第4回 キャッシュバック・アプリを有効活用しよう!

前回までは、アメリカ生活におけるポイ活として、クレジットカードや銀行口座の開設ボーナスを紹介してきました。今回は、これらに追加で得られるポイントとして、キャッシュバックアプリを紹介いたします。買い物のたびに所定の手続きをすることでポイントが貯まるという仕組みです。ひと手間かかりますが、ちりも積もれば、、ということでポイ活をテーマにする上では無視できない分野かと思いますので、その中で、ポピュラーなものをいくつかピックアップしたいと思います。

Rakuten
https://www.rakuten.com/
 日本の「楽天」を知らないアメリカ人にとって「Rakuten」は、おそらくこのキャッシュバックサービスで有名だと思います。Rakutenはオンラインショッピングと実店舗でのキャッシュバックを提供するアプリです。Rakutenを経由して提携店舗で買い物をすると、自動的にキャッシュバックが受けられます。このアプリは特にオンラインショッピングで人気があり、多くの大手小売業者と提携しているため、幅広い選択肢があります。Rakutenでは、獲得したキャッシュバックはPayPalや小切手で受け取ることができるため、使い勝手も良好です。

Upside
https://www.upside.com
 Upsideは主にガソリンスタンドや飲食店での利用に特化したキャッシュバックアプリです。このアプリを使うことで、ガソリンを給油する際やレストランで食事をする際に、事前に指定された店舗を選択し、給油や支払い後にキャッシュバックを受け取ることができます。具体的には、ユーザーはアプリ内でお店を選び、「Claim」ボタンを押した後、実際に給油や会計を行うと、その情報が反映されてキャッシュバックが付与されます。銀行振込やPayPal、ギフトカードなど多様な換金方法も用意されています。日常的にガソリン車を使っている方は、例えば以前紹介したCiti Custom Cash Cardをガソリン用途専用にしてガソリン代の5%のキャッシュバックを得つつ、さらにUpsideでキャッシュバックを得ると、年間にすると結構な額になっているはずです。レストランも同様ですが、必ずしもそこで食べたいお店が参加しているとは限らないので、行きたいお店がオファー出しているかを確認するぐらいのスタンスがちょうど良いかと思います。一方、ガソリンは食事と違ってどこで入れてもガソリンはガソリン、ということでカードとダブルでポイントゲットする習慣がおすすめです。

Fetch Rewards
https://fetch.com/
 Fetch Rewardsはレシートスキャン型のキャッシュバックアプリであり、どんな店舗のレシートでも対象になります。このアプリでは、ユーザーが購入した商品のレシートをスキャンすることでポイントが貯まり、そのポイントはギフトカードなどに交換できます。特定のブランド商品を購入するとボーナスポイントが得られるため、日常的な買い物から簡単にポイントを貯めることができる点が魅力です。使い方も非常にシンプルで、レシートをアップロードするだけでポイントが加算されるため、多くの人々から支持されています。レシート1枚あたり2~3セントの価値なので、まとまったポイントを貯めるにはボーナスポイントがつく特定ブランドが自分の購入意欲に合うかどうか、というのはあります。一度試しにインストールして見てみるのが良いかと思います。

他にもIbotta, Shopkick, Doshなど同じようなコンセプトで、その提携先や手法が異なるものがありますので、ご自身の消費行動に合いそうなサービスを選ぶと良いかと思います。デメリットとしては地味に手間はかかることなので、自分のライフスタイルや買い物習慣に合わせて、最適なものを選ぶのがいいですね。こんなのあるの知らなかった、ではなく、知っているけど自分には合わないのでやらない、というのも合理的な選択かと思います。アメリカで他にやることはたくさんありますからね。

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番外編「米国で個人投資を始めるヒント~株式&CD~」

前回までは、米国でのクレジットカードでお得にポイントをもらう方法を書いてきましたが、今回は番外編で、米国での個人投資を始めるヒントについて書いてみます。最近、iDecoや新NISAといった政府の税制優遇を通じて日本人が急激に投資に参加していることがニュースになっている中、アメリカ在住の日本人として、投資を簡単に始めるにはどのようなものがあるか、というものです。

物価も高く旅行や教育などの出費がかさむ米国生活で、なかなか投資に回すような余裕資金をドルで持つのは難しいのは確かです。消費大国でもあり投資大国でもあるアメリカ、旅行や飲み会のお金の一部を投資に回し、消費だけでなく投資家としての視点で米国市場に少額でも参加してみると、アメリカとまた違った角度で関わっている気持ちになると思います。世界の金融の中心地のアメリカに住んでいながら、投資行動をもたないのもったいないですし、アメリカ人との会話の材料としても金額の大小関係なく個人的には有意義と感じています。とはいえ、投資ですので、儲かる場合もあれば損する場合もあるリスクを伴うものですので、投資自体はあくまで自己判断、ここではアメリカ在住でいつかは日本に帰る方の米国での投資の参加の仕方の第一歩を紹介します。

個人が行う投資として代表的なものに、株式、債券、不動産などありますが、ここでは比較的簡単に始めやすい株式とCD (Certificate of Deposit。債券に比較的考え方が近い)についてご紹介します。

Robinhoodなどアプリで気軽に始められる証券サービスもありますが、帰国後もインターナショナルアカウントとして日本にいながら口座を継続できるCharles Schwab証券をベースに紹介します。(他にも証券会社ありますが、ここでは私自身が使用しているCharles Schwabを紹介します)

Charles Schwabの場合、個人の取引口座として、年会費等がかからないBrokerage Accountを開きましょう。ウェブ上で開設手続きが完結します。インターナショナルアカウントには帰国が決まってから変更すればよいので、普通にBrokerage Accountを開設すればよいです。

日本にいたときは、投資にも無縁で預貯金だけ、という方もいらっしゃる方もしれません。先日も日本やアメリカで株価の乱高下がありましたし、投資に伴うリスクというのは確かに怖いものです。ですので、まずは定期預金の感覚に近いCDの紹介をします。日本では、長年のデフレに伴うゼロ金利の時代から「金利のある世界」に戻ると言われていますが、そうはいっても金利1パーセントをうかがうレベルなのに対し、アメリカは物価の上昇がようやく落ち着きFRBが金利を下げる準備をしている今でも短期でやっと5%を切ったような所。コロナ後すぐに「金利のある世界」に戻っているアメリカでは、普通預金に預けていても日本ではほとんどなきに等しかった「利息」がそれなりに目についている方もいらっしゃるのではないのでしょうか。そのように、使用している銀行やカードでもSaving Account等で定期預金のような感覚で利息を得ることももちろん可能ですが、ここでは、証券会社の口座を通すと、もう少し選択肢が広がり、一般的に金利がSaving Accountより高いものを選べるのでそちらを紹介します

こちらは実際のCharles Schwabの画面ですが、CDとあるのがCertificates of Depositの略で、横軸にある期間の間、売却せずに満期まで所有するともらえる年率換算の金利が記載されています。$1,000ドル単位での購入なので、そこまで「少額」とは言えないかもしれませんが、元本割れが心配ながらも、ある期間手を付ける予定のないドルを持ってる方には有用なのかと思います。それぞれをクリックするとさらに金融機関毎のCDが選べるようになっています。$250,000までFDICという仕組みで元本が保証されているものが載っています。ちなみにCDの下にあるのはUS Treasuriesというのは米国債のことです。

一方、株式の方は元本割れの可能性をはらむリスク商品ですので、このコラムではどの銘柄がどう、というのではなく、日本で新NISAをきっかけに利用者が増えた定額積立の投資信託にあたる取引ができることだけ紹介します。さすがに日本での新NISAのような税金の優遇はされませんが、毎月定額($100から)で米国のインデックスに手数料を気にすることなく投資をできる、という点では同じことができるので、検討してみてはいかがでしょうか。Charles Schwabのアカウントからは、Automatic Investingという項目でSchwab指定のインデックスの投資信託に自動積立の設定ができます。

証券取引は確定申告の対象となりますが、Charles Schwabですと例年2月の上旬に様式1099という書類が自動で発行されるので、それを確定申告時に提出することになります。
仕事、遊び、学びに忙しい米国生活の中で、以上のように気軽かつあまりストレスなく投資を始められる方法を紹介しました。繰り返しになりますが取引自体は慎重に自己のご判断で行ってくださいね。

ケニー
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第3回「迷ったらこの一枚!」

前回は、まだアメリカに住み始めたばかりでクレジットヒストリーがあまり貯まっていない状態での「最初の1枚」の紹介をしました。今回は、その後順調にスコアが貯まっていよいよ加入ボーナスが大きめなカードを狙っていく段階について解説します。

いわゆる「迷ったらこれ」と言える定番として、Chase Sapphire Preferred、American Express Goldがとても人気があります。また、CapitalOneが発行するVenture Xも人気です。時期にもよりますが、これらのカードは$700~$1,000相当の入会ボーナス価値が得られるので、「今回の航空券はほとんどポイントで賄えた~」という言葉の元となるものですね。これらのカードの特徴を、メリットだけでなく知っておきたい注意点も含めてふれていきたいと思います。

まず、どのカードでも共通のこととして、下記のポイントをおさえておきましょう。

  • ミニマムスペンドが期間内に払える算段をつけておく
  • Chase 5/24ルールを踏まえて、計画的なカード加入の順番とする
  • 紹介リンクを経由した方がボーナスが高い場合がある
  • 年会費を払い損にしない

第一回でも紹介しましたが、「ミニマムスペンド」は加入ボーナスがもらえる条件です。「新規加入者は60,000ポイント獲得!ただし、加入後3か月以内に$4,000ドル分カードを使った場合」というような、「ただし」以降の最低使用額と期間の条件です。無理なく条件を満たす見込みのあるタイミングで加入手続きをしましょう。ちょうど車の保険支払いがある、大型の家具を買う予定、などです。ボーナスをもらうがために本来不要だった消費額を増やすのは本末転倒です。

同じく第一回で言及した「Chase 5/24ルール」は、Chase系のカードは24か月の中でChase系以外も含めて通算5枚目までしかChaseのカードは発行しない、というルールです。ChaseではSapphire Preferred以外にも魅力的なカードがありますので、このルールを知らず後になって後悔するということがないよう、Chase以外のカードを作る場合は留意しておきましょう。

また、紹介リンクを経由した方がボーナスが高い場合があるので、周囲に自分がほしいカードを持ってる人がいたら、紹介リンクをもらって確認するといいです。紹介する側もReferral Bonusがもらえるので、Win-Winです。例えば、このコラム執筆中の2024年6月現在、Chase Sapphire Preferredは、通常の申し込みだと入会ボーナス60,000ポイントですが、紹介経由だと75,000ポイントとあります。時期によって変わるのと、ごくまれに紹介リンク経由の方がレートが悪いケースも見たことがあるので要確認です。

年会費を払い損にしない、というのも重要です。これら加入ボーナスが大きいものは、ほぼ例外なく年会費がかかります。何年かしたら払ってた年会費の方が加入ボーナスより高くなってた、というのは本末転倒ですね。各カードの年会費とのバランスについて以下で解説していきますので、参考にしてください。


Chase Sapphire Preferred

年会費は95ドルで、3カ月以内に$4,000使うと60,000ポイントのボーナスがもらえます。先程述べたように紹介リンク経由だと75,000ポイントです。

獲得したポイントは、基本的に100ポイントあたり$1もしくは提携航空会社の100マイル相当の価値ですが、Chase Travelという会員専用の旅行サイトを使うとポイントが1.25倍に換算され、100ポイントは$1.25の価値になります。60,000ポイントが$750の価値になる、というサイト上での表現はそれを意味しています。その会員専用サイトChase Travelは、ExpediaのサイトがChase用にカスタマイズされたようなイメージです。AmexもCapitalOneも似たようなTravelサイトを用意しています。ただし、サイトの見た目はExpediaですが、出ているフライトやホテルの値段はExpediaと違うものもあるので、私は実際に購入する際は見比べることにしています。

年会費95ドルが妥当かどうかは、当然加入後の使い方によります。航空券の値段はあまりサイト間で違いがないので、私はChase Travelで旅行用の航空券を買うことが何度かあります(ホテルはChase Travelが割高なケースがありますが、航空券は他とあまり変わらない傾向にあるため)。そのときに、1ポイントが1.25倍に換算されて使用できるのはありがたく、これは例えばレストランでのカード使用での還元3%が実質3.75%に相当することを意味します。Chase Travelでの買い物や、ライドシェアのLyftの利用は5%のポイントがつき、1.25倍すると実質6.25%というお得な還元率になります。さらにChase Travel経由でホテルを予約すると$50キャッシュバックされるので、レストランやLyftの利用が多く見込めて、旅行が多い方には年会費が損にならないカードと思います。

American Express Gold

Chase Sapphire Preferredとともに人気な、いわゆる「アメックスゴールド」も定番です。 24年7月現在、新規入会ボーナスは60,000ポイントですが、こちらも紹介コード経由で場合によっては90,000ポイントとなる場合もありますので要確認です。アメックスゴールドが人気なのは、その入会ボーナスもそうですが、ChaseではChase Travel向けに1.25倍しても3.75%相当だったレストラン使用での還元が、Amex Goldでは4%であったり、スーパー(Grocery)の買い物で4%分の還元ポイントがつくのも強みです(Costco, Target, WalmartはGroceryカテゴリーにカウントされないので、スーパーの買い物の大半がこれらの方は注意が必要です)。

このように還元率も魅力ですが、年会費を見てみると$250と安くない額ですね。この年会費ですが、使い方によっては「実質無料」とみなせるタイプと、払い損になるタイプが別れます。

Amex Goldでは、Dining Credit、Uber Cashというものでそれぞれ年間$120、合計$240が「返ってくる」という仕組みがあります。ほぼ$250の年会費を相殺する額ですね。しかし、これは無条件ということではなく、年間$120はあくまで月$10の12回分のキャッシュバックで、毎月条件をクリアする必要があります。Dining Creditは毎月Shake Shackなど所定のレストランで買い物をすると$10までバックされる、ということです。Uber Cashは、UberかUber Eatsでこれも毎月$10までバックするというものです。

これを確実に毎月$10ずつ取っていくのは簡単ではなく、本来必要でなかったのに半ばノルマのように取りに行くのはあまり健全ではないかと思います。これらを踏まえて、以下に挙げた項目が1つもあてはまらない場合は、年会費が払い損になる可能性が高いです。

  • 月に一度はUber or Uber Eatsを使う
  • 月に一度はShake ShackやGrubhubを(喜んで)使う
  • スーパーの買い物はCostco/Target/Walmartの比率が低い
  • 外食が多く、会食で立て替える機会も多い

しかしながら、年会費の払い損というのは入会後何年か経ってから起こるものですし、入会ボーナスも還元率も魅力が多く、在米日本人での安定した人気を見ても、まずは入会して、継続・退会・ダウングレードを探る、というのが良いかもしれません。ちなみに、次の年会費を払うタイミングの前月くらいに、「年会費が高いので退会を考えている」とカスタマーセンターに相談すると、リテンションオファーと呼ばれる特別条件がもらえる場合があるので、継続するつもりだとしてもチャレンジしてみる価値はあるかもしれません。

以上、人気のChase Sapphire PreferredとAmex Goldをご紹介しました。どちらも魅力的ですので、まずは両方に入り入会ボーナスの恩恵を享受して、追って退会・継続の判断をしていく、というやり方でもよろしいかと思います。配偶者がいる方は、紹介(Refer)をして配偶者も個別のカードを作ることで、紹介ボーナスとさらなる入会ボーナスが得られます。注意点としては、年会費が高いので、長年全てを持ち続けるというのは損が出てくる場合があるので、ご自身の使用実態に最も適したカードに整理していく必要があります。

次回は、CapitalOne Venture Xやその他ビジネスカード、年会費無料カードとの組み合わせなど、カード枚数が増えてくる段階のお話をしたいと思います。

ケニー
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第2回「渡米1年目のまず1枚」

前回は、アメリカでの「ポイ活のはじめ方」として、以下の基本ステップをお伝えしました。

  • SSNの取得
  • ANA/JAL発行のUSAクレジットカードにSSNを連絡する
  • ANA/JALのクレジットカードサイトで自分のクレジットスコアを確認する
  • 最初に入会するカードを検討する(前回「Amex」と書きましたが、Amexとは限りません)

SSN取得⇒ANA/JALカードまでの流れはほとんどの方に共通のステップなのではないかと思います。ANA/JAL以外でアメリカ1枚目のカードを作る所から、各個人で方法が別れていく所ですね。得も損も人それぞれですので、ご自身の駐在期間やライフスタイルを踏まえて最適な選択がとれる助けとなれるように解説していきたいと思います。

まずは前提となる駐在期間ですが、トレーニーや留学などの渡米で1年程度の短期なのか、3年~5年程度の任期か、はたまた任期不明、などさまざまかと思います。いずれにせよ、渡米年月によって以下のような流れが目安です。

渡米1年目:ひたすらクレジットヒストリーを積上げてスコアを上げて、JAL/ANA以外の「まず1枚」を作成する

渡米2年目:順調にクレジットスコアを積上げ、入会ボーナスの大きなカードを獲得していく

渡米3年目:ビジネスカードも織り交ぜて入会ボーナス獲得を続けるとともに、年会費・還元率とのバランスからカードのポートフォリオを吟味していく

渡米4年目以降:ここまで旺盛にカードを増やしていくと、Chase 5/24ルールやAmex系の入会ボーナスの獲得限度に到達し始めて、入会ボーナスは小粒になり還元率に視点が変わっていく

渡米一年目の「まず1枚」

今回は、上記の渡米1年目の「まず1枚」について解説します。どのカードが審査承認されるかは自分のクレジットスコアが大きく関係します。メジャーなクレジットスコアの算定機関にFICOやVantageScoreがありますが、JAL/ANAカードでもSSNをしっかりつないでいればウェブやアプリから確認可能です。

FICOの基準では、580点以上がFair、670点以上がGood、740点以上がVery Goodというような格付けをしていますが、「何点あったら絶対通る」という線引きは必ずしも明確ではないのであくまで参考です。前回にも書きましたが、スコアを上げていくための基本として、期限内にカード残高を支払うのはもとより、常に残高が限度額の3割以内に収まるように気をつけておきましょう。スコアが600点の半ばを超えてくると、Chase系はまだ難しくとも、Amexのカードが通りやすくなってくるので、検討どきかもしれません。そのころにはアメリカ生活にも慣れてきて、ある程度ご自身の消費行動も見えてきた頃かと思います。ここでいう「消費行動」は、自費負担だけでなく出張費などの自分のクレジットカードを使った立替行為も含みます。スーパーなどの買い物の家計支出、会社に請求できる立替払い(ホテル代、外食代、交通費、家賃など)が毎月どの程度なのか。ミニマムスペンド額の達成期間を見極める上でもそうですし、そもそもの家計管理として大事なポイントですね。

また、ポイントがこれから貯まっていくとして、そのポイントの使い先として自分に合うものなのか、のイメージも非常に大事です。例えば、Delta航空のマイルがお得に貯まるカードを作っても、近くの空港でDeltaの発着が少ないと使い勝手がよくありませんね。前回挙げた「Chaseの5/24ルール」(一人24か月間で5枚まで)も、ご自身お一人での米国生活なのか、配偶者と一緒かでもだいぶ心持ちが変わります。配偶者と合算で考えれば、5枚制約が実質10枚制約といえますので、最初の1枚の選択は、そこまで根を詰めて迷わなくてもいいと思います。一方、お一人での米国生活を前提とする場合、Chaseのカードの種類を一通り眺めておいた方がいいかもしれません。私個人的にはChaseで5枚もカードは必要ではなく、それより先に他のカードの恩恵が欲しかった部類ですが、そうでなくChase系を揃えたい方は、厳しい審査が承認されるときが来るまでじっくりクレジットスコアを貯め続けるのも一つの選択肢です。

渡米間もないうちに、入会ボーナス・還元率双方で魅力的なAmex GoldやChase Sapphireなどはスコアが700超えたあたりでないと承認が難しいので、1枚目からいきなりは狙えないのが大半です(ただし、日本でAmexをある程度使っていた方については、日本でのヒストリーがAmexでは引き継げるので、Amexに確認してみるといいかもしれません)。

おすすめとしては、渡米1年目で見えてきたご自身のアメリカ生活のおカネの出入りを一度俯瞰して、ご自身にしっくりくるものを自分なりの理由をもって選んでみることです。例を挙げると、年会費が無料のものを中心に以下を挙げてみました。

  • 地味だが後々カードが増えても出番あり=Citi Custom Cash Card
    入会ボーナスは$200相当と地味ですが、年会費無料でクレジットスコア平均640と他のものより審査が通りやすいです。年会費無料なので後になっても持ち続けていればよく、「毎月自分で使ったトップカテゴリーの$500までは5%還元」というのは、まだ駐在一年目として支出の変動が大きく消費傾向が読みにくい中で、とにかく何かは5%対象になるはずです。また、後々にカードを複数枚持ったとしても、例えばTicketmasterなどで買うチケット代にスポットで使ったり、外食代、ガソリン代、電車代、など5%還元対象のカテゴリーの専用カードにしたりすることで、5%という他のカードではつかない高いレベルでの還元を享受できます。地味ですがしぶとく出番のあるカードと言えます。
  • 家賃支払いがある=BILT Card
    家賃支払いに対してポイントがつくのは私が知る限りこのカードだけです。年会費無料ですし、還元率は現金価値で$1あたり0.5%と低い(ただし、BILTサイト経由でフライト・ホテル取ると1%)ですが、駐在期間が長いほどトータルの家賃支払い額は大きいので、いずれは持っておきたいカードです。ただし、限度額が低く設定される傾向があるので、前述した残高を常に上限の30%以内に収める、というのが家賃という大きな額でコントロールするのは難しいので、家賃を払う際はクレジットではなくBiltProtect Debitという機能で払うようにするとスコアの減点の心配がなく安心かと思います。必要クレジットスコアは670以上と言われており、上述のCiti Custome Cash Cardより少し厳しめですね。
  • スーパーやガソリンの支出が多い= Amex Blue Cash Everyday
    入会ボーナスは$200(2024年5月現在)と地味ながら、年会費無料でスーパーやオンラインでの買い物(Target, Walmart, Costcoなど例外あり)やガソリン代が3%還元と生活者の味方です。後々Amex Gold(スーパー4%還元等、必要平均スコア690以上)を持つ場合には用済みになる可能性ありますが、Goldよりも審査基準の低いこちらをまず持つのも選択肢かもしれません。
  • あくまでChaseにこだわる=Chase Freedom Unlimited
    Chaseの中では比較的審査が通りやすいカードですが、そこはやはりChaseで他のカードに比べると審査は厳しい傾向があります。年会費無料で、入会ボーナス$200相当、レストランで3%還元は食事の立替が多い方にはうれしいですし、その他どのカテゴリーも1.5%つくのは地味ですがじわじわ効くのでうれしい特典です(他のカードは大体1%)。留意点としては、このカードで貯めたポイントは使わないようにしておくことです。いずれ上位のSapphire Preferredを使うようになる際、このカードで貯めたポイントを1.25倍に変換することができるからです。年会費無料のChaseカードとしては良いカードだと思います。
  • 出張が多い=Delta, Marriott, Hiltonなどエアラインやホテル系のカードがAmexやChaseで種類が多くあり、自分がよく使うキャリアのカードを持っておくとポイントが貯まりやすいです。この手のものは魅力的な入会ボーナスが付随し、それらは年会費や必要クレジットスコアも高めになるので、最初の1枚にはハードルが高いかもしれませんが、出張等で使う頻度が多い方は入会ボーナスだけでなく後々のポイントの積算にもいいので、視野に入れておくと良いかもしれません。たとえクレジットカードはまだ作らずとも、各キャリアの会員には入って、マイルやポイントを貯めておくことは忘れないようにしましょう。いずれカードを作るときに、そのマイルやポイントは合算されますので。また、特にAmexは時期によって入会ボーナスが変わったり、知り合いからの紹介リンクを経由すると入会ボーナスが増えたりすることがあるので、周りの人にも確認してみるとよいでしょう。

以上、今回はアメリカ生活1年目を想定したクレカや銀行口座のポイ活的始め方について解説させていただきました。次回は、その後カード枚数を増やしていくにあたってのポイントにふれたいと思います。ご質問ありましたら、プレゼント応募のフォームに書き込んでいただければ、可能な限り次回の記事に反映したいと思います!

銀行口座にもボーナスが!

さて、クレジットカードから少しずれますが、アメリカでは銀行口座も入会ボーナスがあるので、押さえておきましょう。アメリカで仕事をされている方は、銀行振込で毎月給与が振り込まれる場合がほとんどかと思います。その中で、渡米前に日本にいながら口座開設手続きができるUS Bank(旧Union Bank)をメインに使われる方が多いかと思います。最初の生活立上げはそれがとても便利ではあるのですが、ポイ活的には銀行口座をUS Bankだけで米国生活を全うするのはもったいないです。2024年5月現在、例えばChase銀行は、日本でいう普通口座(Checking Account)を開き、90日以内に$500以上の給与振込が実施されれば$300のボーナスがもらえます。

https://account.chase.com/consumer/banking/HM73729

ボーナス獲得後も、毎月$500以上の給与振込がある場合は月$12の口座維持手数料も無料となるので、アメリカで定期収入があるうちは口座を持って損はありません。US Bankと比べると支店も全米で多く、車の売買などの高額取引や着任・帰任時の特別な手続きの際に支店が近くにあると何かと便利です。ちなみに、審査の厳しいChase系のクレジットカードも、Chaseの銀行口座を持っていると審査に有利、という説が一時期ありましたが、どれほど効果があるのかは不明で、それは都市伝説だと言う方もいます。

CitiやWells Fargoなど他の大手銀行でも似たような$300開設ボーナスをやっていますが、条件はいくつか違うのでよく確認して、自分の住んでいる所からの利便性など考慮して自分に合ってそうな銀行の口座を開設してみましょう。配偶者がいて、配偶者に定期収入のない方は、口座の名義は夫婦両名併記のジョイント口座とするのがおすすめです。公共料金の請求先など、何かと夫婦どちらか一方の名義で固めてしまいがちなので、配偶者の住所証明をする際に、銀行のステートメントが役に立つことがあります。(クレジットカードについては、夫婦で紹介しあって紹介ボーナスを稼ぐのが王道なので、夫婦別名義が鉄則ですが!)

以上、今回はアメリカ生活1年目を想定したクレカや銀行口座のポイ活的始め方について解説させていただきました。次回は、その後カード枚数を増やしていくにあたってのポイントにふれたいと思います。ご質問ありましたら、プレゼント応募のフォームに書き込んでいただければ、可能な限り次回の記事に反映したいと思います!

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第1回「ポイ活のはじめ方」

今回は、アメリカでのポイ活の定番であるクレジットカードの活用について、基本から解説したいと思います。アメリカ生活に慣れてくるにつれ「ポイントで今回はタダで旅行ができた」「おトクなカードがあるから紹介するよ」などという声が耳に入る機会が出てくるかと思います。聞いたことがない方でも、「なんとなく気になる」「おトクとは言うけど何か落とし穴もありそうで面倒」など、関心はあるもののなかなか時間が取れなかったり、実際の行動を取るのに必要な情報が足りないと感じている方向けに、私自身の体験も踏まえてお伝えしたいと思います。

昔の自分に教えてあげたい・・

私も日本にいた頃は、クレジットカードで航空会社のマイルを効率よく貯めたり、ふるさと納税、iDecoなど、やり方次第で「おトク」となることには割と熱心に取り組んでいました。公認会計士という性格上、他にも株式・債券・仮想通貨など金融リテラシーを高めるのに役立ちそうなものには関心をもって取り組んでいました。そんな私ですが、アメリカに赴任した当初は、なんせ子供の学校などの生活の立上げや仕事に慣れるのに忙しくてポイ活どころではありませんでした。まともにポイ活といえるレベルの行動を始めたのは赴任して2年目の頃だったので、今思えばもったいなかったな、と感じます。今から赴任当時の自分に教えてあげるつもりで、ここまで5年以上アメリカでポイ活してきた中で、「要するにこういうこと」というのをまとめてみます。ご参考になれば幸いです。

本当におトク?

まず、「おトクとは言うけど何か落とし穴もありそうで面倒」という点、なにしろこれは私が当時思っていたことです。モヤモヤしたまま時間だけが過ぎていったので、これに関して私なりの結論を先に書きます。「おトク」というのは、日本のカードと比べて考えると、段違いでおトクなのはこれはもう間違いありません。日本ですと、カードの入会ボーナスは大体数千円相当、良くても1万円前後だと思いますが、アメリカでは一つ桁が違うほどです。使った金額に対するポイント付与率も大きいです。どういうからくりでそんなことが可能なのでしょうか?これは、カード社会のアメリカにおいて、(審査の基準を満たすような属性の人達は)一人あたりのカード使用額は日本より大きく、またカード会社が我々からでなく加盟店から得る手数料収益も大きい構造があるためです。カード会社は、数年でアメリカからいなくなってしまう駐在員ではなく、何十年単位でカードで消費し続ける個人を念頭にボーナスプログラムを組んでいます。大胆なボーナスポイントの付与は、カード会社が採算度外視でやっているものではなく、トータルではカード会社にとって合理的な新規顧客獲得手段だと考えられます。このような背景から、ボーナスマイルや付与率のノリが日本水準のままのカードだけでアメリカ生活を終えてしまうのは、本当にもったいないことだと今は断言できます。

落とし穴は?

「何か落とし穴もありそう」について敢えて挙げるとすると、管理の仕方によっては、年会費を何回か払っているうちに、入会ボーナスでもらった額が相殺されてしまう場合があり得ること、です。もう一つは、カードを複数でもつと家計の支出の管理が大変になる、というこの二点かと思います。いずれも対策する方法は豊富にあるので、そこは別の回で解説します。「面倒」については、こればかりは家計に対する個人の考え方次第になります。「そこまでしてトクしたいか」「その労力を他に費やしたい」というのもごもっともだと思います。合う・合わない、は確かにあると思います。おカネに困っていないご家庭もおられるかとも思います^^)。最後は、「得も損も人による」ものなので、「ほぼ全員にあてはまるケース」から、「人によっては損得が別れるケース」、など段階を追ってお話したいと思います。

どうはじめたらいいか?

まずは、はじめの一歩としてほとんどの人で共通して通るステップを解説したいと思います。そのために、最低限知っておきたい以下の基礎知識を抑えつつ、何をしていけばいいのか、を解説します。

  • クレジットヒストリー
  • ポイントの種類(入会、紹介、継続、使用ポイント)
  • Chaseの「5/24ルール」
  • ミニマムスペンド

クレジットヒストリー

アメリカで生活するにあたり、ほとんどの方がSSN(ソーシャルセキュリティーナンバー)を取得するかと思います。これがないとカードが作れないですし、アメリカで生活する上でSSNとパスポートは自分の身分保証の拠り所になりますね。なので、クレジットカードの話とは関係なく、なるべく早く取得しておきたいものです。このSSNと紐づけて、その個人の支払い能力をその履歴(クレジットヒストリー略して「クレヒス」)をもとに第三者機関がスコア化したものがクレジットスコアで、カード会社が入会審査の時に参照しています。つまり、これがないとここで言うポイ活が始められないほど重要なものです。しかし、誰もが最初はヒストリー「無」の状態ですから、最初に必要な情報としてはそれをどう構築していくかですね。日本出身の方ですと、最初のアプローチはSSNもクレヒスも不要で作れるJALUSA CARDもしくはANA CARD USAというクレジットカードでヒストリーを作っていく、ほぼこの一択(JALかANAかという意味では二択)です。SSNなしでも作れてしまうこのカードの注意点としては、SSNが取得できたあとに連絡するのを忘れると、クレヒスへの反映が滞るという点です(私がそうでした!)。自分のアメリカでの支払い履歴が公式にクレジットヒストリーとしてリンクされる大事なアクションなので、これがアメリカポイ活の第一ステップとなります。配偶者がいる方は、配偶者の分もお忘れなく! ちなみにJAL/ANAどちらのカードもリダックくらぶ入会特典で初年度年会費が無料になるので、こちらも是非お忘れなく。

JALリンク https://redacclub.com/benefit/jalusacard/
ANAリンク https://redacclub.com/benefit/anacard-usa/

その後のクレジットスコアの上げ方についての解説サイトは日米たくさんあり、その重要性の高さを表していますが、基本的には、カードの支払いを期日内に支払うこと、期日前であっても最大使用可能額の30%以内に残高が収まるように支払いを進めておくこと、この2つを意識していれば大丈夫です。クレジットスコアは、通常カード会社のウェブを通じて確認可能で、JAL/ANAカードも当然今自分がスコアがいくらなのか見ることができます。

ポイントの種類

「おトク」と言われている特典ですが、そのもらい方・使い方としては各カード会社が発行するポイントを特典に変換して、旅行に使ったりすることになります。そのポイントの種類は、入会ボーナス、カードの使用額に応じたポイント、紹介ボーナス、継続ボーナスの四種類に分類できます。入会ボーナスは、入会後に最低使用額(ミニマムスペンド)を期間内に使うことで得られるもので、ものによっては$1,000を超える価値もあるので、カードを選ぶ上で非常に重要な要素です。カード使用額に応じたポイントは、$1ごとに1ポイント、のようなものでイメージしやすいかと思います。レストランだと4倍、ガソリンだと3倍、など品目によって付与率に特色がカードによって分かれており、中長期で差が出てくるポイントです。紹介ボーナスは、友人など他の人の入会を仲介することでもらえるポイントで、1人につき$100から場合によっては$200相当の紹介ボーナスがもらえます。継続ボーナスは、会員を翌年継続するともらえるポイントのことで、これにより実質年会費が無料になるものもあれば、このプログラムがないカードもあります。特に渡米後まもない初期段階では、この中でも入会ボーナスのおトクさを第一優先、次に使用に応じたポイント付与率、他はおまけ、ぐらいにして検討すると良いです。

Chaseの「5/24ルール」

American Expressと並んでポイ活の王道であるChase系のクレジットカードですが、5/24という暗黙のルールがあるので、それを踏まえた上でカードを作る順番を決めていくのがスマートです。基礎知識として挙げた四つのうち、これが一番とっつきにくいかと思うので、最初はその存在があることを認識しておくだけでも大丈夫です。これは5月24日に何かがある、わけではなく、過去24ヶ月(2年)以内に5枚以上のクレジットカード(Chase以外も含む個人カードすべて)をアメリカで作っていると、Chaseが発行するクレジットカードを新たに作れないというルールです。別のカードを5枚以上作った後になってから、Chaseカードが欲しくなっても作れないからご注意を、ということです。ひとまずはこのルールがあるということだけを知っておけばいい、と先程書いた理由は、そもそもChaseは審査が厳しく、クレジットヒストリー構築間もない状態では作りたくても作れないカードだからです。個人差はありますが、Chaseの審査が通るようになるのに1年程度はかかると考えておきましょう。まずは比較的審査が緩やかなAmexで自分に合ったカードをまず1枚作ってみる、というのをおすすめします。多くの人が勧めるAmerican Express Gold Cardが王道ではありますが、1枚目として万人に最適か、というと人によって異なってくるので、この辺りは別の回に解説させてください。

ミニマムスペンド

おトクな入会ボーナスですが、入会したら無条件でもらえるわけではありません。例えば「入会ボーナス7万ポイント。ただし入会後3か月以内に$1,500以上カードを使うこと」というような、ミニマムスペンド(最低必要使用額、略してミニスぺ)が設定されているのが普通です。入会ボーナス目当てで加入するわけですから、それがもらえないと意味ありません。一方で、ボーナスのために本来不必要な買い物をするのは本末転倒ですね。加入前にはこの「ミニスぺ」とご自身の消費行動が合っているかを確認した上で加入のタイミングを決めることをおすすめします。

まとめ

ここまで読んでいただきありがとうございます。それでは今から何をしておくべきか?のまとめです。

  • SSNの取得
  • ANA/JAL発行のUSAクレジットカードにSSNを連絡する
  • ANA/JALのクレジットカードサイトで自分のクレジットスコアを確認する
  • 最初に入会するAmexを検討する(Amex Gold Card等)

ここまでが、ほとんどの日本からの赴任者が辿る道で、これをなるべく早く短く行うことが、アメリカでのポイ活(私にとっては旅行の貴重な財源)のはじめの一歩、となります。次回は、「最初の1枚」からChaseを絡めた複数枚を選ぶ際の考え方を解説したいと思います。

ケニー
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