アメリカのソーシャルメディア(日本でいうSNS)で話題となっているRage Baitは、直訳すれば「怒らせて釣るための餌」。つまり、意図的に読者を挑発し、怒らせて反発を誘う投稿を指します。Click Bait (クリックしてもらうための餌)の一種ですが、異論に反発・反論する人間の心理を巧みに利用した方法です。
TikTokやX, YouTubeなどのプラットフォームで、自分の主張を広げたり、フォロワーの数を拡大するためにRage Baitが使われます。インフルエンサーの中には、 あえて対立を煽ったり常識を覆すような主張を繰り返す人がいます。 読者の多くが反発し、その気持ちを友人たちにRepost(再投稿)することで、自分の発言が注目され炎上し、広告収入を増やすのが目的でしょう。 また、プラットフォーム側もサービスの拡大を優先し、こうした状況を許容している側面があります。
一方、オンライン投稿でのRage Baitの広がりが、既存メディアの報道姿勢にも影響を与えているという専門家の指摘があります。つまり、政治的、社会的な事象の報道で、真実に基づく冷静な内容よりも、読者にショックを与えることを目的とした内容、特に見出しが突出する懸念が生じています。
2026年、政治的対立が深まる混迷の時代だからこそ、市民が正確な情報にアクセスできる環境はアメリカ社会にとって極めて重要です。Rage Baitが健全な情報流通の妨げにならないことを願っています。
(例文)Defined as online content intentionally designed to elicit anger in order to increase web traffic, “rage bait” cemented its place as Oxford’s word of the year following a public vote and lexical data analysis. Usage of the term tripled throughout 2025, the press found.(Smithsonian Magazine)
(訳) “rage bait” つまり、ウェブ上でのアクセス数を増やす目的で、意図的に怒りを誘うよう設計されたオンライン投稿が、一般投票と語彙データ分析の結果、オックスフォードによる「今年の言葉」に選出されました。同出版局によると、2025年を通じてこの言葉の使用量は3倍に増加したとのことです。
旦 英夫 (ニューヨーク州弁護士)
◆著書「米語ウォッチ・アメリカの今を読み解くキーワード131」(PHP)
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