Skip to content

第15回「“遠慮しすぎない”が鍵!アメリカの学校と自然につながるためのヒント」

こんにちは。
アメリカ・ニューヨークで教育コンサルタントをしている沙織です。
このコラムでは、在米日本人の保護者の方々から寄せられる家庭教育や現地校に関する悩みにお答えし、アメリカの教育や学校、子育てに関するトピックをご紹介しています。

今回の記事では、「アメリカの学校と保護者のつながり方」についてご紹介します。
アメリカの学校では、保護者との連携がとても重視されており、先生方も家庭との関わりを歓迎する文化があります。
とはいえ、いざ関わろうとすると「どこまで踏み込んでいいのかわからない」
「英語でのやり取りに不安がある」と感じる方も少なくありません。

そこで今回は、面談や成績のやりとりといった形式的な場面以外でも、保護者が学校と自然につながるためのヒントを、具体例とともにご紹介します。

アメリカでは保護者は教育パートナー

アメリカでは「親は子どもの第一の教育者」という考え方が根付いており、学校と家庭が連携して子どもを育てていくことが大前提です。
そのため、先生たちは保護者からのフィードバックや参加を前向きに捉えていることが多いです。

たとえば、毎朝の送り迎えで「Hi! Thank you for all you do!(いつもありがとうございます)」と一言声をかけるだけでも、先生との関係が和らぎます。
こうしたちょっとした会話の積み重ねが、信頼関係を築く土台になります。

日常的な関わり方の具体例

1. 「名前を覚えて呼びかける」ことの力送り迎えの際、先生やスタッフの名前を覚えて「Good morning, Ms. Johnson!」と声をかけるだけでも、「この保護者は関心を持ってくれている」と伝わります。
名前で呼ばれることで、先生も親しみを感じやすくなり、ちょっとした立ち話もしやすくなります。

2. 宿題や連絡事項に返事を添える 学校からの配布プリントや連絡帳に、簡単なメモを添えるのも良い関わりです。

例:
“Thanks for the notice. We’re looking forward to the field trip!”
(お知らせありがとうございます。遠足、楽しみにしています。)

“We’ll be sure to bring extra snacks on Friday. Appreciate the reminder!”
(金曜日には追加のスナックを持っていきます。ありがとうございます!)

こうした一言が、先生との信頼関係を築くきっかけになります。

3. ポジティブな出来事を共有する 「子どもが家でこんなことを話していました」と伝えると、先生にとっては“自分の働きが伝わっている”と感じられる貴重なフィードバックになります。

例:
“My daughter told me how fun the math game was today!”
(娘が、今日の算数ゲームがとても楽しかったと話していました。)

“He loved the story you read this morning — he was acting it out at home!”
(彼は今朝の読み聞かせが大好きで、家でそのお話を真似していました。)

これは子どもにも、「先生とおうちの人がつながっているんだ」という安心感を与えます。

4. クラス掲示物や作品を見てコメントする 廊下や教室の外に貼られた作品に目を留めて「素敵な絵ですね!」などと声をかけることで、先生や子どもたちの努力が認められたと感じられ、前向きな関係が生まれます。

5. 「何かできることありますか?」の一言 特別なスキルがなくても、「何かお手伝いできることがあれば教えてください」と伝えるだけで、先生にとっては非常に心強い存在になります。

例:
プリントのカット作業、教室の飾りつけの手伝い、行事用の小物の準備など。
学校でできることだけでなく、家でできる作業もあるかもしれません。

私がクラス担任で教えていた頃には、算数のカード作りなどの作業を子どもたちのブックバッグに入れて家庭に持ち帰ってもらい、保護者の方に手伝っていただくということもよくありました。
作業が終わったら、また学校に持ってきてもらうスタイルです。

学校行事への関わり方の具体例

1. 裏方として協力する 行事に「参加する」だけでなく、裏方としての協力も喜ばれます。たとえば、ハロウィンの飾りつけを手伝ったり、読み聞かせイベントで日本の昔話を英語で紹介したりなど、自分の得意なことを活かす場面があります。

例:

  • 保護者Aさんは、お正月の時期に「折り紙で羽子板を作る」ワークショップを開催し、大好評でした。
  • 保護者Bさんは、理科の授業で「日本の食文化と発酵(納豆!)」について紹介し、子どもたちの興味を引きました。

2. 材料やアイデアの提供忙しくてイベントに参加できない方も、クラスで使える材料を提供するという形で関われます。

例:

  • 「春のクラフトに使う桜の折り紙を寄付」
  • 「クラスで日本語のあいさつ表を掲示する提案」
  • ガーデニングが趣味の保護者が、学校の花壇に季節の花を植えるプロジェクトを提案

このように「できることを持ち寄る」姿勢は、先生からも感謝されることが多いです。

アメリカの保護者たちとの違いに気づいてみる

アメリカの保護者たちは、学校の活動に対して比較的積極的です。学校にアイデアを提案したり、自ら新しいプログラムを始めたりすることも珍しくありません。

例:

  • ランチタイムに「健康スナックデー」を提案し、毎月1回フルーツを持ち寄るイベントを実現
  • 放課後に読み聞かせクラブを保護者主導で立ち上げたケース

もちろん、全員がこうした活動に参加しているわけではありません。でも、「こんなことができるかも?」と思った時に、それを学校に相談できるオープンな空気があります。

できることから、つながりを育てていく

アメリカの学校との関わりは、必ずしも「頻繁に学校へ通う」ことではありません。
小さな挨拶、ちょっとしたアイデアの共有、感謝の気持ちのメール。
そうした一つ一つが、「この保護者は信頼できる」「一緒に子どもを育てている」と先生に感じてもらえるきっかけになります。

“遠慮しすぎない”ことが、結果的に子どもにとっても安心できる学校環境をつくることにつながります。

まずは、あなたにできる小さな一歩から始めてみませんか?

Brooklyn de Kosodate 代表
米国にて教育学修士課程
ニューヨーク州・カリフォルニア州・ノースカロライナ州に教員資格を保持
米国公立小学校にて10年教鞭をとる。
その後、ブルックリンあおぞら学園で教育ディレクターを勤める
全米教育理事会より認定を取得
日本語で教育・発達に関するコンサルティングを行っている。
自身も一児の母
Brooklyn de Kosodate website: https://www.brooklyn-de-kosodate.com/
FB Group:https://www.facebook.com/groups/2835013796758242
Instagram: https://www.instagram.com/brooklyn_de_kosodate/
お問い合わせは:brooklyn.kosodate@gmail.comまで

記事一覧はこちら