第14回「米国でも出来る、体質改善10箇条」Part3

第14回「米国でも出来る、体質改善10箇条」Part3

更新日: 2018年09月18日

体質改善10箇条の1~3および4~6はお試しいただけましたか。

1.大切なのは食材バランス。カロリー・体重を気にしない
2.毎日、最低一杯のお味噌汁
3.毎回、両手分のお野菜と片手分のタンパク質
4.穀物・イモ類・根菜は、グーの量を添え物程度に
5.オリーブオイルやナッツオイルを積極利用
6.食べる順は汁物、野菜、タンパク質。穀物・イモ類・根菜は食事の後半

1~3をお知らせしたのが4か月前。そのころから続けていたらすでに身体にしみこみ、体調のよさも当たり前になってきているはずです。食材バランスを意識した食事や味噌から得られる多様な栄養素のおかげで、栄養の偏りが解消され、疲れにくくなる、慢性症状が和らぐ、という効果をお感じのはずです。
また4~6を実践いただいた方も2ヶ月とは言え、大きな変化があったでしょう。最も顕著なのは食後のだるさや気分のムラの減少です。これは血糖というエネルギー源が安定的に供給されるようになったために起きた現象です。
身体の変化に敏感になればなるほど、自分に合った食生活、さらには運動や休息といった他の生活習慣を主体的に考え実行できるようになります。今後もぜひ継続していってください。
本稿では体質改善の7~9を解説します。これまでの6項目に比べると格段に取り組みやすい内容です。未着手の方はこの3つから始めましょう。そしてご家族やご友人も巻き込んであげてください。

体質改善10箇条の概要や実践時の留意事項は前々稿の「体質改善10箇条とは?」をご参照ください。

7. よく噛んで腹7-8分目

「よく噛んで食べなさい!」と言われて育った方も多いでしょう。私もその一人です。しかしなぜよく噛まないといけないのかをきちんと理解できていませんでした(おそらく母も)。食べ物に感謝の意を表すためにゆっくり味わって食べる。それが理由だと思っていました。それは間違いだとは思いませんが、栄養療法的な大切さもあります。
よく噛む理由は食べた物からの栄養を完全に吸収するためです。食べ物の消化吸収は口に始まり、胃を介して、腸で完了します。口の中で咀嚼され物理的にこなごなにされ、胃酸等の消化液で化学的にも分解され、腸壁を通り抜けて吸収されます。消化の最初の一歩が咀嚼ですので、これを不完全に終えると正常な消化吸収は見込めません。物理的に大きなブロック状態の食べ物は消化液では分解しきれず、腸壁を通り抜けられないからです。結果、仮にいい物を食べても、排泄されるだけです。
これだけなら栄養(とお金も!)が無駄になるだけですが、実はそれ以上のダメージがあります。未消化の食べ物が胃や腸に留まり、腐敗し、膨満感やガスの原因になります。その食べ物が逆流すれば逆流性食道炎(胸やけ)の原因にもなります。余談ですが、逆流性食道炎は多くの場合、胃酸過多ではなく、消化不良の食べ物が逆流したことにより起こります。
さらに腐敗した食べ物や消化不完全な食べ物が腸壁を傷め、免役力を下げます。なぜなら、本来なら腸壁を通り抜けられない病原菌や毒素が傷んだ腸壁を通り抜けてしまうからです。これが現代人に蔓延している「リーキーガット(Leaky Gut)」という症状です。加えて腸内環境バランスも乱すため、食物繊維が分解できず便秘の原因になるほか、脂肪酸やビタミンB群等の栄養素も生成されなくなってしまいます。咀嚼が不十分であることは、その先にあるすべての消化器官の不調を引き起こしてしまうのです。 では十分に噛むとはどの程度でしょうか。私は最低20回をおすすめしています。一口が大きい方は30回、野菜や肉などの消化負担の大きい食べ物も30回程度は噛むようにしてください。食べ物を口に運んだらお箸やフォークをテーブルに置くのがコツです。お箸やフォークを持っていると噛み終わる前からついもうひと口足してしまいますからね。 満腹量は7~8分目を目安にしましょう。実際にお腹に入っている量を脳が感知するまでに多少のタイムラグがあります。つまり「お腹いっぱい食べた」と思った時にはすでに「お腹以上に食べている」のです。
7~8分目の量は人それぞれです。身体の大きさに比例すると思われがちですが、実際はそうでもありません。身体の大きさに惑わされず、自分の感覚を信じて、自分なりの7~8分目を見つけてください。よく意識を向ければ誰でも分かります。

8. 間食も食事の1つ

忙しい現代生活で1日3回の食事を理想的に摂るのは簡単ではありません。簡単な朝食で一日を始め、限られた時間でランチを終え、疲れて帰ってから用意する夕飯には限界があります。結果的に簡単に用意できる食材や調理法、外食に頼ることになり、栄養バランスは崩れる一方です。
おやつは栄養バランスの偏りがちな現代生活において、栄養バランスを整える絶好の機会です。ご褒美としてのおやつも必要でしょう。しかし毎日おやつを食べるのであれば、それはご褒美ではなく、食事の1つです。ご自分の食生活の傾向を振り返り、不足しがちな栄養素をおやつで摂るように心がけてください。
一般的な傾向として、不足しがちなのはタンパク質と脂肪です。パンやおにぎりなどの炭水化物は手軽で持ち運びしやすいため、どうしても朝昼晩の食事で多くなりがちです。またランチはサラダだけという方も多くいらっしゃいます。その結果、不足するのはタンパク質と脂肪です。
タンパク質は身体を作る主原料です。代謝機能を助ける代謝酵素、身体を病原菌から守る抗体、酸素を全身に運ぶ赤血球、組織間コミュニケーションを統制するホルモン。全てタンパク質であり、タンパク質無しに身体は成り立ちません。
脂肪も身体作りに必須です。脳の6割が脂肪です。脂肪無しに頭脳労働を支えられません。細胞膜は多様な脂肪によって、そのしなやかさが維持されます。そして脂肪はとても燃費のいいエネルギー源です。脂肪の種類にもよりますが、脂肪1分子から生成されるエネルギー量はブドウ糖の約4倍です。
ではタンパク質や脂肪を補ってくれるおやつとはどんなものでしょうか。一番のおすすめはゆで卵です。携帯性もよく、私のカバンにも毎日、ゆで卵が一つ入っています。小魚スナックやビーフ・ジャーキーもタンパク質補給に向いています。アボカドは良質な脂肪が豊富です。切って、塩をかけるだけで立派なおやつになります(塩はSea Saltを使いましょう)。
意外かもしれませんが、飲み屋のおつまみメニューもおやつに最適です。例えば、もろきゅう。味噌はアミノ酸(タンパク質の分解生成物)が非常に豊富です。味噌だけを買い置きしておけば、いつでもどこでも簡単に作れます。漬物、特にぬか漬けは腸内細菌を補充し、腸内での脂肪酸生成を助けてくれます。前日に時間があれば枝豆を用意しておくのもいいですし、臭いが許されるなら納豆もいいですね。 一度始めるとどれも病みつきになります。栄養補充としてのおやつをいろいろと試してみてください。

9. 水分摂取を欠かさない

最も基礎的な栄養素、それは水です。水こそが最高の天然セラピーです。人間の身体の55~60%は水で出来ています。食べ物がなくても8週間くらいは生きられますが、水無しでは数日しか生きられません。宗教的行事としての断食は多く見られますが、水まで断つ宗教は限られています。
水は身体の中で非常に多くの役割を担っています。栄養や酸素を運ぶのは水分ですし、毒素や老廃物の排出も水分です。細胞の構成要素として水分の占める割合は大きく、水分が不足すると関節などを健康に保てなくなります。
アメリカでは水分補給への意識が年々高まっていると感じます。ウォーターボトルの種類も豊富で、意識の高い方は金属製やBPAフリーのプラスチック製のものをよく使っているようです。例えばこちら。私はガラス製のものを愛用しています。
水分補給はとても効果的なダイエット法でもあります。好きな言葉の一つが「You are not hungry. You are just thirsty」。おなかが減ったら水を飲んでみてください。不思議と食欲がおさまります。
残念ながら水分補給の重要性は十分に広まっていません。水分補給が不足して、倦怠感を感じたり、頭痛になっている方がいらっしゃいます。イラだったり、逆にふさぎ込んだりする方もいらっしゃいます。水分摂取がさらに不足すると、関節や背中の痛みなども引き起こします。そして体内の水分が必要量の90%を下回ると死に至ると言われています。

ではどのくらいの水分を摂ったらいいのでしょうか。少なくとも体重(kg)に20をかけた量(ml)は摂るようにしてください。例えば、65 kgの方は65に20をかけた1,300 mlが必要な水分の最低量です。発汗の多い季節やコーヒーやビール等の利尿作用のあるものを飲んだときはその分も補填してください。最低量でもちょっと多いなと感じた方は、生活ルーチンに水を飲む習慣を足してみてください。例えば、朝起きてコップ1杯、ひと仕事終えたらコップ1杯、お風呂の後にコップ1杯、就寝前にコップ1杯。これだけで1日の最低摂取量の半分近くには達するはずです。
水分摂取で気をつけたいのがその飲み方。がぶ飲みは止めましょう。身体が一度に吸収できる水分量は100 ml程度。少しずつ口に含みながら、頻繁に飲むのが理想です。水分摂取を増やしてトイレの回数が異様に多くなった場合はミネラル不足が疑われます。Sea Saltなどから意識的にミネラルを摂るようにしましょう。

本稿では体質改善10箇条の7~9をご紹介しました。前稿の1~6と合わせ、できそうなものからで結構ですので、皆さまの食生活に取り入れてみてください。

※体質改善10箇条は一般的な体質改善を目的としています。疾病の治療等は目的にしておりませんので、予めご了承ください。

試して欲しい食材:サツマイモ(Sweet Potatoes)

サツマイモを知らない日本人はいないでしょう。しかし多品種のサツマイモを試している方が意外に少ないとカウンセリング等から感じます。
米国の食品スーパーに行くと大抵、中が黄色・白・オレンジ・紫の4種類のサツマイモを見かけます。中の色は外皮の傷ついている部分を見れば分かります。日本でおなじみの黄色のサツマイモもJapanese Sweet Potatoとして売られていますが、それ以外も手軽に試せるのは海外生活ならではでしょう。
(中が黄色のサツマイモとひとくくりにしましたが、その中にも多くの種類があり、日本だと一般的なスーパーでも数種類は手に入ります、黄色のサツマイモ間の違いもご帰国時にお楽しみください。)

黄色のサツマイモに食感や甘みが一番近いのは白いサツマイモです。黄色のサツマイモより水分量が多いものもありますが、黄色のサツマイモの代替として十分に成り立ちます。Japanese Sweet Potatoの代用はこちらで。
オレンジのサツマイモ(Garnet Yam)は水分量が多めです。そのため焼いたり、蒸かしたりすると、べちゃっと水っぽくなってしまい、食感がよくありません。しかし、すり潰してスープにすると、その水分量がちょうどよく美味しく召し上がれます。甘みがしっかりしているのでお子様にも向いています。ショウガと一緒にスープにしたものは寒くなるこれからの季節に最適です。
紫のサツマイモは水分量が少なく、甘みも控えめです。また部分によっては苦みがあることもあります。個人的には黄色や白のサツマイモは甘みが強すぎると感じるので、あえて紫のサツマイモを購入して、焼き芋にしたりします。糖質制限中の方にはむしろ好ましいサツマイモとも言えますね。

(写真提供:WikimediaCommons, flickr)

※本コーナーの掲載情報は情報提供を第一の目的としております。掲載情報は自己責任の下でご利用ください。



著者プロフィール:

中村洋一郎
OPEN Laboratory, Inc.代表
Website: www.open-laboratory.com
Instagram: https://www.instagram.com/yoichiro.yokun.nakamura/
Twitter:https://twitter.com/yoichiro32
・米国栄養療法協会認定 栄養療法コンサルタント(NTC)
・バブソン大学 経営学修士(MBA)
・企業向けに、能力開発やヘルスケアコスト削減を目的とした、栄養療法関連サービスを提供中。個人向けには、副腎疲労等の生活習慣病改善を目的とした栄養療法カウンセリングを提供
・ニューヨーク市主催サマープログラム(SYEP)での栄養関連セミナー講師や、米国航空宇宙局(NASA)主催エンジニア向けイベント(ボストン地区)での栄養関連セミナー講師等を担当
お問合せはこちら yoichiro@open-laboratory.com