第5回「夏休みに英語力を伸ばすには?」

第5回「夏休みに英語力を伸ばすには?」

更新日: 2016年06月27日

こんにちは。アメリカ現地校コンサルタントの高橋純子です。

このコラムでは、実際の在米日本人の保護者の方々から寄せられた、現地校や家庭教育などに関連した悩み相談への回答をわかりやすく説明いたします。

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アメリカ現地校も夏休みに突入し、サマーキャンプに参加される方、ご家庭で夏休みを過ごされる方、日本に一時帰国される方など様々かと思います。そこで今回の教育コラムでは、「夏休み中に英語力を伸ばす」をテーマに情報をお届けします。

夏休みに英語力を伸ばすには?


Q.

現地校に通う小5と小3を終了したばかりの息子二人がいます。在米2年近くになりますが、英語の会話はまあまあ出来るようになったものの、まだ読み書きや学習では周りに追いついていません。

特に上の息子は9月からミドルスクールに進学しますが、未だ教科書も一人で読めず、学校側から「もっと家庭でのサポートを強化してほしい」と言われてしまいました。

この夏、スポーツキャンプに3週間通い、サッカーや野球を毎日するのですが、英語はその間も伸びるものでしょうか?また家庭内ではどういった内容のことをすれば読み書きなどを強化できますか。

8月に4週間日本に帰国するのですが、この間に英語を忘れてしまうのではないかと心配です。いろいろとアドバイスをお願いいたします。


(ニュージャージー州、母)

A. アメリカの夏休みは二ヶ月以上ととても長いので、子供のいる家庭では様々な予定を組んであげないと、本人が時間とエネルギーを持て余す結果になります。

逆に、この期間をうまく使えば、何かをじっくり集中して学んだり、得意な分野を強化したりすることが可能です。ご計画のように、思い切り身体を動かして夏を満喫できるスポーツ・キャンプに通い、そして日本への里帰りで母国語や自文化の「補給・吸収」をされるのは大変素晴らしいことです。

成長過程にある子供たちにとっては、両言語、両文化のバランスをうまく工夫すれば、大変意義のある夏休みになると思います。


サマーキャンプ中に英語力は伸びる!?

まずキャンプ中に英語力が伸びるのかというご質問ですが、英語を聞く•話すという環境が続けば会話力は必ず伸びます。特にスポーツ中心の場合、コミュニケーションがなければ集団での練習や試合は成り立ちません。指示などの英語を聞いて、ただちに身体で反応しなければいけない場面が多いと、反射的理解が積み重なり習得度も早く、実は効果の高いESLの手法としても用いられています。

さらにキャンプ自体は英語ではなくスポーツのスキルや協調性を学ぶのが目的ですが、無意識に英語が身に付くという副産物的な利点があります。ただこれは、どれほど周りと溶け込めるかなど、本人の社交性や努力などの個人差もあります。

会話力はこのように常に英語がインプットされる環境であれば、自然と伸びていくはずですが、一方、読み書きは全く異なります。
これは自然に覚えるものではなく、普段から努力を重ねて学習していかないと向上はしません。ですので、家庭内では読み書きを中心として、具体的には次のサイクルを毎週実践されてはどうでしょうか。

家庭内で行える英語の学習サイクル

1)最初は簡単で短い本でも構わないので、まず1冊を必ず2回は繰り返し読書(音読)する。難しい単語も正しく発音できるように練習する。

2)そこで出てきた新しい単語(意味が曖昧な単語も含め)を書きとめ、意味と綴りを覚え、完全に書けるようにする。それらの単語を使って文も書かせる。

3)本の内容を問う質問を作り、その答えをノートに完全文 “complete sentences” (1語だけの答えなどでなく、ちゃんと主語、動詞を使った文)で書かかせる。

4)ストーリーを1ページに簡潔にまとめて書かかせる。

5)本の内容に関連した創造的なテーマを与え、1ページ作文を書かせる。例えば「もし主人公が自分だったらどうするか?」「この主人公と似たような経験があれば、詳しく書け。」など。本人が創造力に乏しいようであれば、話し合いながらアイデアを引き出していく。

6)作文に見られる間違いから文法上の弱点を強化する。例えば過去形や3人称単数の“s”などの間違いを正させ、その後その練習問題をさせる。

7)これらのプロセスが一週間でひとつ終わったら、また次の本に取りかかる。段々と選ぶ本のレベルを少し上のものに上げていく。何週間か後には学年目標レベルに到達できると理想的だが、内容がほとんどわからないものは読む意欲もなくなるので、8割から8.5割ほどわかるものを選ぶと良い。

注意点としては、親が教えると本人が怠慢になりがちなため、家庭教師を雇うなどしたほうが効果的でしょう。夏休み中これが持続すれば、読み書きは必ず向上していくはずですので、是非実践をお勧めします。

日本への一時帰国について

最後に1ヶ月の日本帰国ですが、当然のことながら全てが日本語環境となり、英語を話す機会がほとんどなくなります。これに伴う子供の英語力低下は当たり前のこととして認識してください。

今回8月最後にアメリカに戻られるということですが、これは少し遅い気がします。時差ぼけ克服と「英語耳」を復活させるには、新学期開始の2週間ぐらい前にはアメリカにいるように、今後は計画しましょう。

息子さん達の英語力が退化しないために日本で何ができるかですが、もし経済的、時間的に可能であれば、英語キャンプや英会話などに通わせ、英語環境を作ってあげることが大事です。

また上記の読み書きトレーニングも続行するよう心掛けてください。アメリカに戻って来られるのがギリギリですので、息子さん達は新学期に多少苦労するかもしれません。しかし、子供は2,3週間もすれば脳内の言語シフトが行なわれ、必ず英語を取り戻します。

最終的には、日本にいる時は思い切り日本を楽しみ、アメリカではアメリカで出来ることを精一杯努力する、と割り切ることも大事だと思われます。ご家族で楽しく意義のある夏休みになることを祈っております。


著者プロフィール:

高橋純子
KOMETコンサルティング代表
コロンビア大学応用言語学博士課程
NYを中心に日本人家庭への教育サポート活動、また現地校適応のための トレーニング、教材開発などを展開。 現地の新聞などに教育コラム等多数執筆中。 DVD教材 “Hiroshi Goes to American School”(原作•制作), 著書に「アメリカ駐在:これで安心子どもの教育ナビ」(時事通信社)がある。
KOMET website: http://www.faminet.net/komet
お問い合わせは jtkomet@gmail.com 高橋まで。