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第9回「Brain Rot/脳が腐る」

Brain Rotとは比喩的に「脳が腐る」を意味します。 この言葉がオックスフォード大学出版局により2024年のWord of the Yearに選ばれた時、これはSNSでの低品質コンテンツの過剰摂取がもたらす注意散漫、記憶力の低下、問題解決能力の衰え、気分の落ち込みなどと説明されました。そして、このようなコンテンツ自体もBrain Rotと呼ばれます。

加えて、現在ではBrain Rotは人工知能AIの進化により、人間の思考力が弱まることを憂慮する表現にもなっています。実際、多くの職場でAIの使用が飛躍的に高まり、従業員たちが自分で考える習慣を失いつつあると指摘する専門家もいます。

教育の場においても、レポートや宿題をAIに任せてしまう大学生や中高生が増え、思考能力が目に見えて低下しているとの声もあります。一部の学区では AI 使用を制限する動きもありますが、全面的な禁止には反発も多く、効果も限定的と見られています。

Brain Rotという表現は、AI時代を生きる私たちへの重要な警鐘です。AIがどこまで発達するかは誰にも分かりませんが、AIを分析・思考の助手として賢く使いながら、最終的な判断や創造を自分の頭で行うことが大事でしょう。 AIに支配されBrain Rotに陥ることだけは避けたいものです。

(例文) What is new is AI as an all-purpose go-to writing tool. Maybe parents and educators should learn from the kids’ self-awareness in labelling this content “brain rot.” (Psychology Today)

(訳)今やAIは多くの人が真っ先に飛びつく万能の作文ツールとなっています。おそらく、親と教育者は、AIの力を借りて書いた内容は “Brain Rot(質の悪いもの)” だとする子供たちの自己認識に学ぶべきでしょう。


旦 英夫 (ニューヨーク州弁護士)
◆著書「米語ウォッチ・アメリカの今を読み解くキーワード131」(PHP)    
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