残念ながら、アメリカでも偽会計士や偽税理士がいて、確定申告に絡んだ詐欺を働いているものがいるようです。偽会計士等に確定申告書の作成を依頼してしまい、還付金を取られてしまった等の被害が報告されていますので、皆さんが詐欺にあわないよう対策方法をお教えします。
危険な兆候
会計士(CPA)又は米国税理士(Enrolled agent)に確定申告書の作成を依頼した際に、以下のようなことがあったら危険な兆候と考えてください。
- 何も記入されていない又は作成中の確定申告書のサインをさせる
まだ確定申告書に何も記載されていない状態でサインを依頼してきた場合は、必ず拒否してください。確定申告書の内容を適当に記入され、当局に提出されてしまう可能性があります。 - 巨額の還付金を約束する
原則、還付金は支払った源泉徴収や予定納税の払い過ぎを納税者に戻すものになります。支払った以上の還付金が発生することはないので、あまりにも大きな還付金を約束してくる会計士等がいた場合は注意してください。 - 確定申告書の作成費用が還付金額に対して変わる
確定申告書の作成費用は、原則一定又は関与時間によって決められます。還付金額次第で作成費用が変わる場合は、虚偽の還付金額を申告されてしまう可能性があります。依頼する際に、還付金額によって作成費用が変わると言われた場合は避けた方が良いでしょう。 - Paid preparerの欄にサインをしない
Form 1040上に” Paid Preparer Use Only” という欄が設けられています。申告書の作成を請け負った者は、こちらにサインをする必要があります。依頼した会計士がこちらにサインをしていない場合は、注意してください。 - 還付金の受取口座が納税者のものでない
確定申告を作成し還付金が受け取れる場合、銀行振込で還付金を受け取ることができます。確定申告書に還付金を受け取る口座を記入するのですが、この口座情報が自身のものか確認をしてください。第三者の銀行口座情報が入力されている場合、当局は記載されている銀行口座に振り込み処理を行います。
(駐在員の場合、勤務先の銀行口座情報になっていることがあります。これは、駐在員分の還付金は勤務先会社に帰属しますので問題ありません。)
確認方法
会計士(CPA)又は米国税理士(Enrolled agent)等は、オンライン上で有資格者か確認することができます。
会計士の場合は、下記のサイトで名前を検索することができます。
https://cpaverify.org/
私の名前を検索すると以下のように表示されます。
「会計士」を名乗りながらこのサイトに名前が表示されない場合、注意したほうがよいかもしれません。
また、IRSは登録されている申告書作成者を検索できるサイトを用意しています。
https://irs.treasury.gov/rpo/rpo.jsf
こちらで私の名前を検索すると以下のように表示されます。
我々のような申告書作成者は、毎年IRSのPTIN(Preparer Tax Identification Number)というものを更新しています。この情報を提示できない会計士や米国税理士には注意してください。
万が一被害にあってしまった場合、当局に報告するにも確定申告書の控えが必要になります。申告書の作成を依頼した場合は、必ず申告書の控えを作成者からもらうようにしてください。申告書の控えをもらえない場合は、すぐに申告書の作成を止めるよう依頼してください。
まとめ
アメリカにも悪い偽会計士がいて、注意しないと詐欺のターゲットになってしまうかもしれません。申告書の作成を第三者に依頼する場合は、以上のような点を確認して詐欺の被害にあわないよう注意してください。
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大森朋章(おおもりともあき)・米国公認会計士(ワシントン州)
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