最近多くのアメリカ人が、生活の中で環境汚染そして地球温暖化の元となるCO2(Carbon Dioxide 二酸化炭素)を排出することに罪悪感を持つようになっているそうです。実際、アメリカ人は年間に一人当たり15トンものCO2を排出しており、これは日本や主要な欧州諸国の約2倍にも相当します。このような環境に対する罪の意識はCarbon Guiltと呼ばれ、アメリカ人との会話によく出てきます。
筆者の周りでも、自分のCarbon Footprint (CO2の排出量)に気を遣う人がたくさんいます。まず車の使用を少なくしようと交通機関を利用し、車に乗る場合でもできるだけCarpooling(相乗り)をします。いつも買い物袋を 持参し、お店で袋をもらいません。自宅では、ゴミのリサイクルを徹底しています。報道によるとCarbon Guiltを理由として、飛行機に乗らない、すぐに捨てそうな服は買わない、牛肉の消費はしない(牛のゲップに含まれるメタンガスが温暖化の大きな原因)などという方針の人もいるようです。
関連して、Eco(Climate) -Anxietyという言葉もよく聞きます。これは、温暖化による地球環境の悪化に対し若い世代の多くが感じている不安です。 多くの企業が若者の不安を受けとめ、環境保護を社会的責任と認識し、太陽光、風力、地熱エネルギーへの転換の努力をしています。アメリカ政府の環境問題への取り組みが揺れる中、市民・企業の間にCarbon Guilt意識が厳然とあるのは、地球にとってせめてもの救いです。
(例文)A 2025 Yale Climate Communications study found that 61% of U.S. adults feel guilty about their carbon footprint. This phenomenon is often referred to as “carbon guilt” — a type of eco-anxiety that stems from the belief that our personal choices are either not enough or not impactful. (solarslice.com)
(訳)2025年のエール大学・気候コミュニケーションの調査によれば、アメリカ成人の61%が自分のCO2の排出量に罪の意識を感じています。この現象はしばしばCarbon Guiltと呼ばれます。つまり、環境保護に対する自分の行動選択が十分ではない、または大してよい影響をもたらしていないという考えからくる不安です。
旦 英夫 (ニューヨーク州弁護士)
◆著書「米語ウォッチ・アメリカの今を読み解くキーワード131」(PHP)
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