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第5回「税制面に関する渡米前の準備」

Q. アメリカへの転勤内示が出ました。渡米前に準備しておいたほうが良いことがあれば教えてください。

A. アメリカでの確定申告のために、渡米前に準備をしておいたほうが良いことがいくつかありますのでご案内いたします。

  • 金融機関情報
    アメリカでは確定申告書で収入の報告だけでなく、アメリカ国外の金融資産の情報についても報告義務があります。($10,000を超えるアメリカ国外の金融資産を持つ人は、全てのアメリカ国外の金融資産を報告しなければなりません。)
    そのため、毎年申告書作成時に日本の金融機関情報や残高を確認する必要があります。従って、日本から出発する前にご自身と配偶者の持つ金融資産の情報をオンライン等で確認できる状態にしておくことをお勧めいたします。

  • 個人的な収入の情報
    アメリカの確定申告書では、一部の例外を除き全世界所得を報告しなければなりません。
    そのため、給与以外の収入の情報を確認できるようにしておく必要があります。具体的には日本で不動産収入をお持ちの方や、利子・配当の収入がある方はアメリカからも金額を確認できるようにしておく必要があります。
    また、赴任中も日本で確定申告を行う場合は、確定申告の控えを入手できるようにしておくとアメリカでの確定申告書作成がスムーズに行えます。

  • 納税管理人の設定
    駐在期間中に日本で確定申告を行う予定の方は、管轄の税務署にて納税管理人の届け出書を提出してください。ご家族や税理士等を納税管理人に設定することで、日本から納税者の代わりに申告書の提出が可能となります。また、税務署からの通知を指定した納税管理人が受け取ることが可能となります。
    持ち家等をお持ちで固定資産税の支払いがある方は、固定資産税の納税管理人の設定も別途必要となります。固定資産税は各地方自治体が管轄になりますので、お住いの自治体に固定資産税の納税管理人届け出書を提出してください。

  • 住宅ローンを受けている方
    現在住宅ローン控除を受けている場合は、出国前に「転任の命令等により居住しないこととなる旨の届け出手続」が必要となります。赴任期間中は住宅ローン控除を受けることができませんが、日本に帰任した際に住宅ローン控除の残余期間があれば再度控除を受けることができます。

  • 社会保障協定適用証明書
    アメリカでの駐在期間中、日本からの駐在員は原則アメリカでFICA taxを支払う必要がありません。このFICA taxを免除するにあたり、日本で「社会保障協定適用証明書」を取得する必要があります。通常勤務先が日本年金機構に申請し取得をするものになりますが、海外派遣に慣れていない会社の場合取得されていないこともありますので、出国前に会社と確認することをお勧めいたします。

大森朋章(おおもりともあき)・米国公認会計士(ワシントン州)
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