第13回「いじめに対する学校の対応に不満— パート1:息子へのいじめ発覚と家庭の対処」

第13回「いじめに対する学校の対応に不満— パート1:息子へのいじめ発覚と家庭の対処」

更新日: 2017年10月27日

こんにちは。アメリカ現地校コンサルタントの高橋純子です。

このコラムでは、実際の在米日本人の保護者の方々から寄せられた、現地校や家庭教育などに関連した悩み相談への回答をわかりやすく説明いたします。

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いじめ (“bullying”)はアメリカでも深刻な問題です。現地校では、3人から4人に1人がいじめられたことがあると回答しており、中学•高校になるとターゲットを決めて身体的暴力や言葉の暴力、またネットや携帯でのいじめ “cyber-bullying”なども起こっています。
いじめが原因で自殺をする“bully-cide”などという恐ろしい言葉も存在し、この国のいじめの深刻さを物語っています。日本人の子供の場合、マイナリティであること、またもし英語がうまく話せなければ、これらを「ネタ」にしていじめてくる子らもいます。いじめを受けるということは、本人•親共々に大変な心労をもたらし、子供の不登校にもつながりかねません。

今回からのコラムは、ひとつのいじめの相談ケースを詳しく取り上げます。最初のいじめ発覚から、対応の悪い学校との話し合いを経て、解決に至るまでの経緯を、3回に分けて見て行きましょう。上手く解決したケーススタディとして、苦情で使える英文も含めて実践的にお伝えいたします。


Q.

在米7年目で、アメリカ生まれの5歳の息子がおります。この9月から通っている現地校のキンダーで、息子が仲良しにしていると思っていた男の子から、たびたび暴力を受けていることが最近になってわかりました。その子はクラスの中でも問題があるようで、うちの息子だけでなく他の子にも同じことをしているようです。

昨日、子供の定期検診で小児科の先生にこの問題を相談したところ、先生の質問に対して涙を浮かべながら話す息子の姿を見てショックを受けました。今までなんとなく元気がなくなっていたのに、母親としてちゃんと気づいてあげられなかったことを大変後悔しています。医者からサイコロジストへの紹介状をもらいましたが、問題があるのは相手の子なのに、なぜうちの子がセラピーを受けないといけないのか、これで相手の子が本当に改善に向かうのかどうかなど、非常に疑問に思い、強い憤りを感じています。数日前に担任の先生にもこのことについて話し、対応をお願いしましたが、”I know it’s hard, he needs to be regulated….” とだけ言われました。これでは私達に対して「辛いですね」と言っているのか、「問題が難しい」と言っているのかも明確ではなく、「彼は正されるべきね」とだけ言われて、まるで人ごとのようで頼りなく感じました。

ここ最近、息子は学校にも行きたがらなくなり、話を聞くと、今日もその子にパンチされた、キックされたと言う事の繰り返しです。再度担任の先生に訴えると、相手の男の子がうちの息子を「大好きなため、いつも付きまとっているのよ」と言うのです。これは無責任な「言い訳」にすぎないと思いますし、ここまで子供が嫌がっていることに対して、先生の曖昧な対応はかなり怠慢なのではないかと思っています。小児科の先生からは校長先生に相談するように強く言われましたが、それで解決の糸口が見えるものでしょうか?親子で心身とも参ってしまいそうです。

A.

息子さんがキンダーの友達にいじめられているということですが、学校の対応があまりにも酷くて驚いています。一見仲良く見える友達どうしの男の子らが、実は片方が暴力的で、パンチやキックをしてくる、というのはよくあるパターンです。
これは周りから見ると遊んでふざけているように見えるので気がつきにくいのですが、実は力での上下関係が存在し、これが続くと立派な「いじめ」として成立します。やられる側の子供は、もちろん恐怖を覚えて相手の言う通りに行動したりし始めます。

私自身も実際、似たような状況のいじめが、もう3年ぐらい続いていると、泣いて学校側に訴えた親を知っています。このような事態が継続して起きていると学校の先生はよくわかっているはずなのですが、先生の性格にもよるのか、出来ればかかわりたくないのか、見て見ぬふりをする先生はアメリカにも多く存在します。

キンダーでまだ幼い子供のことだからと、真剣に取り合わないのかどうかはわかりませんが、息子さんの担任の無責任な対応は完全に間違っており、相手の子だけでなく、この担任も正されるべきです。普通はキンダーだからこそ、幼い時から担任が「このようなことは絶対に許されない」ということを教育し、また親にも必ず注意をして二度と同じことが起こらないように対処するべきです。

しかし、これがきちんとなされていないなら、もうこの学年は仕方ない、このまま我慢しようなどと絶対に考えずに、次のことをすぐにでも実行してみてください

1.校長にメールで訴える
校長にメールを送り、今までの状況の詳細、担任がまじめに取り合わないので暴力が続いていること、息子さんが精神的にトラウマになって、登校をだんだん嫌がり始めたこと、小児科に相談した時本人が涙を流していること、彼の心のケアをするためにセラピーを受けるように言われたこと、事が重大化する前に校長に話をすることを決心したこと、そして校長とすぐにでも面談したい、また相手の親とも話し合いをして解決したい事などを伝える。

2.学校の方針を確認する
この学校の暴力的な子供への教育方針は寛容なようだが、一体どうなっているのか?など学校の方針・取り組む姿勢をはっきり確認する。

(上記1、2の英文メール例)
To: 校長
Cc: 担任、いれば学校のサイコロジスト、自分たち夫婦それぞれのメールアドレス

Dear Mr./Ms.(校長の名前)

We have recently found out that my son, (息子の名前), has been bullied by his classmate, (相手の名前), for quite some time.
This includes frequent physical violence, such as punching and kicking. I spoke with his teacher, Ms./Mr. (先生の名前) about it a couple of times. However, it does not seem to have been treated seriously and the violence has continued.
Yesterday, I took (息子の名前) to his pediatrician for an annual check-up and when the doctor asked him about school, he explained about how he has been bullied with tears in his eyes. I was shocked to realize how traumatic this has been for him. The doctor even recommended taking him to therapy.

In addition, he has lately acted very reluctant to go to school in the mornings. Before this issue becomes even more serious, we would like to meet with you and the parents of the boy, so that we can resolve this as soon as possible.

Kindergarteners are at a young age; however, isn’t it crucial for a school to teach young children that this kind of violent behavior is never tolerated? We do not understand why nothing has been done to resolve this problem thus far. Your prompt attention to this matter will be appreciated.

メールはご両親二人の連名で書き、担任にも必ずCCで入れ、もし学校のスクールサイコロジストがいれば、その人もCCに入れます。担任が学校のサイコロジストにさえ相談していない可能性があるからです。その場合この担任の怠慢ということになり、校長から担任になんらかの注意がなされるでしょう。また他にこの子から暴力を受けている子の親や、目撃したな子らがいれば、その親にも「息子への暴力がまだ続いている。校長に話す事にした」と伝えると良いでしょう。もしかしたら訴えに協力してくれるかもしれません。

校長から返事が来たら、すぐにでも面談を行い、必ずご主人も一緒に丁寧かつ毅然と臨んでください。父親が学校の面談に来るのはアメリカでは当然とされますが、これには二つの大きな効果があります。一つは家族を上げて真剣に取り組みに来ているという、事の重大さを相手に認識させること、もう一つは、こちらが女性で、しかも外国人だと軽く扱われことがあり、例えば男性相手に話し合っている時と明らかに態度を変える人々がいるからです。これは学校の先生やスタッフでも例外ではなく、いくら政治的に不公正でも現実として起こっている現象ですので、参考にしてください。

現地校にメールでこういった苦情や相談を送信するのは一般的です。まず書いたものが証拠として残るのは非常に重要なことですし、問題提議の第一歩としては良い方法です。校長に話をするのは、アメリカでは大げさでもなんでもありません。今までに担任に何度か訴えたのに改善しない場合、校長に話を持って行く保護者はたくさんいますので、ためらう必要は全くありません。また相手の親との話し合いは、必ず校長やサイコロジスト、担任をはさんで学校で行なってください。

次回はパート2にて、引き続きこのケースの経緯をお伝えいたします。


著者プロフィール:

高橋純子
KOMETコンサルティング代表
コロンビア大学応用言語学博士課程
NYを中心に日本人家庭への教育サポート活動、また現地校適応のための トレーニング、教材開発などを展開。 現地の新聞などに教育コラム等多数執筆中。 DVD教材 “Hiroshi Goes to American School”(原作・制作), 著書に「アメリカ駐在:これで安心子どもの教育ナビ」(時事通信社)がある。
KOMET website: http://www.faminet.net/komet
お問い合わせは jtkomet@gmail.com 高橋まで。