第2回「渡米1年目のまず1枚」

第2回「渡米1年目のまず1枚」

米国公認会計士のベテラン駐在員がアメリカのポイ活の基本を解説します

更新日: 2024年05月15日

前回は、アメリカでの「ポイ活のはじめ方」として、以下の基本ステップをお伝えしました。

  • SSNの取得
  • ANA/JAL発行のUSAクレジットカードにSSNを連絡する
  • ANA/JALのクレジットカードサイトで自分のクレジットスコアを確認する
  • 最初に入会するカードを検討する(前回「Amex」と書きましたが、Amexとは限りません)

SSN取得⇒ANA/JALカードまでの流れはほとんどの方に共通のステップなのではないかと思います。ANA/JAL以外でアメリカ1枚目のカードを作る所から、各個人で方法が別れていく所ですね。得も損も人それぞれですので、ご自身の駐在期間やライフスタイルを踏まえて最適な選択がとれる助けとなれるように解説していきたいと思います。

まずは前提となる駐在期間ですが、トレーニーや留学などの渡米で1年程度の短期なのか、3年~5年程度の任期か、はたまた任期不明、などさまざまかと思います。いずれにせよ、渡米年月によって以下のような流れが目安です。

渡米1年目:ひたすらクレジットヒストリーを積上げてスコアを上げて、JAL/ANA以外の「まず1枚」を作成する

渡米2年目:順調にクレジットスコアを積上げ、入会ボーナスの大きなカードを獲得していく

渡米3年目:ビジネスカードも織り交ぜて入会ボーナス獲得を続けるとともに、年会費・還元率とのバランスからカードのポートフォリオを吟味していく

渡米4年目以降:ここまで旺盛にカードを増やしていくと、Chase 5/24ルールやAmex系の入会ボーナスの獲得限度に到達し始めて、入会ボーナスは小粒になり還元率に視点が変わっていく

渡米一年目の「まず1枚」

今回は、上記の渡米1年目の「まず1枚」について解説します。どのカードが審査承認されるかは自分のクレジットスコアが大きく関係します。メジャーなクレジットスコアの算定機関にFICOやVantageScoreがありますが、JAL/ANAカードでもSSNをしっかりつないでいればウェブやアプリから確認可能です。

FICOの基準では、580点以上がFair、670点以上がGood、740点以上がVery Goodというような格付けをしていますが、「何点あったら絶対通る」という線引きは必ずしも明確ではないのであくまで参考です。前回にも書きましたが、スコアを上げていくための基本として、期限内にカード残高を支払うのはもとより、常に残高が限度額の3割以内に収まるように気をつけておきましょう。スコアが600点の半ばを超えてくると、Chase系はまだ難しくとも、Amexのカードが通りやすくなってくるので、検討どきかもしれません。そのころにはアメリカ生活にも慣れてきて、ある程度ご自身の消費行動も見えてきた頃かと思います。ここでいう「消費行動」は、自費負担だけでなく出張費などの自分のクレジットカードを使った立替行為も含みます。スーパーなどの買い物の家計支出、会社に請求できる立替払い(ホテル代、外食代、交通費、家賃など)が毎月どの程度なのか。ミニマムスペンド額の達成期間を見極める上でもそうですし、そもそもの家計管理として大事なポイントですね。

また、ポイントがこれから貯まっていくとして、そのポイントの使い先として自分に合うものなのか、のイメージも非常に大事です。例えば、Delta航空のマイルがお得に貯まるカードを作っても、近くの空港でDeltaの発着が少ないと使い勝手がよくありませんね。前回挙げた「Chaseの5/24ルール」(一人24か月間で5枚まで)も、ご自身お一人での米国生活なのか、配偶者と一緒かでもだいぶ心持ちが変わります。配偶者と合算で考えれば、5枚制約が実質10枚制約といえますので、最初の1枚の選択は、そこまで根を詰めて迷わなくてもいいと思います。一方、お一人での米国生活を前提とする場合、Chaseのカードの種類を一通り眺めておいた方がいいかもしれません。私個人的にはChaseで5枚もカードは必要ではなく、それより先に他のカードの恩恵が欲しかった部類ですが、そうでなくChase系を揃えたい方は、厳しい審査が承認されるときが来るまでじっくりクレジットスコアを貯め続けるのも一つの選択肢です。

渡米間もないうちに、入会ボーナス・還元率双方で魅力的なAmex GoldやChase Sapphireなどはスコアが700超えたあたりでないと承認が難しいので、1枚目からいきなりは狙えないのが大半です(ただし、日本でAmexをある程度使っていた方については、日本でのヒストリーがAmexでは引き継げるので、Amexに確認してみるといいかもしれません)。

おすすめとしては、渡米1年目で見えてきたご自身のアメリカ生活のおカネの出入りを一度俯瞰して、ご自身にしっくりくるものを自分なりの理由をもって選んでみることです。例を挙げると、年会費が無料のものを中心に以下を挙げてみました。

  • 地味だが後々カードが増えても出番あり=Citi Custom Cash Card
    入会ボーナスは$200相当と地味ですが、年会費無料でクレジットスコア平均640と他のものより審査が通りやすいです。年会費無料なので後になっても持ち続けていればよく、「毎月自分で使ったトップカテゴリーの$500までは5%還元」というのは、まだ駐在一年目として支出の変動が大きく消費傾向が読みにくい中で、とにかく何かは5%対象になるはずです。また、後々にカードを複数枚持ったとしても、例えばTicketmasterなどで買うチケット代にスポットで使ったり、外食代、ガソリン代、電車代、など5%還元対象のカテゴリーの専用カードにしたりすることで、5%という他のカードではつかない高いレベルでの還元を享受できます。地味ですがしぶとく出番のあるカードと言えます。
  • 家賃支払いがある=BILT Card
    家賃支払いに対してポイントがつくのは私が知る限りこのカードだけです。年会費無料ですし、還元率は現金価値で$1あたり0.5%と低い(ただし、BILTサイト経由でフライト・ホテル取ると1%)ですが、駐在期間が長いほどトータルの家賃支払い額は大きいので、いずれは持っておきたいカードです。ただし、限度額が低く設定される傾向があるので、前述した残高を常に上限の30%以内に収める、というのが家賃という大きな額でコントロールするのは難しいので、家賃を払う際はクレジットではなくBiltProtect Debitという機能で払うようにするとスコアの減点の心配がなく安心かと思います。必要クレジットスコアは670以上と言われており、上述のCiti Custome Cash Cardより少し厳しめですね。
  • スーパーやガソリンの支出が多い= Amex Blue Cash Everyday
    入会ボーナスは$200(2024年5月現在)と地味ながら、年会費無料でスーパーやオンラインでの買い物(Target, Walmart, Costcoなど例外あり)やガソリン代が3%還元と生活者の味方です。後々Amex Gold(スーパー4%還元等、必要平均スコア690以上)を持つ場合には用済みになる可能性ありますが、Goldよりも審査基準の低いこちらをまず持つのも選択肢かもしれません。
  • あくまでChaseにこだわる=Chase Freedom Unlimited
    Chaseの中では比較的審査が通りやすいカードですが、そこはやはりChaseで他のカードに比べると審査は厳しい傾向があります。年会費無料で、入会ボーナス$200相当、レストランで3%還元は食事の立替が多い方にはうれしいですし、その他どのカテゴリーも1.5%つくのは地味ですがじわじわ効くのでうれしい特典です(他のカードは大体1%)。留意点としては、このカードで貯めたポイントは使わないようにしておくことです。いずれ上位のSapphire Preferredを使うようになる際、このカードで貯めたポイントを1.25倍に変換することができるからです。年会費無料のChaseカードとしては良いカードだと思います。
  • 出張が多い=Delta, Marriott, Hiltonなどエアラインやホテル系のカードがAmexやChaseで種類が多くあり、自分がよく使うキャリアのカードを持っておくとポイントが貯まりやすいです。この手のものは魅力的な入会ボーナスが付随し、それらは年会費や必要クレジットスコアも高めになるので、最初の1枚にはハードルが高いかもしれませんが、出張等で使う頻度が多い方は入会ボーナスだけでなく後々のポイントの積算にもいいので、視野に入れておくと良いかもしれません。たとえクレジットカードはまだ作らずとも、各キャリアの会員には入って、マイルやポイントを貯めておくことは忘れないようにしましょう。いずれカードを作るときに、そのマイルやポイントは合算されますので。また、特にAmexは時期によって入会ボーナスが変わったり、知り合いからの紹介リンクを経由すると入会ボーナスが増えたりすることがあるので、周りの人にも確認してみるとよいでしょう。

以上、今回はアメリカ生活1年目を想定したクレカや銀行口座のポイ活的始め方について解説させていただきました。次回は、その後カード枚数を増やしていくにあたってのポイントにふれたいと思います。ご質問ありましたら、プレゼント応募のフォームに書き込んでいただければ、可能な限り次回の記事に反映したいと思います!

銀行口座にもボーナスが!

さて、クレジットカードから少しずれますが、アメリカでは銀行口座も入会ボーナスがあるので、押さえておきましょう。アメリカで仕事をされている方は、銀行振込で毎月給与が振り込まれる場合がほとんどかと思います。その中で、渡米前に日本にいながら口座開設手続きができるUS Bank(旧Union Bank)をメインに使われる方が多いかと思います。最初の生活立上げはそれがとても便利ではあるのですが、ポイ活的には銀行口座をUS Bankだけで米国生活を全うするのはもったいないです。2024年5月現在、例えばChase銀行は、日本でいう普通口座(Checking Account)を開き、90日以内に$500以上の給与振込が実施されれば$300のボーナスがもらえます。

https://account.chase.com/consumer/banking/HM73729

ボーナス獲得後も、毎月$500以上の給与振込がある場合は月$12の口座維持手数料も無料となるので、アメリカで定期収入があるうちは口座を持って損はありません。US Bankと比べると支店も全米で多く、車の売買などの高額取引や着任・帰任時の特別な手続きの際に支店が近くにあると何かと便利です。ちなみに、審査の厳しいChase系のクレジットカードも、Chaseの銀行口座を持っていると審査に有利、という説が一時期ありましたが、どれほど効果があるのかは不明で、それは都市伝説だと言う方もいます。

CitiやWells Fargoなど他の大手銀行でも似たような$300開設ボーナスをやっていますが、条件はいくつか違うのでよく確認して、自分の住んでいる所からの利便性など考慮して自分に合ってそうな銀行の口座を開設してみましょう。配偶者がいて、配偶者に定期収入のない方は、口座の名義は夫婦両名併記のジョイント口座とするのがおすすめです。公共料金の請求先など、何かと夫婦どちらか一方の名義で固めてしまいがちなので、配偶者の住所証明をする際に、銀行のステートメントが役に立つことがあります。(クレジットカードについては、夫婦で紹介しあって紹介ボーナスを稼ぐのが王道なので、夫婦別名義が鉄則ですが!)

以上、今回はアメリカ生活1年目を想定したクレカや銀行口座のポイ活的始め方について解説させていただきました。次回は、その後カード枚数を増やしていくにあたってのポイントにふれたいと思います。ご質問ありましたら、プレゼント応募のフォームに書き込んでいただければ、可能な限り次回の記事に反映したいと思います!

ケニー
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