第6回「新学期から現地校転入:手続きと注意点は?」

第6回「新学期から現地校転入:手続きと注意点は?」

更新日: 2016年08月23日

こんにちは。アメリカ現地校コンサルタントの高橋純子です。

このコラムでは、実際の在米日本人の保護者の方々から寄せられた、現地校や家庭教育などに関連した悩み相談への回答をわかりやすく説明いたします。

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暑い夏が過ぎようとしていますが、お子様の夏休みはいかがでしたでしょうか?サマーキャンプに参加された方、ご家庭で夏休みを過ごされた方、日本に一時帰国された方など夏休みの過ごし方はご家庭毎様々だったかと思いますが、夏休みが終了するともうすぐ新学期が始まります。そこで今回の教育コラムでは「夏休み中に英語力を伸ばす」をテーマに情報をお届けします。

新学期から現地校転入:手続きと注意点は?


Q.

夏休みに日本から小4の息子を連れて来米したばかりです。9月から現地の公立校に転入しますが、手続きはどうすればよろしいですか?

また、息子は日本で4年生の1学期を終えたばかりで、9月からも4年生として現地校に転入させたいと考えていました。しかし、8月で10歳になりましたので、アメリカでは9月から5年生に入れられてしまうと聞き、非常に困惑しています。

本人は英語も全くわからないですし、一学年下げて4年生に入れてもらうことは可能でしょうか。これを英語でどのように説明すれば良いでしょう。最後に海外転入にあたって、親が注意することや心構えなどを教えてください。


A. まず転入手続きですが、多くの公立学校は8月末にオフィスが開きますので、その週に電話でアポイントメントを取るか、直接訪問してみてください。
訪問時に持参するものは、

①子供のパスポート(出生証明書の代わり)
②家の賃貸契約書(校区内に居住している証明)
③日本での成績証明書(英訳したもの)

の3点です。

これらを提示し、子供を9月から通わせたいと伝えます。その時に学校側から渡される転入用の書類には、子供の性格や生い立ちを親が記入するもの、また医療用のメディカルフォームとがあります。このメディカルフォームは現地の医師から健康診断と予防接種を受けた上で、直接記入してもらいます。この時英訳した母子手帳(出生記録、大きな疾病記録、今までの予防接種記録を含む)が必要となります。学校訪問後、すぐに小児科に “school check-up and immunizations”の目的で予約を入れましょう。予防接種はアメリカの法律で決められたものを、混合や複数で打たれることがありますので驚かないでください。これら全ての書類を学校に提出すると転入許可が降ります。

みんなが悩む学年の問題って!?

次に学年問題ですが、日本は4月、アメリカは9月に新学年開始のため、転入時の学年の決定は日本人家庭にとって難題の一つです。アメリカでは学年を区切る生年月日は「カットオフ・デイト」(cut-off date)と呼ばれ、これは州や、公立・私立によって様々なのが現状です。

例えばNY州公立校の小5なら、その年の1月から12月末までに満10歳になる子供は同年9月から5年生、という区切り方をしています。日本なら来年の4月に5年生になる息子さんですが、この8月で満10歳になったので、アメリカでは今年9月から5年生とされます。このように、現地校では学年を約8ヵ月も前にジャンプしてしまう事態が発生し、結果息子さんは日本で4年生を3ヵ月半しかやらなかったことになります。

学年を下げるという例外を認めないところもありますが、多くの現地校はこのような事情を説明すれば理解を示し、柔軟に対応してくれるようです。実際新たな学年で高レベルの学習内容を、わからない英語でこなしていくのは至難の業です。またこれは本人の精神的苦痛につながりかねません。学校との話し合いまでに、次のプレーズを含んだ手紙を書き、要点をおさえて要望を伝えてみてください:

Japan has a different school-year system, which results in a schedule about 8 months behind the U.S. If placed in the 5th grade in September, my son, who had just started the 4th grade this past April and left Japan in July, will have to skip almost the entire 4th grade year.
As such, and in addition to his lack of English skills, we are concerned that the course level in the 5th grade may be too advanced for him. 

(日本は異なった学年度のシステムを採っており、その結果アメリカよりも8カ月遅れたスケジュールとなっています。もしこの4月に日本で4年生になったばかりで7月に渡米した息子が、9月から5年生に入れられてしまうと、4年生のほとんどを飛ばしてしまうことになってしまいます。また本人の英語力が欠けていることも考慮すると、5年生の学習レベルは彼にとって非常に困難ではないかと懸念しております。)

最近のアメリカでは、カットオフ・デイト前ぎりぎりに生まれた子の場合、わざと小学校入学を遅らせる親御さんが多い傾向も見られます。このように1学年落とすこと自体、さほど大きな問題とは捉えられていません。子供さんが自信を持ち、リーダーシップを取れるような環境のほうが理想的だと思われます。

学校が始まる前に注意しておく事!?

さて、現地校転入に向けて親子で注意する点をお話しします。
まず重要なのは、子供さん本人が学校システムや規則の違いを理解するだけでなく、実践的に対処できるようにトレーニングしておくことです。例えば日本では授業と授業の間に休み時間がありますが、現地校はお昼まで休み時間がほとんどありません。ですのでトイレに行きたい時は、授業中であっても全く構いません。これを知らずに初日からトイレの失敗をしてしまった日本人の生徒たちのケースもあるので注意しましょう。
まず先生に”May I go to the bathroom?”(トイレに行ってもいいですか。)と聞いたり、トイレパスを首にかけて行くこと、などを仮想して訓練してください。また、学校で迷った時はどうする、気分が悪い時はなんと言う、なども練習しておきましょう。余裕があれば先生の典型的な指示語や基本的な学習用語も覚えておきたいものです。

親として心がけておく事

親御さんも現地校のルールやシステムを把握しておくことは必須です。
また子供は最初の約1年はほとんど何もわからず、かなり苦労をする可能性もあるので、子供が早く言葉を覚えて助けてくれるだろうと期待せず、親も一緒になって英語を習得する姿勢が重要です。後に募集されるボランティア活動にも積極的に参加し、先生に「◯◯ちゃんのお母さん」と顔を覚えてもらい、普段から何かあっても気軽にすぐ先生や校長と話ができる状況を作っておくのが理想的です。アメリカの学校は非常に開かれていますので、それをうまく利用することをお勧めします。そういった意味でも、学校で必要となる英会話は親も必ず練習しておきましょう。

まずは初日から1カ月は、子供が新しい環境に慣れて楽しく登校できているか観察してください。最初からうまく適応できる子もいれば、時間がかかる子もいます。我が子の性格や素養を把握して、焦らずサポートを続けてください。少しでも仲の良いお友達ができれば、積極的にプレイデートを実行しましょう。家族みんなで協力して現地適応に取り組めば、現地校転入が息子さんにとって素晴らしい経験になること間違いないでしょう。


著者プロフィール:

高橋純子
KOMETコンサルティング代表
コロンビア大学応用言語学博士課程
NYを中心に日本人家庭への教育サポート活動、また現地校適応のための トレーニング、教材開発などを展開。 現地の新聞などに教育コラム等多数執筆中。 DVD教材 “Hiroshi Goes to American School”(原作•制作), 著書に「アメリカ駐在:これで安心子どもの教育ナビ」(時事通信社)がある。
KOMET website: http://www.faminet.net/komet
お問い合わせは jtkomet@gmail.com 高橋まで。