第4回ディナーテーブル〜普段の夕食をおしゃれに〜「和洋折衷テーブル」
第4回ディナーテーブル〜普段の夕食をおしゃれに〜「和洋折衷テーブル」
テーブルコーディネ―ターのじゅんこ先生がご自宅で楽しむためのヒントやアイデアをご紹介
更新日: 2020年01月29日
年が明けてひと月が過ぎ、すっかり日常に戻りつつある日々をお過ごしでしょうか。お正月から人日の節句、そして小正月を終え、今月は節分があり、来月は桃の節句を迎えるなど、一年の始まりの初春は、日本から離れて暮らす私たちとしては、自国を思い出すような行事が目白押しな時季だと思います。
そんな折に、ご提案したいのが“和洋折衷”のテーブルです。
戦後以来の日本の食事の洋食化により、実際のところ私たちの普段の食卓シーンは、和洋中の料理が混在するなんとも贅沢なものになっていますよね。
日本人は、海外からの文化を取り入れ、自分達流にアレンジしてしまうことに長けた素晴らしい能力があるように思います。色々な国の食事を楽しめるということは、日本人として生まれてきた醍醐味なのかもしれません。そうであれば、せっかくですから、テーブルにもひと工夫してみると、その醍醐味を更に楽しむことができるのではないでしょうか。
そこで、今回の記事では、和食を和のテーブルで、洋食を洋のテーブルで、といったそのままの表現ではなく、和と洋をクロスオーバーさせるような形のテーブルをご紹介したいと思います。日本人の日常の食卓シーンに活用していただけるように、そして、工夫次第で、その日常がほんの少しおしゃれになるような…そんなアイデアです。
和洋折衷テーブルのポイント
和洋折衷と一口に言っても、実は色々な切り口があると思います。そもそも料理自体が和と洋のミックスであったり、あるいはテーブルコーディネートが和と洋のイメージが混じりあっていたり、また、それら料理とコーディネート両方がそれぞれに和洋絡み合っての食卓である…というような、複雑なものもあります。
けれど、いつも“簡単!”をモットーとしているコラムですから、和洋折衷テーブルもシンプルにとらえていきたいと思います。お家で再現していただけるように、「洋食を和のテーブルでいただく」、「和食を洋のテーブルでいただく」…といったように、料理とコーディネートのクロスオーバーにしてみることにしましょう。
①まずは、雰囲気のあるテーブルクロスを用意
前回の記事(朝食テーブルの回)でも触れましたが、日本の食卓シーンにはなかなか馴染みのないテーブルクロスは、ついつい避けてしまいがちなアイテムです。「お醤油こぼされたら嫌〜」とか「洗濯が面倒だし、ましてやアイロンがけなんて絶対に無理!」などなど、避けてしまう理由は、本当に頷けるものばかり!
けれどこのテーブルクロスこそが、テーブルコーディネートアイテムの中での王様であり、パワーアイテムでもあるのです。
しっかりと物を選べば、上記のような「シミ・シワ」といった悩みからは解消されます。(って、なんだかお化粧品トークみたい!?・・・笑)
本来、テーブルクロスは亜麻リネンのものが高級品ですし、綿混などの自然素材のものの方が良いとされていますが、普段お家で使うものとしては、化繊のもので充分です。であれば、シミも落ちやすく、洗濯後も乾きやすく、何よりアイロン要らずです。
そんななかから、ぜひとも、和洋両方の雰囲気を兼ね備えるようなテーブルクロスを見つけてみましょう。以下のような、どちらにも捉えることができるような色や柄は、案外存在するものです。
その時に、できたらプリント地ではないもの、つまり織りのものを選んでみると、裏側の織りの出方が面白いため、裏側も使える=リバーシブルクロスとなる場合もあります。
というのも、プリント地の場合は、裏側はこのような感じで、使うことは難しそうですよね。
けれど、織りの生地であれば、裏側の柄の出方が変わり、変化激しいものから、ちょっとしたニュアンスが違うものなど色々に、別のクロスとして使えたりするのです。
一枚のクロスなのに、まるで色違いのクロスのようですよね。
ということで、今回は、モアレ柄の出た織りの生地の、以下のグリーンのクロスを使ってみたいと思います。表には黄色の糸の織り柄が出ていますが、裏は黄色が出ずに緑が出ています。
一枚で二度美味しい! なんともお得感いっぱいなのが、プリントではない織りのクロスの魅力ということです。和にも洋にも対応できるよう、そんなクロスをぜひ選んでみてくださいね。
②洋食を和のテーブルで: 和食器とカトラリーを組み合わせる
それでは、早速に、洋食を和のテーブルでいただく和洋折衷テーブルを作ってみましょう。
和食器&洋食の場合、洋食を小さいサイズの食べやすいプレゼンテーションにして、お箸でいただくこともできますが、今回はあえて、洋食はいつも通りナイフ&フォークでいただく形で、それを和食器に…ということにしてみましょう。
和食器は、有名窯のいかにもザ・和食器もありますが、ナイフで切ることを考え、和風な食器というくらいの気楽なもので。
これらの和風食器は、すべて欧米のメーカーのものです。こういった和風テイストの食器も、最近では海外で手に入るようになりましたよね。
そして、江戸風呂敷を使ったナプキンワークです。
最初のアミューズメント用の足付き器をのせてみました。実際のところ、素材上拭くという意味ではナプキンとしての役割は果たせませんが、お皿とコラボのプレゼンテーションで、テーブル最初のコーディネートとしての役割は充分に果たしてくれます。
お花は、いつものごとく簡単に。
和の雰囲気を醸し出してくれるルスカスとアルストロメリアのみを、ただ挿し入れただけのものです。
さあ、これらを使って、先ほどご紹介したクロスの、黄色の織り柄が出ている面の方にて作った和洋折衷テーブルはこちらです。
足付き器で豆腐系の前菜、小さめスクエア皿で野菜系前菜、そして大皿で肉のメイン。飲み物も、白ワインと赤ワインを用意しています。もちろん、ナイフ&フォークがカトラリーです。
③和食を洋のテーブルで: 洋食器にお箸を添える
今度は、和食を洋食器でいただく和洋折衷テーブルです。
和食は基本、お箸で食べることが前提とされています。料理の味を染み込みやすくさせる隠し包丁は、切りやすさ・食べやすさへの配慮でもあり、そもそもお箸自体が、その一つの存在で、ナイフの役割もフォークの役割も果たしてくれる優れものですよね。
ですので、和食&洋食器の和洋折衷テーブルの場合は、ぜひお箸にしてみましょう。もちろん、メニューによっては、フォークやスプーンなども用意するのも良いかもしれません。
先ほどのナプキン代わりの江戸風呂敷を、こちらではこのような使い方にしてみました。箸置きも添えています。
そしてお皿は、海外でも日本でもどこでも手に入る、シンプルな磁器のものを使っています。
丸皿でも角皿でも、どちらでもお好みで。
お花は、同じくルスカスと、白のポムにしてみました。
では、これらを使って、先ほどご紹介したクロスの、今度は織り柄が緑のままの面の方にて、和洋折衷テーブルを作ってみましょう。
重ねたお皿の一番上は副副菜2種、二枚目は副菜、三枚目は主菜…といった考え方でお料理を用意してもいいですよね。ボウルは、飯物でも汁物でもどちらにでも。そして、飲み物は冷酒とお水にしてみました。
あるいは、一番上は刺身皿と醤油皿。二枚目は野菜系のお料理、三枚目はタンパク質系のお料理にお米系も加えて…などとして、日本の食卓によくある多国籍になんでもいただく食事という考え方でもいいと思います。カレー、オムライス、ハンバーグ・・・などなど、ワンプレートにのせる楽しさも魅力だったりしますものね。
いかがでしたか?
日本人の食事は、気付けば和洋折衷なものに自然となってしまうくらい、他国にウエルカムでオープンなものだと思います。であるからこそ、テーブルコーディネートもその延長線上で、和洋をミックスさせて楽しみたいですよね。それは、和の国に生まれた日本人が得意とするところであり、洋の国で暮らす日本人だからこそ、その得意を更に活かすチャンスがあるということなのかもしれません。
外国に住むというせっかくの環境なのですから、和食・洋食と共に、和洋折衷の面白さをもっと生活に取り入れて、どんどん楽しんでしまいましょう!!
著者プロフィール
じゅんこ CJY
テーブルコーディネート教室 Table C’est JOYeux~テーブルセジョワイユ~ 主宰
2016年ロンドンでスタート。テーブルコーディネートレッスン、サロンなどのディスプレイ、テーブルコーディネートコンサルティングなどを通し、「テーブルコーディネートを日常に!」「花のある食卓を!」をコンセプトとした活動をおこなっている。更なるテーブルファンが増えることを楽しみに、2019年よりNYでの活動をスタートさせたばかり。
お問合せはこちら table.cestjoyeux@gmail.com
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