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第3回「Manosphere /男の「領域」」

ManosphereとはManとSphere(球体・仲間)を組み合わせた男の「領域」という言葉。男性至上主義や伝統的な男女の役割分担(つまり女性を従属的な立場に立たせる)を強調するインターネット上でのサイトを意味します。男らしさをひけらかし、体や精神的な強靭性を示して、自分の尊厳を誇りますが、同時に、Feminism (男女同権主義)を否定し、ひいては過激な Misogyny(女性嫌い)が飛び交う空間にもなっています。 

アメリカにおけるManosphereの高まりは、男性の自己肯定感が低下している反動と考えることもできます。失業や物価高騰などの経済問題が、多くの男性を苦しめており、打撃を受ける若い世代の男性たちは、女性との交際においても厳しい立場に置かれ、その逃げ場を求めているのでしょう。しかし、一旦Manosphereに浸かってしまうと、自分の弱さを人前で認められず、助けを求めることが難しくなります。その結果として、自分だけではなく周りの人々を傷つけがちだと、対人関係を見つめる専門家は心配しています。 

Manosphereはどこへ向かうのか・・・男女が平等に共生する社会を目指してきた文明社会が、男に内在する劣等感を感じさせるManosphereにどのように対処するのか、これはアメリカだけの現象ではないでしょう。 

(例文)The manosphere is controversial and often criticized for promoting misogyny, toxic masculinity and harmful stereotypes about both men and women. (Forbes) 

(訳)Manosphereは論議の的となっており、また、女性嫌い、悪意のある男性優位主義そして男女に関する有害な固定観念を助長するものとして、しばしば批判されています。

旦 英夫 (ニューヨーク州弁護士)
◆著書「米語ウォッチ・アメリカの今を読み解くキーワード131」(PHP)    
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