第3回「鶏肉や卵は一体どれを選べば良いの?」

第3回「鶏肉や卵は一体どれを選べば良いの?」

更新日: 2016年11月14日

今回は、前回号の動物性食材を選ぶ時の考え方-牛肉・豚肉編に続く第2弾として、鶏肉・卵の選び方や、日本人だとついつい食べたくなる卵の生食についてもご紹介いたします。

鶏肉や卵はどれを選べば良いのか?選ぶ基準はまず栄養価。これは数値化できるので判断が容易です。次に飼料や飼育方法。これには動物愛護や飼育者の健康に関する議論が付きまといます。しかしこれには「正解」がありません。
消費者個人が、自分の価値観に従って判断することが求められます。私の価値観を一つの判断基準として参考いただき、鶏肉・卵に対する皆さま自身の判断基準を考えてみてください。

Organicが大前提

鶏肉や卵を選ぶ時の大前提は、Organic(オーガニック)であること。
USDA(United States Department of Agriculture)によると、抗生物質や成長ホルモンの不使用、Organic飼料(遺伝子組み換えでない飼料など)による飼育、屋外への経路確保などがOrganic認証には求められます。

つまり、Organicでない鶏肉・卵は、成長ホルモンや遺伝子組み換え飼料により飼育された恐れがあるということです。

細分化する飼育環境

鶏肉・卵には、飼育環境を説明するフレーズが牛肉・豚肉以上に多く存在します。
食用鶏の飼育環境は大きく4種類。それを分かりやすく人間の生活環境に例えると以下のようなイメージです。

1. Battery Cage(バタリーケイジ)
靴箱サイズの檻の中で身動き取れず、清潔感もない → 場末のカプセルホテル

2. Cage-free(ケイジフリー)
檻はないが、大きな納屋にすし詰め状態 → 雑魚寝

3. Enriched Colony(アンリッチドコロニー)
檻ではあるが、それなりに動ける → ルームシェア

4. Pasture-raised/Free-range(パスチュアレイズド/フリーレンジ)
草の上を自由に動ける → 1ルームの部屋以上

スペースの関係上、写真は掲載しませんが、上記フレーズでイメージができるのではないでしょうか。
その違いは一目瞭然です。

鶏肉はPasture-raised/Free-rangeを選択

これら飼育環境は鶏肉の栄養価に影響するのでしょうか。

答えはYes&No。

Pasture-raised/Free-rangeのような自然に近い飼育環境で育った鶏肉の方がOmega 3を多く含むという結果が多くの研究から出ています。しかし、その差は決して大きくありません。
※Omega 3に関する解説は前回号をご参照ください。前回号はこちら

ビタミンEの量に関しては、飼育環境がほとんど影響しないという研究結果が大半です。つまり、栄養価だけ見るとPasture-raised/Free-rangeの鶏肉にこだわる必要はなさそうです。

ただそれでも私はPasture-raised/Free-rangeの鶏肉を選んでいます。なぜならBattery Cageで飼育されている鶏のことを考えると、その飼育方法を支持することはできないと感じるからです。

飼育者の健康もPasture-raised/Free-rangeを選択する理由です。
Cage-freeやEnriched Colonyの場合、鶏が自由に動き回れる半面、それによって舞い上がった粉塵を飼育者が吸い込み、飼育者の健康を阻害していることが報告されています。

Pasture-raisedとBattery Cageの鶏肉の価格差は大きいですが、もともと安価な鶏肉ですので、価格差といっても数ドル程度です。
数ドルを渋ってまで、劣悪な飼育環境・労働環境を支持したいとは思えません。

卵もPasture-raised/Free-rangeを選択

一方、卵に関しては飼育環境による栄養価の違いが明白であり、迷わずPasture-raised/Free-rangeを選んでいます。

Pasture-raisedの卵には、Battery Cageの卵の1.7倍のOmega 3が含まれているという研究結果があります。量に関しても、Pasture-raised/Free-rangeの卵がBattery Cageの卵の10倍近い、265 mgのOmega 3を含んでいるという研究結果があります。

これは卵をOmega 3の貴重な供給源と考えてよいレベルです。

Gradeに本質的な意味はない

卵のパッケージには、前述した飼育環境の他に、Gradeも記載されています。

GradeはAA/A/Bの3段階で記されています。Gradeは日本語にもなっている単語なので日本人にとっては目につきやすい表示です。

しかし意味するものは、その言葉からの連想するものと異なります。

以下が各Gradeの意味です。

AA:白身が厚く、硬め。黄身がこんもりと高い。殻にヒビや汚れがない
A:基本的にはAAと同様だが、白身がやや薄め
B:白身が薄く、黄身も広がっている可能性がある。殻にヒビはないが、若干の汚れが付着している可能性がある

つまりGradeから分かるのは見た目とヒビの有無だけで、本質的な意味を感じません。

そのため私自身、Gradeを見て卵を選ぶことはありません。もちろんAAやAの方が新鮮だと思いますが、スーパー等で売られているものは通常AAかAで、Bは主に加工用に使われています。

卵の生食は避けるのが賢明

日本人にとって、卵の生食は食文化の1つ。

旅館の朝食の定番は生卵ご飯ですし、誰しも一度は牛丼に生卵をかけて食べたことがあるはず。しかしながらこれが許されるのは、卵の衛生管理が行き届いた日本でのみ。米国での卵の生食にはリスクが伴います。

最も代表的なリスクはサルモネラ菌。FDA(U.S. Food&Drug Administration)では、毎年79,000件の食中毒がサルモネラ菌によって引き起こされ、30件は死亡に至ると推定しています。サルモネラ菌の食中毒にかかると通常、サルモネラ菌摂取後12~72時間以内に下痢・発熱・嘔吐等が発生し、治療を受けないと4日~1週間近く、その状態が続くと考えられています。

サルモネラ菌の食中毒を避けるには、十分に調理した状態で卵を食べる以外に方法はありません。残念なことに、サルモネラ菌の有無をOrganic認証や飼育環境、Gradeによって判別することはできません。仮にOrganicでPasture-raisedなGrade AAの卵であっても、サルモネラ菌が付着している可能性はあります。

試して欲しいアメリカ食材:Sunchoke

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(Photo by Yoichiro Nakamura)

今回ご紹介するのはSunchoke(サンチョーク)です。

Jerusalem artichoke(イェルサレム アーティチョーク)と呼ばれることもあります。日本語名はキクイモです。旬は秋で、そのころのファーマーズマーケットに行くと必ずお目にかかれます。Sunchokeはキク科の一種で、白いショウガのような見た目です。

加熱調理すると、皮に近い部分はヌルっと、芯に近い部分はシャリっとした食感です。

おすすめの調理法はロースト。Sunchokeを食べたい大きさに切り、オリーブオイルと塩を素手でもみ込み、オーブンでローストします。1cm~2cm程度にスライスするのが一般的ですが、縦に切ったり、切らずにそのままローストすると食感が際立ちます。

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(Photo by Tavallai)

ロースト時間の目安は350°Fのオーブンで30分間程度。切り方によって、ロースト時間を調整してください。お好みでローズマリーやタイムを一緒にもみ込んでも美味しいですし、オリーブオイルの代わりにバターやギ―を使うと一味違った美味しさを楽しめると思います。

サツマイモやゴボウなどの根菜類に、ニンニクも添えてローストすると、秋の味覚を堪能できる一皿が簡単に出来上がります。

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著者プロフィール:

中村洋一郎
OPEN Laboratory, Inc.代表
Website: www.open-laboratory.com
Instagram: https://www.instagram.com/yoichiro.yokun.nakamura/
Twitter:https://twitter.com/yoichiro32
・米国栄養療法協会認定 栄養療法コンサルタント(NTC)
・バブソン大学 経営学修士(MBA)
・企業向けに、能力開発やヘルスケアコスト削減を目的とした、栄養療法関連サービスを提供中。個人向けには、副腎疲労等の生活習慣病改善を目的とした栄養療法カウンセリングを提供
・ニューヨーク市主催サマープログラム(SYEP)での栄養関連セミナー講師や、米国航空宇宙局(NASA)主催エンジニア向けイベント(ボストン地区)での栄養関連セミナー講師等を担当
お問合せはこちら yoichiro@open-laboratory.com