アメリカでは、大惨事による破局の到来を心配して、自分や家族の身を守ろうとするDoomsday Prepper(破局に備える人々)が話題になっています。 Doomsday とはキリスト教では「最後の審判の日」ですが、それが転じて戦争・社会的混乱や自然災害による大惨事の発生を意味するようになりました。 PrepperはPrepare(準備する)に由来する言葉です。
ニューヨーク・タイムズは、万一に備えるDoomsday PrepperのためにBunker(地下の避難場所)を提供するビジネス(Panic Industryとも呼ぶ)が、南西部の州で盛況だと報じました。その一例が、アリゾナ州でAtlas社が提供する各種の避難所です。 既存の家の地下に設置するシェルターから、専用の土地に蓄電システム、空気清浄機、水源・排水設備を完備した、まるで地下街のようなBunker群まで、さまざまな規模のものがあります。大規模のBunkerには食べ物や薬などの生存に必要なものが大量に貯蔵されており、広い空間には娯楽や運動施設も整備され、長期間の避難生活が可能だとされます。 価格は、その規模に応じて最低でも数万ドルからで、上は無限です。
テレビの特別番組でも、大金持ちではない一般の人々の中に、Prepperになることを検討する人が増えている実態が報道されています。地震や気候災害の多い日本で、国民が数日間の避難に備えることは普通のことです。しかし、今アメリカで戦争や内乱、風水害や地震などの自然災害、大規模火災やパンデミックなどが人々を不安にし、Doomsday Prepperにしているというニュースは、興味深いです。加えて、先日、AI産業をリードする人々の一部が、AIの歯止めの効かない進歩は人類を滅ぼしうる趣旨の発言をしたことが、Doomsday Prepper論議に拍車をかけていることも注目されます。
(例文)Nick Paton Walsh explores the doomsday prepper movement, a once fringe subculture now embraced by 20 million Americans. Drawing on his experience covering conflict, he tests his survival skills with those preparing for disaster.(CNN)
(訳)ニック・ペイトン・ウォルシュ(記者)がdoomsday prepperの動向を探ります。このような動きは、かつては一部の人々の特異なサブカルチャーと見られたものでしたが、今では二千万人ものアメリカ人に広がっています。同氏は各種の紛争を取材した経験を生かして、世界の破局に備える人々と共に自分の危機対応術を試します。
旦 英夫 (ニューヨーク州弁護士)
◆著書「米語ウォッチ・アメリカの今を読み解くキーワード131」(PHP)
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