第3回 Q&A「現地で働かないとダメ?」「復職活動はいつから?」 

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第3回 Q&A「現地で働かないとダメ?」「復職活動はいつから?」

1回目では、駐在帯同をブランクにしないために「自分で決めたことを始めよう!」というお話を、2回目では「帰国後の復職に向けて帯同中にできること」を紹介しました。

最終回となる今回は、駐在妻のみなさんからよくいただくご質問のなかから2つをご紹介します。


帰国後の仕事のために大事なのは「○○な環境」


Q:会社を辞めて帯同しました。海外生活も楽しいですが、帰国後の仕事を考えると不安になります。やはり現地で正社員として勤務していないと帰国後にまた就職するのは難しいのでしょうか?

A:確かに日本の転職市場では、仕事をしていない期間をブランクと表現して、好まない慣習が長くありました。「ブランクがあるからと仕事を紹介してもらえなかった」という先輩駐在妻のお話を聞いたという人もいるかもしれませんね。

でもここ数年で転職市場の状況は大きく変わりました。

これは労働力不足やIT関連企業など新しい企業が増えたことによる大きな変化です。

今は、一部の伝統的大企業を除けば、仕事をしていない期間が数年あっても意欲とスキルのある人に来てほしいと考える企業が多数派となっています。

そうした企業に認めてもらうためのポイントのひとつが、駐在帯同期間に得たスキルを言語化することです。

第2回コラム「帯同中に知っておきたい3つのこと」でも触れましたが、「帯同中にこんな力やスキルを獲得した。それをこの会社でこう活かしたい。」と伝えることがとても大切です。

例えば、語学力や国際感覚は多くの方が「身についた!」と胸を張って言えるのではないでしょうか?他にも、チャレンジ精神やコミュニケーション力を挙げる方も多いですよ。

こうした力を渡航前の仕事で得たスキルと合わせて「御社でこう活かします!」と自ら表現することで「帯同期間=ブランク期間」とみなされることを防ぐことにもなります。

となると、こうした力・スキルを得られる環境に身を置くことが一番大事なことですよね。

もちろん現地で正社員として働いた方が実践的な力やスキルを得やすいのですが、さまざまな理由からそこまで働けない場合もあると思います。

そうしたときは、短時間の仕事から始めてみたり、ボランティアやインターンなどがお勧めです。
特にボランティアやインターンのいいところは未経験の分野でもチャレンジできるところです。

プロジェクトマネジメントを経験して主体的に仕事を動かす姿勢が身についたり、もともと興味があった広報業務をやってみて広報スキルを身につけた方もいらっしゃいます。
会社員時代には経験できなかった業務にもチャレンジできるのはこうした活動ならではですね。

ただ気をつけてほしいのは、あまり無理をしすぎないことです。

仕事でもボランティアでも、「何が何でも働かないと」「何かを達成しないと」と思い詰めて、あまり得意ではないことをしたり忙しくなりすぎたりして心身のバランスを崩すことがないようにしましょう。

海外で働く、あるいは新しいことに挑戦するのは、とても大変なことです。

無理はせず、元気に活動できること、そして「これからの仕事に活かせそう」と小さな自信につながる活動をお勧めします。


帰国の見通しは立たなくても、復職への見通しは自分で


Q:今の駐在帯同生活もそれなりに楽しく、家事や育児も含めてやることがたくさんあります。帰国後の復職についても考えてはいますが、情報も少ないし、帰国して落ち着いてからでもいいかなあ…と思っています。

A:もちろん帰国してからでも遅くはありません。貴重な海外生活ですから、ご家族で健康に、そして楽しく過ごすことが一番大切です!

CAREER MARKでも、帰国した駐在妻のみなさんが一番多く口にするのが「帯同生活をもっと楽しめばよかった!!」ということなんです。

一方で、もしも仕事を辞めて渡航したことで落ち込んでいたり、帰国後の仕事のことでもやもやすることがあるなら、できる範囲で「復職への見通し」を持っておくことをお勧めします。
見通しがあると、いま目の前の生活をもっと楽しめるようになると思います。

実は復職活動は意外と時間がかかるのです。

最初の面接を受けて内定が出るまで最低でも1か月、多くの場合は2か月ぐらいはかかります。また、途中で適性検査を受ける場合もあります。

しかしそれよりも時間がかかるのが下の2点です。

①志望企業の選定
②未就学児がいる場合は預け先の確保

①志望企業の選定
「行きたい」と思える企業を探すのはけっこう時間と手間がかかるのです!

大手転職サイトを覗くとたくさん求人があるように見えますが、よくよくチェックすると、自分がやりたくて、しかも勤務条件が合う仕事は多くはないことに気づくと思います。

特にお子さんがいる場合は就業時間によって求人情報がかなり絞り込まれるのが現実です。

そうした中で行きたいと思える仕事と出会うには、ある程度の期間、求人情報をチェックして、「自分なりの基準」を持っておくことが近道になります。

たくさん求人情報を見ているうちに、「こういう条件ならなんとか大丈夫」「これはダメだ」という「自分なりの基準」が見えてきます。
反対に、目の前にある求人情報だけですぐに仕事を決めようとすると、どうしてもどこかで無理をすることになり、結果として長く働くことが難しくなることが多いのです。

「どんな仕事があるかな?」という軽い気持ちでかまいませんので、帰国が決まる前から積極的に求人情報に触れておくと、この先どんどん活動を効率化できますよ。

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②未就学児がいる場合は預け先の確保
お子さんの預け先の確保、やはり大きな問題ですよね。
保育園の転入時期や助けてくれるご家族の状況など、わかる範囲で先に確認しておくと安心できます。

また、意外と便利なのが一時預かりです。
面接のときなどに一時的に預かってくれるところが先にわかっていれば、余裕をもって仕事探しができます。
CAREER MARKでお仕事を紹介したある方は、帯同中に出産したお子さんを抱えての帰国でしたが、帯同中に調べておいたいくつかの子どもセンターに足を運んでその中から雰囲気の合うところの一時預かりを利用していたそうです。

先に保育園を決めてしまうという方法もありますが、空きがないと入れないし、「3か月以内に就職しなければ」というプレッシャーは活動初期にはかなりしんどいもの。

復職活動は時間がかかるので、最初だけでもこうした一時的な預け先を見つけておくと活動のスタートが切りやすいです。

帰国してしばらくは、手続きや片付けに追われて保育園のことも仕事のことも調べる気力がわかない…となりがちです(本当に疲れますよね)。
特に保育園の状況や手続き、一時預かり先の確認は帯同中にしておきましょう!


いかがだったでしょうか。
①②ともに、復職活動がスタートする前の活動とも言えますが、意外とこの2点に一番時間を費やしたという方が多いのです。

帰国後はなにかとやることが多いですよね。荷物が届くのを待って、片づけをして…と過ごしているうちに、気が付いたら半年、1年と経っているかもしれません。
そこから復職活動をスタートさせるというのも、きっかけがなければなかなか大変なものです。
実際に、働きたいと思っていながらも気がついたら1、2年経ってしまって…というご相談も少なくありません。

帯同中にこの2点を先に進めておけば、自分なりの見通しが見えてきます。帰国後の復職活動のスタートも断然楽になりますよ。

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第2回「帯同中に知っておきたい3つのこと」

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第2回 帯同中に知っておきたい3つのこと

前回は、駐在帯同をブランクにしないために「自分で決めたことを始めよう!」という話を紹介しました。
今回は帰国後の復職に向けて帯同中にできることを紹介します。

仕事を辞めて駐在帯同した方からは、
「働きたいという気持ちがいつも心のどこかにある」
という話をよく聞きます。

でも実際には現地での仕事にはたくさんのハードルがありますよね。
ビザだけでなく、夫の勤務先の規定で働けないこともありますし、子どもの預け先の確保だって難関です。
そもそも海外で働くこと自体、ものすごく大変なことです。

そして、せっかくだから家族との時間を大切にしたいと思う方もたくさんいると思います。

実は、駐在帯同前後で「キャリア」に対する考えが変わるのはよくあることなのです。

渡航前は仕事で成果を出すことが最優先だったという方が、帯同中のさまざまな経験ー例えば家族との時間を大切にした暮らしや海外の働き方を間近に見たことなどーを通じて、本帰国後は人生の中心を「仕事」ではなく「自分の大切なもの」にしたい、とおっしゃることはとても多いです。

家族との時間を大切にした働き方をしたい。
そのために自分の軸になるものを見つけたい。

帰国後にそうした思いを口にする方はたくさんいるんですよ。
これこそ、駐在帯同があったからこそできる、キャリアの見直しのチャンス!
自分の意思で自分の望む生き方や働き方を選んでいく「キャリア・ブランディング」の機会です。

これまでCAREER MARKではたくさんの駐在妻のみなさんの「キャリア・ブランディング」をサポートしてきました。

帯同中こそ「自分軸」を知るチャンス

自分の望む生き方や働き方って、どうやって実現していけばいいのでしょうか?
実現している方にはいくつかの共通点があります。

ヨーロッパで駐在帯同生活を送ったMさんの例を紹介したいと思います。

Mさんは現地でママ友を作ったり英会話スクールに通ったりして楽しく過ごしていましたが、どうしても充実感が得られなかったそうです。そこで勇気を出してアルバイトを始めてみました。

渡航前は海外出張も厭わず働いていたMさん。アルバイトという働き方なので何か特別なスキルを得るためというよりは、とにかく働いてみたかったとのこと。
実際に働き始めると、渡航前の仕事と同じ業界だったので「やっぱりこの仕事が好き!」と思ったそう。

そして異文化でも対人スキルや折衝力などを発揮できる自分を発見しました。なにより、家族も大切にする働き方のイメージが持てたそうです。

Mさんが現地就労で得たのは、自分への自信とやりたい仕事への確信でした。

こうして「やりたいこと」「できること」「こだわらなくてもいいこと」が明確になったMさんは、帰国後復職のための面接でも企業からの評価が高く、スムーズに復職先が決まりました。

そしてMさん自身が「この先3年は子育てを優先させた働き方をする」「この業界で専門性を高める」という、人生と仕事における「自分軸」を確立できたことが大きかったそうです。

帯同で仕事を辞めたことで「会社軸」ではなく「自分軸」で人生の優先順位を決めることになったわけですが、Mさんのもやもやは晴れ、駐在帯同経験をとても前向きに捉えられるようになったそうですよ。

今の私の「Will、Can、Must」を知ろう

仕事探しのひとつの指標として有名な「Will、Can、Must」。
WillとCanとMustがすべて重なる仕事が自分に合う仕事と言われています。

このWill、Can、Mustのワーク、就職活動のときにやったという方もいるかもしれませんね。

このうち、Willはひとりでも見つけることができます。
でも、CanとMustは自分を評価してくれる誰かがいてこそ知ることができるものです。


そのためには、やはり誰かと一緒に自分の力を試して「これは得意だな」「これまでやったことないけどこんなこともできるな」と相手の反応を見ながら知ることが一番です。
これは正社員でなければできないわけではなく、アルバイトなど短時間の仕事でも可能ですし、インターンやボランティアでも得ることができる経験です。

さて、さまざまな経験をした今のあなたのWill、Can、Mustはなんでしょうか?

それを考えるだけでも「私の望む生き方・働き方」を知ることになります。そして3つが重なり合う部分は、「自分軸」とも言えますね。

CAREER MARKでは駐在妻のみなさんの復職に向けたサポートをしていますが、中途採用が新卒採用と大きく違うところは「うちの会社で何ができるか」を厳しく問われるという点です。

したがって、どこで何をしてきたかという過去ではなく、ここで何ができるかという未来を語れなければいけません。

駐在妻が帰国してからスムーズに復職できるかどうかを分けるのがこの点なのです。

現地で正社員だったからすぐに復職できるかと言えばそうでもなく、ボランティア活動だから評価されないかと言うとそうでもありません。

どんな経験であっても
「そこでどんな力を獲得し、それをこの会社でどう活かすか」
を伝えられることが求められます。

そのためには、やはり自分自身が「何がしたいか」「どこまでできるか」を知る機会がとても大切なのです。

もちろんCAREER MARKでも、「1on1キャリアサポート」などのサービスを通じてお手伝いしますよ!


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第1回「駐在帯同をブランクにしない!仕事に活かすポイント」

はじめまして!駐妻キャリア支援の「CAREER MARK」と申します。
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第1回 駐在帯同をブランクにしない!仕事に活かすポイント

今このコラムを読んでくださっているあなたは、駐在帯同してどのぐらいでしょうか?半年?1年?いやいや3年、なかにはそれ以上という方もいらっしゃるかもしれませんね。

これまで私たちがサポートをしてきた駐在妻のみなさんは、渡航前、帯同中、本帰国後とさまざまなタイミングでした。

でもどんなタイミングの方からも、
「自分のキャリアについて考えることができてよかった。これまでしてきたことは間違っていないと自信を持てたし、これから進む道が見えた」
という感想をいただくことができました。

これは私たちが何か特別なことをしたからではありません。
ご自分のキャリアに向き合う少しの時間と情報を用意して、そして実力を分かってくれる企業とのご縁をお繋ぎしただけなのです。

「また仕事をしたい」と思う駐在妻の皆さんには、それだけの実力があるんですよ!

もしかしたら、仕事を辞めて渡米した方の中には、
「ブランクを作ってしまった。これからの仕事はどうしよう…。」
と思い悩んでいる方もいらっしゃるかもしれません。

でも、駐在妻の強みは「職歴」と「帯同中の経験」の両方を持っているところです。帯同中の経験はブランクではなく、仕事にも活かすことができますよ。

そのコツもこれからの連載でお伝えしていきますね。

実はみんなもやもやしてる?駐在帯同生活のリアル

これまでたくさんの駐在妻・もと駐在妻のみなさんから話を聞いていますが、帯同中のことを聞くと不思議なぐらい一致する話があるのです。
「渡航してしばらくは毎日が楽しかった。あれもこれもやろうとワクワクしていた。でもしばらくすると何もできていない自分がイヤになってきた。
以前の同僚の仕事ぶりに焦って、自分は何をしてるんだろうと思ってしまう…。」

実はこうしたもやもや、とても多くの駐在妻が経験しています。家事育児しかしていない自分がイヤになる、何かしないと、と焦るばかりで何をすればいいかわからない、など、心にひっかかることは人それぞれですが、ほとんどみんなと言っていいほどの方が、こうした「焦燥感」や「喪失感」に悩んでいます。

こうした気持ち、なかなか言葉にしづらいですよね。
しかも周りからは「恵まれている」「キラキラしている」と思われて、なかなか悩みを打ち明けられないのですよね。

でも実はこれ、異文化に適応するために誰もが通過する自然な心の反応なのです。
「異文化適応過程カーブ」と言われます。

「海外在住日本人の『異文化適応過程』」より(原田舞香,2019)

新しい環境にワクワクする「ハネムーン期」、思うようにならない現実を知る「ショック期」、諦めとともに目の前の現実を受け入れはじめる「回復期」を経て、異文化に適応する「適応期」を迎えるのだそうです。

だから落ち込んでしまうのは、心が弱いせいでも仕事を辞めたせいでもありません。こうした気持ちは、駐在妻はもちろん、駐在員でも、海外に来た子どもでさえも感じる、ごく自然な心の動きなのです。

自分らしいキャリアの第一歩は?

そうは言っても、この「焦燥感」や「喪失感」、とても辛いものですよね。臨床心理士の先生に、こうした気持ちとどう向き合えばいいか伺ったことがあります。
先生はご自身も駐在帯同経験があるかたで、心のプロとしても駐在妻の先輩としても勧められたのが「自分で決めたことをする」ということです。
心理学では、自分で決めたことにはモチベーション高く取り組める一方で、そうでないことにはモチベーションを保ちづらいとされているそうです。

そもそも駐在帯同は自分で決めた生活ではなく、また将来の見通しも立てづらいもの。どうしても漠然とした不安を感じやすい環境です。
誰だって自己決定しにくい環境で元気に過ごすのは難しいのですね。

だからこそ、自分がやりたいことをやる、ということがとても大事なのだそうです。現地で働くのはもちろん、趣味やボランティアでも、「やりたい!」と思うことをまず始めてみるといいそうですよ!

キャリアについて悩んでいると、
「これって帰国後の仕事に役立つだろうか」
「趣味のことをしてもスキルは身につかないし」
と”仕事に役立つかどうか”で自分の行動を判断してしまいがちです。

でもとにかく、もやもやしているときに大切なのは、
「自分でやりたいことを始めてみる」
ということです。

それは、他の人から見たら(もしかしたら過去の自分にとっても)趣味やなんでもない事でも、
「今の私がしたいことを始めた」
という、大切な自己決定の成果なのです。

そしてこうして始めたことが結果として帰国後の仕事に役立つことも実はあります!
CAREER MARKでも、現地でのコミュニティ活動や短時間の仕事を通じてこれまでにない経験ができて、帰国後の再就職にも役に立ったという方がたくさんいらっしゃいます。

この話はまた次の機会にご紹介しますね!!


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