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第14回「学校の中で誰に相談するのが適切か~ケーススタディーで知る相談先2」

こんにちは。
アメリカ・ニューヨークで教育コンサルタントをしている沙織です。
このコラムでは、在米日本人の保護者の方々から寄せられる家庭教育や現地校に関する悩みにお答えし、アメリカの教育や学校、子育てに関するトピックをご紹介しています。

前々回の記事では、「アメリカの学校にいるスタッフとその役割」についてご紹介しました。
前回の記事では、具体的なケーススタディを通じて、「どのような問題には、どのスタッフに相談すればよいのか」を解説しました。特に、「学業の遅れ」と「社会性の問題」の2つのケースを取り上げました。

今回は、「進路について悩む場合」と「特別支援が必要な場合」の2つのケースを取り上げ、それぞれどのスタッフに、どのように相談すればよいのかを詳しく解説していきます。
お子さんの将来や学校生活に不安を感じたとき、どこに相談すればよいのかを知っておくことはとても大切です。

ケース3: 進路について悩む場合

中学2年生のCさんは、将来どのような職業に就きたいのか分からず、不安を感じています。
授業でキャリアについて話し合う機会がありましたが、「自分の得意なことが分からない」と悩む様子を見せました。
保護者も、どのように進路の相談をすればよいのか戸惑っています。

相談の流れと支援内容

1. ガイダンスカウンセラーへの相談
  • 保護者とCさんは、学校のガイダンスカウンセラーに相談。
  • カウンセラーは、Cさんの興味や適性を探るために「キャリア興味調査」を実施。
  • 調査の結果、Cさんは「動物に関わる仕事」や「創造的な活動」に興味があることが判明。
  • この結果をもとに、獣医・グラフィックデザイナーなど具体的な職業について話し合うセッションを計画。
2. 進路教育プログラムの活用
  • ガイダンスカウンセラーが、Cさんが興味を持ちそうなプログラムやクラブ活動を紹介。
  • 例:地元の動物保護施設でのボランティア学校のアートクラブへの参加。
  • 実際の体験を通じて進路を考える機会を提供。
3. 家庭での話し合い
  • 保護者もカウンセラーのアドバイスを受け、家庭で進路について話す時間を設ける。
  • 具体的な会話を通じて、Cさんが「自分の得意なこと」「興味を持つ分野」を深掘り。
  • 親子で一緒に近隣の大学や職場の見学を計画し、リアルな進路のイメージを持たせる。

結果

  • 数か月後、Cさんは動物保護施設でのボランティア活動を通じて、自分の興味を深めることができた。
  • 将来は動物に関わる仕事がしたい」という目標を持つようになり、学校生活にも前向きに取り組む姿勢が見られた。

教員経験からのアドバイス

進路に悩む子どもには、まず「興味のある分野を見つける小さな一歩」が大切です。
私自身の経験からも、カウンセラーとの連携が、子どもの将来の選択肢を広げる大きな助けになると実感しています。

ケース4: 特別支援が必要な場合

小学2年生のDは、授業中にじっとしていられず、指示を聞き逃すことが多いため、学習に遅れが出ています。また、クラスメイトとのトラブルが増え、担任の先生からも「D君に合った支援が必要ではないか」と保護者に連絡がありました。
保護者は、D君の行動や学習の困難について、どのように対応すればよいのか悩んでいました。

相談の流れと支援内容

  1. 担任の先生との話し合い
    • 担任の先生と面談を行い、D君の学校での様子や具体的な課題を話し合う。
    • 先生は、特別支援スタッフ(IEPコーディネーターやスクール心理士)に相談することを提案。
  2. IEP(個別教育計画)の導入プロセス
    • スクール心理士がD君の行動と学習の評価を実施。
    • 評価の結果、D君にADHDの傾向がある可能性が指摘される。
    • IEPを作成し、D君に適した目標と支援内容を設定。
  3. 家庭と学校の連携
    • IEPミーティングに保護者も参加し、家庭でのサポート方法を具体的に学ぶ。
    • 学校と保護者が定期的に進捗を共有し、必要に応じてIEPを調整。

結果と学び

  • 数か月後、D君は新しい支援方法のおかげで授業に集中できるようになり、学習にも意欲的に取り組むようになった。
  • クラスメイトとのトラブルも減り、担任の先生からも「D君が成長している」と評価された。
  • 保護者も、早めに学校に相談したことの重要性を実感。

教員経験からのアドバイス

「特別支援が必要な子どもにとって、保護者と学校の連携が非常に重要です。」早期の評価と支援が、その後の学習や学校生活に大きなプラスの影響を与えると感じています。
心配なことがあれば、遠慮せずに学校に相談することをおすすめします。

今回ご紹介したように、アメリカの学校には、担任の先生、スクールカウンセラー、リソーススペシャリストなど、多くの専門家が子どもたちを支える体制があります。
適切な相談先を選び、学校と連携することで、より良い解決策を見つけることができます。

「早めの相談」と「適切な支援」が鍵です。
保護者と学校が協力し、一人ひとりに合ったサポートを提供することで、子どもたちが安心して学び、成長していける環境を整えていきましょう。

Brooklyn de Kosodate 代表
米国にて教育学修士課程
ニューヨーク州・カリフォルニア州・ノースカロライナ州に教員資格を保持
米国公立小学校にて10年教鞭をとる。
その後、ブルックリンあおぞら学園で教育ディレクターを勤める
全米教育理事会より認定を取得
日本語で教育・発達に関するコンサルティングを行っている。
自身も一児の母
Brooklyn de Kosodate website: https://www.brooklyn-de-kosodate.com/
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お問い合わせは:brooklyn.kosodate@gmail.comまで

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