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第8回「K-shaped Economy/K型経済」

米国経済の現状を示す言葉として、最近よく使われるのがK-shaped Economy (K型経済)です。アルファベットのKの右側の「く」に似た部分は、一つは上に向かい、他方は下に向かっています。つまり、上の富裕層の人はますます上がり、下の低所得者層の人にますます下がることを意味します。 

統計によると、上位1%の人の年間収入は45万ドルを超えますが、低所得者層は年間2万ドル以下での生活を強いられています。 アメリカのダウ株価指標は歴史的な高さにあり、個人の総資産全体(金融資産、不動産など)の30%以上を上位1%の資産家が保有する一方、 多くの低所得層の人たちはLive from paycheck to paycheck (給料ぎりぎりの生活をする)と言われ、貯蓄の余裕はありません。まさにK-shaped Economyと言われる所以です。

上位所得層の消費が増加する一方、低所得層では支出が停滞・削減されており、これが商品の売上に影響し、企業間においてもK-shaped Economy現象が顕著です。テクノロジー・情報サービスの分野で、特にAIの興隆が目を引き、関与する会社/投資家は異常な高利益を得ていますが、ネスレやペプシなど庶民の消費に頼る伝統的な食品産業の業績は低迷したままです。 

このK-shaped Economyが継続するのか、または反落を迎える事態はありうるのか、FRB (連邦準備制度理事会)も難しい選択を迫られています。政策金利を上げれば、物価、ローン支払いで低所得層をさらに追い詰める一方、金利を下げれば、株価や住宅価格をさらに押し上げ、富裕層だけが潤う構図が見えているからです。アメリカ経済の動向を国民が注視しています。

(例文)Recent earnings reports and consumer data show a bifurcation in the US that experts call a “K-shaped” economy. It means wealthy consumers do well and spend freely while lower- and middle-income people struggle and scrimp. 

(訳) 最近の企業収益報告と消費者データは米国における家計の二極化を示しています。専門家はこれを“K-shaped” economyと呼びます。つまり、裕福な消費者は良い生活を送り自由に散財するのに対して、低所得層と中間層はお金に困り生活を切り詰めているのです。


旦 英夫 (ニューヨーク州弁護士)
◆著書「米語ウォッチ・アメリカの今を読み解くキーワード131」(PHP)    
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