オンラインでのプログラム運営に加え、米国東海岸時間や西海岸時間に合わせた開催も予定していますので、リダックくらぶの方は非常に参加しやすい内容になっています。
プログラムに関する詳細はこちらを参照してください

※本コーナーの掲載情報は情報提供を第一の目的としております。掲載情報は自己責任の下でご利用ください。


著者プロフィール:

中村洋一郎
OPEN Laboratory, Inc.代表
Website: www.open-laboratory.com
Instagram: https://www.instagram.com/yoichiro.yokun.nakamura/
Twitter:https://twitter.com/yoichiro32
・米国栄養療法協会認定 栄養療法コンサルタント(NTC)
・バブソン大学 経営学修士(MBA)
・企業向けに、能力開発やヘルスケアコスト削減を目的とした、栄養療法関連サービスを提供中。個人向けには、副腎疲労等の生活習慣病改善を目的とした栄養療法カウンセリングを提供
・ニューヨーク市主催サマープログラム(SYEP)での栄養関連セミナー講師や、米国航空宇宙局(NASA)主催エンジニア向けイベント(ボストン地区)での栄養関連セミナー講師等を担当
お問合せはこちら yoichiro@open-laboratory.com

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