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第13回 アメリカ駐在経験が変えた“日本での暮らし方”

みなさま、こんにちは。アメリカ駐在ライフアドバイザーの松谷麻子です。
アメリカで暮らし始めると、それまでの日本の常識とは異なることが多く、最初はカルチャーショックを感じた方も少なくないと思います。数年間という限られた駐在期間の中で、日本で過ごしてきた習慣をそのまま過ごすこともあれば、「郷にいれば郷に従え」とばかりに、アメリカ式を取り入れることもあるでしょう。

駐在生活とは、ようやく自分なりのスタイルが見つかって慣れてきた頃に、本帰国のタイミングが訪れるもの。帰国後は、「ああ、そういえば日本ではこんな感じだったな」と懐かしい感覚を取り戻すことも多いかと思います。一時帰国の際にも感じていたことかもしれません。
生まれ育った日本での生活は、アメリカでの生活に比べれば順応は楽に思えるかもしれませんが、アメリカのやり方のほうが自分に合っていると感じる場面もあります。両国の「いいとこどり」ができれば、より快適な生活が送れると感じる方も多いのではないでしょうか。

今回は、私自身や本帰国された駐在家族の方々が経験した「日本での生活習慣の変化」を一部ご紹介します。これはあくまで個人の価値観や感覚に基づくものであり、「こうしなければいけない」とお勧めする意図はありません。
現在アメリカにお住まいで、将来的に日本への帰国を控えている方のなかには、日本での生活に不安を感じている方もいらっしゃるかもしれません。そんな方に、「帰国後も必ずしも日本のやり方に戻る必要はない」ということを知っていただき、日々の暮らしをより快適に、理想に近づけるためのヒントとしてご覧いただければと思います。

1 食洗機・洗濯乾燥機の導入

まず多くのご家庭で導入されるのが食器洗浄機・洗濯乾燥機の導入です。アメリカの特大食洗機の恩恵を受けていたご家庭はとても多いのではないでしょうか。アメリカに比べ日本の食洗機は小型かもしれませんが、もはやなくてはならない相棒です。また、洗濯に要する時間は毎日1時間12分というデータもあり、家事にかかる労力の大きさが伺えます。アメリカ生活を経て、乾燥機の便利さに慣れると、多少縮むリスクがあっても「楽さ」には代えられないという意見が多いようです。

2 テレビで地上波を見ない

アメリカで日本のテレビを見なくなったことをきっかけに、帰国後も地上波を見なくなるケースが増えています。英語環境を継続させたいという意識から、Netflixなどの有料コンテンツを活用し、英語に触れる時間を意識的に確保している家庭も多くあります。
ちなみに我が家では、地上波は視聴可能ですが、テレビを使うのはお友達とゲームをする時や、夫が週末にゴルフ中継を見る時くらいです。

3 クレジットカード決済を多用

アメリカでは少額でもクレジットカードで支払うのが一般的です。日本に帰ってからもその習慣が抜けず、数百円の買い物でもカードを使うようになりました。小銭をたまに持つと、意外と重いんだな、と改めて感じます。
最近では日本でも電子マネーやキャッシュレス決済が普及し、現金を使う機会がますます減ってきました。お財布を忘れても困らない時代になりましたね。

4 オーガニック製品を探す

アメリカではオーガニック製品が豊富で手ごろな価格で手に入るため、日常的に取り入れていた方も多いと思います。帰国後もその習慣が続き、日本の食品添加物の規制の状況について考えるきっかけになったという声もあります。

5 英語教育の熱心になる 

帰国子女となったお子様たちが、英語を簡単に習得したわけではないことを間近で見てきた親としては、そのスキルを維持・発展させてほしいと願うのは自然なことですよね。
ただし、帰国子女と言っても、英語の習得度は異なりますし、すべての子が英語に前向きとは限りません。我が家の長男は、むしろ「やっと英語から解放された」と感じているタイプで、英語を伸ばしたいという意欲はまったくありません。親だけが熱心になっても、子どもの気持ちとのギャップがあればうまくいかないという例ですね。したがって、必ずしも熱心であらねばならないとは決して思っておりません。

6 レギンスを多用

アメリカでは、レギンスがとても一般的で、ジムに行かなくても送迎時に「制服のように」レギンスを着用するママたちをよく見かけます。その影響で、自然とレギンスが日常着になった方も多いでしょう。日本ではまだそこまで一般的ではないかもしれませんが、私の住む地域(都心から少し離れた住宅街)でも、スーパーなどでレギンス姿の方を見かけることが増えてきました。

7 人に話しかけたくなる

アメリカ文化で最も驚いたことの一つが、「知らない人から突然話しかけられること」でした。服や言動を褒められたり、赤ちゃんを覗き込まれたりと、最初は戸惑いながらも、次第にそれが心地よくなるから不思議です。日本で見ず知らずの方に話しかけられるケースを考えてみると、どちらかというと警戒することが多いのではないでしょうか。
異国での生活が長くなると、日本人を見かけると話しかけたくなるという感覚も自然に身につきます。日本でTrader Joe’sのエコバッグを持っている人や、アメリカの同じ街のロゴTシャツを着ている人を見かけたら思わず声をかけたくなったなどの声もよく聞きます。
私も話しかけることに肯定的です。日本でも、こうしたカジュアルな会話が増えることで、もっと優しい社会になるのではと感じています。

いかがでしたか?
一つでも「あるある!」と感じていただけたら嬉しいです。異文化に長く触れることは、自分の価値観を見直す大きなきっかけになりますし、比べながら自分にとって心地よい方を選択していけばいいのではないでしょうか。
帰国が近づいたとき、あるいはいつかのために、日本でどんな暮らしをしたいかを少しずつイメージしておくと、いざというとき具体的に動きやすくなりますよ。