第35回【医師監修】世界で猛威を振るうマイコプラズマ肺炎とは?
第35回【医師監修】世界で猛威を振るうマイコプラズマ肺炎とは?
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更新日: 2024年12月08日
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【医師監修】世界で猛威を振るうマイコプラズマ肺炎とは?
いま、マイコプラズマ肺炎が世界中で大流行しています。最後に大規模な流行が報告されたのは2016年であり、約8年ぶりの流行です。この感染症は、特にヨーロッパやアジア地域で感染者が増加しており、学校や家庭内での集団感染が報告されています(日本呼吸器学会他, 2024)。通常、マイコプラズマ肺炎は3~7年ごとに流行し、1~2年続くことが知られていますが、コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行により、感染症対策を徹底していたため、インフルエンザなどと同様に感染者が少なかったことが、流行期間が空いた一因と考えられます(厚生労働省, 2024)。今回は、マイコプラズマ肺炎の症状や原因、予防法などを医師に解説してもらいました。
- マイコプラズマ肺炎の原因と特徴
マイコプラズマ肺炎は、肺炎マイコプラズマという細菌が引き起こす呼吸器感染症です。他の肺炎とは異なり、学童期から成人に多くみられ、高齢者では感染例が少ないという特徴があります。ほとんどの症状は軽度で自然に治る場合が多いですが、まれに重症化するケースも報告されています(厚生労働省, 2024)。かつてこの病気は、4年に一度流行する傾向があったため、「オリンピック肺炎」と呼ばれていました。しかし、近年ではその周期性が見られなくなっています(日本呼吸器学会他, 2024)。 - 世界的な流行状況
2023年秋以降、フランスや北欧諸国で流行が報告されています。フランスではPCR検査での陽性者が増えていることに加え、小児や大人でクラスターも発生しています(Santé publique France, 2023)。米国では、コロナウイルス感染症以前は3~7年ごとに流行が確認されていましたが、2024年に小児の感染者増加が報告されています(CDC, 2024)。中国では、2023年5月以降、マイコプラズマ肺炎をはじめとした小児の感染症患者が増加し、外来、入院ともに患者が増加しています(WHO, 2023)。ただし、世界的な流行状況の詳細な把握は難しく、統一的な診断基準を採用していない国も多いため、地域ごとの感染動向には注意が必要です(ECDC, 2023)。 - 感染経路と症状
感染した人と接触したり、咳の飛沫を吸い込んだりすることで感染すると言われています。家庭や学校などでの感染が多く、潜伏期間が長く2〜3週間くらいとされています(日本呼吸器学会他, 2024)。症状は一般的な肺炎と似ていて、発熱、咳、頭痛、倦怠感などが主な症状ですが、マイコプラズマ肺炎では頑固な咳が多くみられます。咳は遅れて始まることもあり、熱が下がった後も 3〜4 週間と続くのが特徴です。多くは軽い気管支炎で済みますが、一部では肺炎や重症化が見られ、5~10%未満のケースでは中耳炎、胸膜炎、心筋炎、髄膜炎などを併発することもあります。マイコプラズマ肺炎は潜伏期間が長く、症状が比較的軽いケースも多いため、気づかないうちに感染を広げてしまう可能性があります(厚生労働省, 2024)。 - マイコプラズマ肺炎の予防法と対処法
現在、マイコプラズマに対する予防接種はありません。手洗いや消毒、うがいなど、下記のような基本的な感染対策を徹底することで、感染のリスクを下げることができます。
手洗い・うがいの徹底:感染予防の基本である手洗いを徹底し、外出先から帰宅後はうがいを行いましょう。周囲に感染者がいるときは、マスクを着用することも大切です。
マイコプラズマ肺炎の予防法と対処法
- しっかりと手洗いと消毒をする
- 外出時は人混みを避ける
- マスクを着用する
- 帰宅時にはうがいをする
- 屋外と屋内で衣服を替える
まとめ
風邪に似た発熱、頭痛などの症状が治まっても、咳が1週間以上続く場合は、病院を受診するようにしましょう。まれに重症化することもあるので、咳だけだからと放置しないことが大切です。マイコプラズマ肺炎は軽症で済むケースが多いものの、流行が拡大している地域では学校や家庭内での集団感染が増えています。特に2024年の大流行は過去の感染動向を上回る規模となっており、適切な予防対策と早期受診が重要です。自分と周囲を守るために、正しい知識と対策を身につけましょう。
ご自身やご家族に、しつこい咳など気になる症状がある場合は、ヨクミルで日本人医師に相談しましょう。必要な検査、市販薬などのアドバイスも可能です。
監修医紹介
齋藤みずき先生(内科・総合診療科)
産業医、救急科専門医として、企業の産業医や、一般内科外来で発熱、喉の痛み、咳などの風邪症状、腹痛、軽いケガの対処、慢性疾患の診察と薬の処方などに当たってきました。医療機関を受診した方が良いか迷っている方、現地の医師の説明が理解できない方や「ストレスが溜まっているので、日本語で話を聞いてほしい!」という方に利用していただきたいです。カナダ在住。
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