春になると、多くの学校でState Test(州統一テスト)の時期を迎えます。
「どのくらい取れれば大丈夫?」「結果は成績に影響するの?」と、不安に感じる保護者の方も多いのではないでしょうか。
まずお伝えしたいのは、State Testは評価の“すべて”ではないということです。 例えるなら、子どもの成長という大きなチーズの中の、ほんの一枚のスライスに過ぎません。重要な一部ではありますが、それだけで全体を判断するものではないのです。

アメリカの学校では、評価はより多面的に行われています。大きく分けると、次の3つの要素で構成されています。
一つ目は学力(Academic Skills)です。テストや小テスト、日々の課題を通して、「何をどれだけ理解しているか」が見られます。
二つ目は学習プロセス(Learning Behavior)です。授業への参加(Participation)、グループ活動での関わり方、努力の姿勢など、「どのように学んでいるか」が評価されます。
三つ目は実行機能(Executive Function)です。課題の提出期限を守る、計画的に取り組む、必要な準備をする、といった「学びを進める力」です。これは近年特に重視されているポイントでもあります。
つまり、「テストができている=高評価」とは限らないのがアメリカの学校教育の特徴です。

ここで重要なのは、「なぜそのような項目が重視されるのか」という背景です。
アメリカの教育では、単に知識を身につけることだけでなく、「将来、社会の中でどのように行動できるか」が強く意識されています。授業での発言やグループワークへの参加、課題の提出管理といった要素は、学校内だけのルールではなく、社会で求められる力と直結しています。
たとえば、自分の考えを相手に伝える力、締切を守る責任感、チームの中で役割を果たす力。こうしたスキルは、大人になってからも必要とされるものです。そのため、「静かにしている」「言われたことはできている」というだけではなく、「どのように関わり、どのように学びを進めているか」が評価されるのです。
また、テストは単に「できた・できない」を決めるためのものではありません。
先生にとっては、どの分野が理解できていて、どの部分に復習が必要かを見極めるための大切な手がかりでもあります。つまり、評価だけでなく、その後の指導につなげる役割も持っています。
さらに、アメリカの学校では、学びの過程での失敗も重要な経験と考えられています。
最初から完璧にできることよりも、うまくいかなかった理由を考え、次にどう改善するかを学ぶことが重視されます。

では、実際に“評価が高い子”にはどのような共通点があるのでしょうか。
まず、指示を待たずに動けること。次に何をすべきかを考え、自分から取り組む姿勢は高く評価されます。
次に、自分の考えを言葉にできることです。正解を出すだけでなく、「なぜそう考えたのか」を説明できる力は、あらゆる教科で重視されます。
また、締切を守る力も非常に重要です。どんなに内容が良くても、提出が遅れると評価に影響することがあります。これは単なるルールではなく、「自己管理能力」として見られています。
さらに、分からないときに質問できる力や、グループの中で役割を果たせる力も大切です。
特に駐在員のご家庭の場合、「英語がまだ十分でないから評価が低いのでは」と考えがちです。しかし実際には、言語力だけでなく、こうした学び方や関わり方が影響していることも少なくありません。

では、家庭ではどのようなサポートができるでしょうか。
一つ目は、「説明する習慣」をつけることです。「どうしてそう思ったの?」「どうやって考えたの?」と問いかけることで、思考を言語化する力が育ちます。
二つ目は、「小さな締切」を意識することです。宿題やプロジェクトを細かく区切り、「今日はここまで」と段階的に進めることで、計画的に取り組む力が身につきます。
三つ目は、「自分で選ばせる」ことです。学習の順番や進め方を子ども自身に考えさせることで、主体性と自己管理力が育ちます。
アメリカの学校における「いい成績」とは、単なる点数ではなく、学力と行動の両方がそろっている状態を指します。
テストの結果に目が行きがちなこの時期だからこそ、「どのように学び、どのように関わっているか」という視点を持ってみてください。
State Testはあくまで一つの指標に過ぎません。チーズの一部だけで全体を判断しないように、子どもの学びも、ぜひ全体像で見ていただければと思います。

Brooklyn de Kosodate 代表
米国にて教育学修士課程
ニューヨーク州・カリフォルニア州・ノースカロライナ州に教員資格を保持
米国公立小学校にて10年教鞭をとる。
その後、ブルックリンあおぞら学園で教育ディレクターを勤める
全米教育理事会より認定を取得
日本語で教育・発達に関するコンサルティングを行っている。
自身も一児の母
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