第28回「子供が毎日在宅で遠隔授業。家庭でのスケジュールをどうする?」

第28回「子供が毎日在宅で遠隔授業。家庭でのスケジュールをどうする?」

現地校に関するお悩みにお応えするコラムです。今回は"オンライン授業"をテーマにお届けします。

更新日: 2020年04月17日

今年初めには考えてもみなかったコロナウィルスの世界感染拡大。米国も現在悲惨な状況下にあります。そんな中、学校は全て閉鎖し、子供たちは在宅で学習を続けなければいけません。今回はそのような状況で、遠隔学習と遊びなどのバランスなどで悩んでおられるケースを取り上げたいと思います。


Q.

ニューヨーク在住で公立小学校に通う4年生の男の子がいます。現在コロナウィルスで学校が休校になってしまい、毎日オンラインの授業をやっています。

先生からはワークブックやシート、作文などの課題がオンラインで送られてきて、毎日指示してくれるのでありがたいですが、ビデオでの授業はやっておらず、朝の30分ミーティングのみで終了です。この1ヶ月、新たな内容やコンセプトなどは全くやっていないようです。この状態が続くと、4年生で消化するべき内容が学べないのでは、と不安になっています。州の共通テストも4年生の点数が中学進学において審査されるはずなのに、学年度のテストは全て中止になってしまいました。

また、ストレスも溜まっているようなので、短時間は外に出て公園で走ったり、遊んだりしているのですが、実際危険ではないでしょうか。男子でエネルギーが有り余っているので、スポーツなどの習い事も活発にしていたのに、全てキャンセルとなり本人はつまらないようです。結果、オンラインのビデオゲームばかりしたがり、それを注意するとケンカになってしまう毎日です。この状況にうまく対処するには、家庭でどうすればよろしいでしょうか。
(ニューヨーク、母)


A.

現在コロナウィルス感染予防対策のため、多くの学校がリモート・ラーニング(遠隔授業)を行なっています。私立と公立によって、または学校やクラスによってもオンラインでの授業内容や形態は違うようです。

例えば、同じ学校で同じ学年なのに、あるクラスは、ズームなどで実際の学校と同じようなスケジュールのライブ授業をしてくれているのに、また違うクラスはそのようなライブミーティングは1時間もなく、残り全て「自習」のような形になっているところもあります。こればかりは、おそらくその先生の権限、方針や能力、またITの知識や経験でも違ってくるようです。

授業へのフィードバックも一つの手

もちろん先生に「もう少し新しいコンセプトをライブの授業でやっていただけませんか。このままだと不安です。」とメールを出してみてもいいと思います。保護者のフィードバックをもとに、そのような授業を徐々に増やしていく先生もいれば、外部のオンライン・プログラムやウエブサイトをただ送ってくるだけの先生もいることでしょう。いずれにしても、この状況下、先生らも家族がいる家庭内からの授業になり、かなり大変なことに間違いはありませんので、このまま学ぶべきカリキュラムをやらない可能性はあると思われます。これらの状況を踏まえると、学校に任せっきりというのは、少し問題が出てくるかもしれませんね。

「お手伝い時間」もお勧め

さて、現在息子さんの家庭学習は、学校の指示に従って、与えられた課題や宿題を家でこなす、また先生にはメールで質問し、応答が来る、といったフォーマットが主のようです。各家庭にもよりますが、すでに民間のオンライン学習プログラムやホームスクールのプログラムを導入している子らもいるようです。個人的には学校から課された算数1時間、英語1時間、リーディング45分、お昼からは何かオンラインのものに挑戦し、その後は体を動かす、夕食前はジャーナルを書く、くらいがバランス良くて妥当ではないかと思います。また、親は三食作り、家事も増えたりしますので、必ず「お手伝い時間」を設けることをお勧めします。4年生ぐらいだと、少し一緒に料理をしたりすることも楽しいのではないでしょうか。

距離をおいてできる遊びやスポーツ

また外で走ったりしても安全か?という疑問ですが、もちろんおっしゃる通り、外出する時には細心の注意が必要です。今、日本でも始まっていますが、ソーシャル・ディスタンシング(他人と最低2メートルの距離を置くこと)が重要とされています。

これを考えて、子供が距離をおいてできる遊びやスポーツを模索してみましょう。しかし、マスクを外してジョギングしている人の息から発せられる飛沫物は、2、3メートル以上の距離を飛んでいくとも言われています。ですので、必ずマスクをして、まず人がいないところで遊ぶのが基本だと思われます。誰もいないところで散歩したり、親子でフリスビーなどをしたりするのは、おそらく大丈夫ではないでしょうか。その際、絶対に顔を触らない、目をこすってはいけない、そして帰宅時必ず丁寧にせっけんで手を洗う、などを実践することは重要だと言われています。

公園も安全とは限りません

公園に関しては、オープンエアーだからと言って、完全に安全とは言えません。例えば、コロナウィルスは鉄やプラスチックの表面に4日から最長9日間生き延びるとも言われています。なので、ジャングルジムや鉄棒で遊んだりすることは避けたいですね。

子供らは、集まって遊ぶのは外でも禁止されていますので、他の子らと遊べるのはオンラインのゲーム上のみでとなります。ですので、全くゲームを禁止にすると社交そのものがなくなるので、例えば、毎日1時間〜1時間半、夕食後ならオーケーと、ある一定の時間は許してあげてもいいと思います。実際、それぞれ家庭での決まりがあると思いますので、基本はご両親で話し合って、再考慮してみてください。多くの親が家で仕事していて、夜に時間があるのであれば、子供と一緒に映画を観る日を作ったりすると、親子の時間を持ついい機会になるかもしれませんね。

バランスのとれた生活習慣が大事

こうやって在宅期間が長期に続くと、もちろん子供らはダラダラし始めます。子供らには休校=休暇ではないこと、学習の場が家庭に変わっただけで同じ内容をやるんだよ、と常に説明しておきましょう。またどうしてもオンラインの課題は、先生が実際見ているわけではないので、子供本人が「手抜き」しがちとなります。ですので、2、3日に一度は子供のワークを親がチェックすることも必要かと思います。

そしてこれからの数週間か数ヶ月、親としても、どのように子供のスケジュールをしっかり管理するかが課題となります。日本人の親は真面目なので「学習が遅れる、勉強が、テストが」と学習で焦る家庭が多いようですが、まずそれはこの国だけでなく、日本も含め、世界的に全員同じ状況ですので、そこまで心配する必要はないように思います。

私たちが全く経験したことのないウイルスに直面しているという今回のような事態は、誰も今後のことは明確にわかりません。ただ、人が決めたことは、このような緊急時では、それに応じて変更したり、臨機応変に方針を変えたりすることもできるわけです。ですので、州のテストがなくなっても、来年の中学進学のプロセスは、またそれなりの評価方法が考案されるはずです。それよりも今、最も大事なことは、子供と家族全員が精神的にも肉体的にも健康であること、そして、いかにバランスのとれた生活習慣を作りあげるか、またそれを実行するための時間表を作り、どうやってそれをうまく実践していくかを模索することです。


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著者プロフィール:

高橋純子
KOMETコンサルティング代表
教育博士、コロンビア大学応用言語学
NYを中心に日本人家庭への教育サポート活動、また現地校適応のための トレーニング、教材開発などを展開。 現地の新聞などに教育コラム等多数執筆中。 DVD教材 “Hiroshi Goes to American School”(原作・制作), 著書に「アメリカ駐在:これで安心子どもの教育ナビ」(時事通信社)がある。
KOMET website: http://www.faminet.net/komet
お問い合わせは jtkomet@gmail.com 高橋まで。

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