第13回「米国でも出来る、体質改善10箇条」Part2
第13回「米国でも出来る、体質改善10箇条」Part2
隔月連載の第13回目。今回は体質改善について取り上げます。
更新日: 2018年07月24日
前回、第12回でご紹介させて頂いた体質改善10箇条の1~3(下記)はお試しいただけましたか。
1.大切なのは食材バランス。カロリー・体重を気にしない
2.毎日、最低一杯のお味噌汁
3.毎回、両手分のお野菜と片手分のタンパク質
この3つだけでも一定期間継続すれば、体感できるほどの違いが出ます。食材バランスを意識した食事や味噌から得られる多様な栄養素のおかげで栄養の偏り/失調が解消され、疲れにくくなる、慢性症状が和らぐ、という効果が期待できます。
本稿では体質改善の4~6を解説します。これらも合わせて実践すれば、その効果はさらに大きく、より明確に出ます。頭がすっきりしたり、集中力が高まるという、パフォーマンスアップの効果も期待できます。ご本人はもとより、ぜひご家族でお取組みいただければ嬉しいです。
4. 穀物・イモ類・根菜は、グーの量を添え程度に
主食と称される米、パン、麺類や、糖質の多いイモ類・根菜の合計摂取量は、片手のグーの大きさ程度に抑えてください。例えば、お茶碗に山盛り一杯のご飯を召し上がる場合は、イモ類や根菜を使ったおかずは避け、葉物野菜や肉類中心のおかずをお召し上がりください。逆に、煮物などでイモ類・根菜がふんだんに使われている場合、お米を控えるようにしてください。
これは過剰な糖質摂取に伴う低血糖や免疫異常を避けるのが目的です。人間が活動するためには糖が必要です。しかし過剰な糖は毒になりかねません。「日本人は炭水化物を多く摂取してきた歴史がある」と主張される方もいらっしゃいます。確かに炭水化物の割合は高かったかもしれませんが、食事の絶対量は現代よりも少なかったと推測します。3回の食事に加え、日に1~2回の間食が習慣化している現代において、1回の食事で摂取する炭水化物を控えるのは決して特別なことではないはずです。
糖質摂取に関しては、第8回「糖質制限はするべきか!?」や、第9回「疲れが抜けない、は立派な病気」も合わせてお読みください。
5. オリーブオイルやナッツオイルを積極利用
脂肪は3大栄養素の1つです。燃費のいいエネルギー源であるだけでなく、細胞膜やホルモンの原料でもあり、ビタミン吸収を助ける役割もある、人間に欠かせない栄養素です。言い換えれば、脂肪無しでは健康な細胞も、体内の情報伝達手段であるホルモンも作れず、身体が正常機能できません。
1970年代ごろから低脂肪信仰が広まり、脂肪=悪、という方程式が社会全体に根付いてしまいました。しかしこの考えが間違っていたことは近年の研究結果から明らかになっています。FDA(米国食品医薬品局)も、気を付けるべきは脂肪の量ではなく、脂肪の種類であることを認めています。
脂肪の種類は多岐に渡ります。バターやココナッツオイルに代表される常温でも固形の脂肪から、魚や植物に多く含まれ常温だと液状のサラサラしたオイルまで。またその中間で、常温でドロッとした状態のオリーブオイルやナッツオイルもあります。
大切なのはこれら脂肪/オイルを偏りなく摂取することです。なぜなら、それぞれの役割が異なるからです。例えば、細胞膜は脂肪で出来ています。これが常温でも固形の脂肪のみで作られてしまっては、柔軟性のない細胞膜になり、栄養素を細胞内に取り込むことができません。逆に、常温でサラサラなタイプの脂肪だけで細胞膜が作られたとすると、毒素や病原菌が細胞に入り放題のスカスカな細胞膜になってしまいます。そもそも細胞としての形状を維持できません。柔軟かつしなやかな細胞膜形成には多様な種類の脂肪が必要なのです。
偏りのない脂肪摂取を考えたときに重視すべきなのがオリーブオイルとナッツオイルです。なぜなら、一般的にこれら脂肪が不足気味なためです。ベジタリアンやビーガンの方を除けば、動物性脂肪はバターや肉類から一定量は摂取できています。サラサラの油は魚介類や豆類の消費が多い日本人なら一定量は摂取できています。したがって、オリーブオイルやナッツオイルのようなドロッとしたオイルを意識的に増やすことで、自然と摂取する脂肪の偏りが解消できるのです。
余談ですが、揚げ物などの高温調理には動物性脂肪(バターやギー※)または米油をおすすめします。なぜなら、これらは高温でも化学的に安定しており、体内吸収されたときの悪影響が少ないからです。一方、高温下で科学的に不安定になってしまうサラダ油などを高温調理に使用するのは控えましょう。身体の酸化を早めてしまい、老化や生活習慣病の進行を早めてしまいます。
※ギーは、インドを中心とした南アジアで古くから作られ、食用に用いるバターオイルの一種。
さて、ここからは「食べ方」に移ります。1~5のルールに則った食事を用意したとしても、食べ方によってはその効果が薄まってしまいます。せっかく用意した食事ですから、それを無駄にしないように食べましょう。
6. 食べる順は汁物、野菜、タンパク質。 穀物・イモ類・根菜は食事の後半
汁物がある場合はまず汁物に手を付けましょう。飲み干さなくていいので、最初のひと口を汁物にしてください。消化器官が湿ることで消化効率が上がります。また食品が消化器官に触れることで消化液の分泌が促進され、それ以降に食べるものをきちんと消化できるようになります。さらに温かい汁物であれば身体がリラックスし、消化効率があがります。汁物は固形物を流し込むためのもの、と勘違いしている方もいらっしゃいますが(私も以前はその一人でした)、汁物は汁物のみでゆっくりと飲むようにしてください。
次が野菜です。野菜を前半に食べる最大の理由は血糖値の上昇を和らげるためです。また、事前に野菜である程度お腹を満たしておけば、タンパク質や穀物などの食べすぎを防ぐこともできます。味覚という意味でも、サラダなどは葉物がしおれる前に召し上がった方が美味しいはずです。
その次が満を持して、お肉や魚のタンパク質です。タンパク質の消化には十分な胃酸が不可欠です。そのため胃酸分泌の不十分な状態でタンパク質を食べてしまうと、タンパク質を消化しきれずに栄養(アミノ酸)を取り込めなくなってしまいます。また未消化のタンパク質が消化器官で腐敗し、消化器官を傷つけ、悪玉菌の増殖も促してしまいます。こういったことを避けるため、汁物や野菜によって胃が刺激され、胃酸分泌が十分に高まった後半にタンパク質を食べ始めることをおすすめします。
最後が穀物やイモ類などの炭水化物です。この時点でお腹はほぼ満たされているはずです。そのため「グーの量の炭水化物」でも十分にご満足いただけると思います。おかずも大半は食べきっているので、「濃い味付けを中和するためのご飯」という必要もないはずです。仮に食べたとしても、野菜やタンパク質を事前に食べているため、血糖値の上昇が和らぎ、食後の身体のだるさや眠気を防止できます。
本稿では体質改善10箇条の4~6をご紹介しました。前稿の1~3と合わせ、ぜひできそうなものから、皆さまの食生活に取り入れてみてください。
※体質改善10箇条は一般的な体質改善を目的としています。疾病の治療等は目的にしておりませんので、予めご了承ください。
試して欲しい食材:ベリー類
(写真提供:Celeste Lindell, Max Pixel)
夏の果物と言えばベリーです。お馴染みのいちごから、ブルーベリー、ラズベリー、ブラックベリーまで、米国では非常に多くの種類を簡単に手に入れることができます。 一粒食べるだけで甘みと酸味が口の中に広がるベリー類は夏のおやつに最適です。また甘さが控えめで血糖値が急上昇しないため、安心して量を食べられる数少ない果物の1つです。日本では高価なベリー類も米国では比較的安価に手に入れられますので、ヨーグルトなどを一緒に贅沢に食べてみるのも夏の楽しみです。
ベリーを選ぶ際は必ずオーガニックのものを選んでください。特にいちごは最も残留農薬の多い果物ですので、オーガニックのものを購入するか、ファーマーズマーケットで信頼できるベンダーの方から購入するようにしてください。 ドライフルーツも避けてください。生であれば血糖値上昇の少ない優秀な果物ですが、ドライフルーツとなると話が変わってしまいます。また夏場はドライフルーツにカビなどが生えやすい時期でもあります。ベリー類は生で召し上がることを強くおすすめいたします。
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※本コーナーの掲載情報は情報提供を第一の目的としております。掲載情報は自己責任の下でご利用ください。
中村洋一郎
OPEN Laboratory, Inc.代表
Website: www.open-laboratory.com
Instagram: https://www.instagram.com/yoichiro.yokun.nakamura/
Twitter:https://twitter.com/yoichiro32
・米国栄養療法協会認定 栄養療法コンサルタント(NTC)
・バブソン大学 経営学修士(MBA)
・企業向けに、能力開発やヘルスケアコスト削減を目的とした、栄養療法関連サービスを提供中。個人向けには、副腎疲労等の生活習慣病改善を目的とした栄養療法カウンセリングを提供
・ニューヨーク市主催サマープログラム(SYEP)での栄養関連セミナー講師や、米国航空宇宙局(NASA)主催エンジニア向けイベント(ボストン地区)での栄養関連セミナー講師等を担当
お問合せはこちら yoichiro@open-laboratory.com